仮想空間

趣味の変体仮名

図会

浪花百景之内 四天王寺東門

この門前は河内大和の通路なれど おほくは南門に来(きた)るを便利となにゆへ常に閑静にして風色物さび松風颯々(さつ/\)として仏地の微妙(みみやう)をしめし 実に殊勝の景地なり 且例月廿一日は浪花大師巡りの順ろなれば くん集(じゆ)なすことおび…

浪花百景之内 北新地梅之橋白雨

此里は蜆川に添ふて東西七八丁が間 両側裏町 青楼建ちつらねて 壱丁目 二丁目三丁目と分かち 南は大川堂嶋に隣り北は曽根崎北野の佳景を望む 殊に二丁目は妓娼(こども)の品格賤しからず 諸候の御蔵屋敷 貴客(きかく)富客(ふうかく)遊宴して四時(しじ…

浪花百景之内 川口の真景

土佐堀川 堂嶋川 蜆川の三流合し此所に分流して一は西へ あぢ川に落一は南へ木津川に落つる 此図は木津川の分れ口にて船御番所ぎゝとして ちうや出船入船を改めたまふ此ほとり都(すべ)て景色(けいしよく)絶妙にして雨中雪中はいふも更なり ことに月夜は…

浪花百景之内 鶴満寺

靍満寺(くわくまんじ)は淀川の西岸長柄(ながら)村に有りて 天台宗の一宇なり 寺中に糸桜数株(すちう)ありて しかも老樹たり 満開の頃は雅俗の遊人こゝにつどひて花を賞じ瓢の腹を空しくして田楽に腹をふくらし帰るを忘るゝも又多かり 鐘楼の古鐘は世に…

浪花百景之内 心斎橋初売之景

心斎橋通りは浪花第一の繁華にして昼夜往来の絶る時なく順慶町より南戎ばし迄は殊に賑しく商家ならざるはなし 正月二日は初うりにて未明より軒ことに提灯を出し初荷年玉配りの声衢に満ちて実に大都会のさまなりかし

浪花百景之内 梅屋敷

生玉のひがし桃畑のうちにありて梅林一園の柏戸(りやうりや)なり盛りの頃は数株(すちう)の梅香薫々として四方に散じ雑人(ざうにん)墨客こゝにつどひて風雅に遊び花に諷ふありさま実に春興此に尽すといふべし殊更近年あらたに造作なして美楼宴席風流を…

浪花百景之内 玉造稲荷舞台

玉造稲荷の社は金城の南にありて往古は御城の中(うち)に在(いませ)しと云 此地浪花(ろうか)東の端にて社殿のうしろに舞台あり 是より眺望すれば葛城生駒の高嶺巋然(きぜん)として初夏に雪をいたゞき弥生のころは眼下より山際迄菜花ならざる所もなく …

浪花百景之内 四つ橋

なには国景の内四つばし 東西は長堀川にて南北は西横ほり川の二流十文字の中に渡せる橋四つあり 各々名はあれど只そのはしの数によりて四ツばしの名高し名物煙管屋は西南詰に軒をならべ 家毎(やごと)に客を招かんことを争ふ 此辺新町堀江及び道とん堀にほ…

浪花百景之内 高麗橋

高麗橋は船場より上町にわたして浪花(ろうか)天橋の第一なり西づめ矢倉屋敷は其かみ御城の旧跡を残し恵美須屋岩木三ツ井の呉ふく店(だな)よりとらやの菓子店にいたるまで皆この通りに名をとゞろかし昼夜の往来(ゆきゝ)たゆるときなく実に繁昌(はんく…

富士山體内巡之図

「浮世絵ツアー 富士山名所めぐり」というTV番組で見かけた絵図です。胎内巡りしてみたいな。膝に草鞋を履いて匍匐前進するの、面白そう。 読んだ図会 https://www.tsuru.ac.jp/fs/3/2/0/2/0/_/tainaimeguri.jpg 五雲亭貞秀画(歌川貞秀) 〈向かって右頁の…

桜の宮春景

浪花百景之図桜の宮 春景 桜宮の春景は前の小淀川の流れをひかへ 屋形家根舩数をつどへて諷ふあり舞ありて歌妓の妙音川風につたへ実に浪花の一佳景といひつべし当此川向ひ川崎には近年金吹場をしつらひ 煙出しの高きこと天をつらぬき其形粧衆人の目をおどろ…

大塔宮

大和名所図会 巻の7より 大塔宮 殿野兵衛宅は十二村の荘殿村にあり大塔宮二品親王山伏の御すかたにて熊野より落させ給ひ十津川小柳着きおはしまして竹原八郎入道の甥に戸野兵衛といひしものゝ家にしばらく入せ給ふよし太平記に見へたりその末葉今の世にもあ…

吉野城の大塔宮

大和名所図会 巻6より 元弘三年正月十六日大塔宮吉野城に籠らせ給へば鎌倉勢六万余騎前後を囲みて攻寄ける 大塔宮の御鎧に立つ矢は七筋 血の流るゝ事瀧のごとし もはや御最期の酒宴ある所へ村上彦四郎義輝 錦の御鎧を賜り宮の御身かはりとなりて敵を欺き 宮…