仮想空間

趣味の変体仮名

浪花百景之内

浪花百景之内 心斎橋初売之景

心斎橋通りは浪花第一の繁華にして昼夜往来の絶る時なく順慶町より南戎ばし迄は殊に賑しく商家ならざるはなし 正月二日は初うりにて未明より軒ことに提灯を出し初荷年玉配りの声衢に満ちて実に大都会のさまなりかし

浪花百景之内 梅屋敷

生玉のひがし桃畑のうちにありて梅林一園の柏戸(りやうりや)なり盛りの頃は数株(すちう)の梅香薫々として四方に散じ雑人(ざうにん)墨客こゝにつどひて風雅に遊び花に諷ふありさま実に春興此に尽すといふべし殊更近年あらたに造作なして美楼宴席風流を…

浪花百景之内 玉造稲荷舞台

玉造稲荷の社は金城の南にありて往古は御城の中(うち)に在(いませ)しと云 此地浪花(ろうか)東の端にて社殿のうしろに舞台あり 是より眺望すれば葛城生駒の高嶺巋然(きぜん)として初夏に雪をいたゞき弥生のころは眼下より山際迄菜花ならざる所もなく …

浪花百景之内 四つ橋

なには国景の内四つばし 東西は長堀川にて南北は西横ほり川の二流十文字の中に渡せる橋四つあり 各々名はあれど只そのはしの数によりて四ツばしの名高し名物煙管屋は西南詰に軒をならべ 家毎(やごと)に客を招かんことを争ふ 此辺新町堀江及び道とん堀にほ…

浪花百景之内 高麗橋

高麗橋は船場より上町にわたして浪花(ろうか)天橋の第一なり西づめ矢倉屋敷は其かみ御城の旧跡を残し恵美須屋岩木三ツ井の呉ふく店(だな)よりとらやの菓子店にいたるまで皆この通りに名をとゞろかし昼夜の往来(ゆきゝ)たゆるときなく実に繁昌(はんく…

桜の宮春景

浪花百景之図桜の宮 春景 桜宮の春景は前の小淀川の流れをひかへ 屋形家根舩数をつどへて諷ふあり舞ありて歌妓の妙音川風につたへ実に浪花の一佳景といひつべし当此川向ひ川崎には近年金吹場をしつらひ 煙出しの高きこと天をつらぬき其形粧衆人の目をおどろ…