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菅原伝授手習鑑 四段目 寺入りの段

 

読んだ本 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/856509

 

 

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2

菅原伝授手習鑑 四の切 (寺入の段) 

一字千金二千金三千
世界の 宝ぞと 教へる人に
習ふ子の中に交る菅秀才
武部源蔵夫婦の者いたはり

 

 

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3
傅(かしづ)き我子ぞと 人目に見せて
片山家芹生の里へ所がへ
子供集めて読書の器用
ぶ器用清書を 顔に書く子と
手に書くと人形書く子は天窓(あたま)

掻 おしへる人は取り分けて世話を
かくとぞ見へにける 中に年かさ
五作が息子コレみな是見や
お師匠様の留守の間に手
ならひするは大きな損 おりや

 

 

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4
坊主あたまの清書したと
見せるは十五のよだれくり
若君はおとなしく一日一字
学べば三百六十字とのおしへ
そんな事書かず共本の清書

したがよいと八つになる子に
叱られて ませよ/\と指さし
ててうけかゝるを残りの子供
兄弟子に口過ごすよだれくり
めをいがめてやると てんでに


5
壓尺(けさん・文鎮)ふり廻す 自然天然
肩もつも伝はる筆の威徳
かや 主の女房奥より立出 又
こりや例の闘諍いかおとまし
や/\ けふに限つて連れ合の

源蔵殿振舞にいてなければ
戻りも知らぬ ほんに/\こなた
衆で一時の間も待ちかねる
けふは取り分け寺入も有筈 昼
からは休ます程にみな精


6
出して習た/\ ソリヤ又嬉しや
休みじやと 筆より先に読み声
高く いろはに 此中は御人被下
一筆啓上候べくの男が肩に堺
実 文庫机をになはせて 利

發らしき女房の七つ斗りな
子を連れて 頼みませうと云
いるゝ 内にもそれと早悟り
こちへおはいり遊ばせと いふ
もしとやかアイ/\と愛に愛持つ


7
女ゴ同士来た女房は猶笑面(えがほ)
私事は此村はづれに 軽ふ
くらしておる者でござりまする
此わんばく者をお世話な
されて下さりよかと お尋ね

申しにおこしましたればおこせ
世話してやると結構なお詞に
あまへ 早速連れてさんじました
内方にも御子息がござり
ますげなが どのお子でござり


8
ますぞ アイ是が源蔵殿の
後取でござります コレハ/\よい
お子様や 外にも大勢の子達
いかいお世話でござりましよ
アイ御推量なされてくださり

ませ シテ寺入は此お子でござり
ますか 名は何と申ます アイ
小太郎と申しまして わんばく
者でござります イヤイヤけだ
かいよいお子や 折悪にけふは


9
連れ合い源蔵も 振舞にまい
られました 是はマアお留守かい
な お待遠なら私がよびに
まいりましよ いへ/\幸い私も
参つてくる所が有れば 其内には

お帰りでござりませふ コレ三助
其持てきた物あなたの傍へ
あげませ アツトこたへて堺重
榧(へぎ)に乗せたる一包み 内儀の
傍へさし出す これはまあ/\


10
云われぬ事をイヤおはもじな
がら此子が参つたしるし 此
堺重は子達の土産 取り弘め
て下さりませといはねど知れし
蒸物煮染め 我が子に世話を

焼豆腐つぶ椎茸の入
たるは ほんそ子とこそ見へに
けれ 是はマア何から何迄取り
揃へて御念の入ッたる事 戻
られたら見せませう イヤモ

 

 

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11
ほんの心斗り宜しうお頼み申し上げ
ます コレ小太郎 ちよつと隣
村迄いてくる程に おとなしう
して待って居や 悪あがき
するまいぞ御内証様往て

さんじましよと表へ出れば
かゝ様わしも行きたいと 縋り付を
ふり放し 嗜めよ 大きな形(なり)
して後追ふのか らふじませ
まだぐはんぜがござりませぬ

 

 

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12
そりや道理いな ドリヤおばがよい
物やりましよ つい戻つてやらん
せと 目でしらすれば アイ/\ つい
ちよつと一走りと 後追う子
にも引かるゝ振りかゑり見

返りて下部