山谷舟の事 咄の絵有多

 

 読んだ本 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1242667/14?viewMode=

 

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山谷舟の事
猪牙をさんやふねといふはむかし 山谷
山の宿にかうこくせしころいひ
ふらせし名也又散茶ふねといふも
女郎かいぶねといふ事かいにしへは
二丁だち三丁だちとて
ありしが今はやらぬ
近ころはきやくのはながみ
をはなにうつて
ひなわばこのなかへ入
川かせにてさんらんせしを
だてとせり
いかにもこふう
なり

 

猪牙(ちょき)を山谷舟と言うは、昔、山谷・山の宿(しゅく)に広告せし頃
言いふらせし名也。又、散茶舟と言うも、女郎買い舟という事か。
古(いにしえ)は二丁立ち、三丁立ちとてありしが、今はやらぬ。
近頃は客の鼻紙を花にうつ(し)て火縄箱の中へ入れ、川風にて散乱せしを
伊達とせり。いかにも古風なり。

 

 

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「山谷」は「山谷堀」のこと、「山の宿」は花川戸と本所を結ぶ渡しのこと。