月見盃の事 咄の絵有多

 

読んだ本 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1242667

 

22左頁

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月見盃の事
宝永のころ角
山口の大夫香具山
かたへ京都しま原
の女郎瓜生のと
いへるがきやくのえん
によりて文をつかはし
ける時銀にて
きせるをはり
ひさらをのめておくり
こしければかく山
返事をつかはす
せつ大さかづきの
いとぞこなくごろ
/\とせし盃を
あつらへおきまど
わせるといふ心で
白ぎくと名付て
京とへおくりける
ころは八月十八日にて
ありしかば其後きやくへ
月見盃をおくる
事にはなれり

 

宝永の頃、角山口の太夫香具山方へ、京都島原の女郎瓜生のと言えるが、客の縁によりて文
を遣わしける時、銀にて煙管を張り、火皿をのめて(★)贈りこしければ、香具山返事を
遣わす節、大盃の糸底無くごろごろとせし盃を誂え、おきまどわせる心で白菊と名付けて
京都へ贈りける。頃は八月十八日にてありしかば、その後客へ月見盃を贈る事にはなれり。

 

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★煙管の管を詰めたのを送られたので、底が丸くて座りの悪い盃を返したということらしい。