二代尾上忠義伝 三段目つづき(その2)

 

読んだ本 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10301710

 

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「つゞき」只今よりひやうぢやう
の間をさがりえんがは
をつとめよとのおほせ
なりとあひのぶる
紙崎はへいふくなし
しばしもくしてい
たりしがやゝあつて「ハゝ
いさいかしこまり奉る
さりながらそれがし
あらためてきみへの願ひ
大杉殿きりやう
ありてかうろくを
給はれどもとより

 

 

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此けいづなしわれ/\
ども三人はいにしへより
三老しよく源蔵どの
には此評定の間を
かぎりおくむきの
しゆつきん御無用下
さるやうひとへに
ねがひ奉ると
身しりぞき
ても君のため
心をのこす
忠義のほど
のちにぞ
おもひ
しられける

 

 

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 ○かゝる所へ
とうばんの
おもてさむらひ
まかりいで
さがみ国の
ぐん代ども
正がん様へ
おねがひといひすて
とほすぐん
代ども
ひさしの間へ
まかりいで
「此度光明寺
ふしんじやう
じゆに付
仁木殿の
御しはい
われ/\が
りやう
ぶん

 

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 大はん
にやきやうの
れうとして
高わりの金
子さし出せどの
事すなはち
申付し所に
先年建長寺
ざうえいの
せつも
きやうれう
出金いたし
たれば何とぞ
此たびは
御しやめん
ねがひくれ
よとわれ/\が
やしきつめ
かけなげき
のねがひ
「つぎへ」

 

(左頁文句上段)

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 「ちからに
おもふ
あなたの
御たいきよ
女ながらも
命にかけ
おいへの
おため(?)
こゝろ
ました
「心元
がたき
人々の
ありさ
たゞたのみ
おくは
をのへどの

 

 

 

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「只今より評定の間を下がり縁側を勤めよ、との仰せなり」と相述ぶる。紙崎は平伏為し、暫し黙して居たりしが、ややあって「はは、委細畏まり奉る。さりながら某、改めて君への願い。大杉殿器量ありて高禄を給われど、もとよりこの系図無し。我々共三人は古(いにしえ)より三老職。源蔵殿にはこの評定の間を限り奥向きの出勤御無用下さるよう、偏に願い奉る」と身退きても君の為、心を残す忠義の程。後にぞ思い知られける。斯かる所へ当番の表侍罷り出で、相模国郡代共、庇の間へ罷り出で「このたび光明寺普請成就につき、仁木殿の御支配、我々が領分、大般若経の料として高割りの金子差し出せとの事、即ち申し付けし所に先年建長寺造営の節も経料出金致したれば、何卒このたびは御赦免願いくれよと我々が屋敷詰めかけ嘆きの願い「次へ」

 

(左頁上段)
(尾上)「お力に思うあなたの御退去、女ながらも命に賭け、お家のお為、心得ました。」

(紙崎)「心元難き人々の有り様、只頼み置くは尾上殿。」