仮想空間

趣味の変体仮名

桂川連理柵 道行朧の桂川

 

読んだ本 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/856206

 

 

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2
 おはん 長右衛門 朧のかつら川 道行恋のしがらみ
しらたまか なにぞとひとのとがめ
なば つゆとこたへてきへなまじ ものを
おもひのこひごろも それはむかしのあ
くたがは これはかつらのかはとみづにうきなを

 

 

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3
ながすうたかたの あはときへゆくしな
のやの おはんをせなかに長右衛門 あふせ
そぐはぬあだまくら むすふ おびやの軒
もはや こよひかぎりに月かげの ながれて
つれてゆく身には つまにもなごりかし

こうぢ あはれはあとにとをざかる 町を
はなれてやう/\と せなをおろしてとり/\゛
にすがたつくらふ心根はまだむすめぎの
跡や先 しにゝゆくみはつねよりも こゝろ
ほそみち いぬのこへ アレみぶてらのかねの

 

 

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4
かず こゝのつこゝにきたみなみ たうじの
とうやしゆすやかのゝ ひかげかすかに三
すぢまち 身にしむかぜにさそはれて
こひは心のほかとはいへどいふものゝ えんが
おもひかおもひがえんかアなにがなん

じややら コレおはんこゝが三でうあたごみち
つゆの命のおき所 くさばのうへと思へ共
みち/\もいふとをり おれこそしなねばなら
ぬ身の上 四十ぢかいみをもつて十四やそこ
らのこむすめと 一所に死だらぎり知ずと

 

 

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5
せけんの人のわらひのたね おやごのうらみ
おきぬがおもはくとにかくそなたはながらへ
て なきわがあとをとふてたも たのむと斗
いひ残す そでは涙のにはたずみ おはん
涙のつゆちりほども おまへのむりじや

あるまいけれど わたしやいやいなそん
なそのよなどうよくな としもいかいで
はづかしい このはらおびはどふしやうへ との
ごをさきへながらへてみふたつになり だいたん
な いたづらものじやあくしやうな ぶしん

 

 

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6
ぢうなと人さんの わらはんしてもだし
ないかそりや かはいのじやないにくい
のじや ちいさいときからおまへをまはし
ぎをんまいりやきたのさん ものみけん
ぶつあとおふて手をひかれたり おはれたり

はだかにんぎよをむりいふてかふてもらふ
たかんざしの すかしたらしてあまやかし
かはいがられたおやたちより ひとが
たづねりや長さんがたんといとしと
いふたとき やんがてめうとに ならん

 

 

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7
しよと うばやでつちなぶられで
なんにもいはずうつむいて はづかし
かつたしたごゝろ ほかに とのごはもつ
まいとおもひのたねのいせまいり だか
れてねたりこうなつて えんりよ

なさけはさきのよでえんをむすぶの
かみさんの よもやそさうじや有まいし
さだまりごとゝあきらめて いつしよに
しんでくださんせ とゝさんや かゝさんの
にくいなかにもしんだなら ていぢよと

 

 

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8
やらじや出かしたとまだほめらるゝ
こともあろ エゝなあ これとぐはんぜ
なく こひをたてぬくりんえのき
づないだきつく/\゛かほとかほ おとこも
とかふなみだのふち ともにしづまん

こなたへと 手に手をとりのこえつげ
てもはやかつらにつきのあし アレ/\
うしろにひのひかり見とがめられ
ぬそのうちに いざやさいごともろ
ともにいしを たもとにいとゝはり

 

 

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9
しゆすのおびやとしなのやの
むすめ/\とよぶこえに見つけ
られじとあしばやに こけつ
まろびつうしがせのみな
かみへとぞ「いそぎゆく