報知新聞 第五百六十五号

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男たる者は事に当り能(よ)く前先(あとさき)を思慮(かんがへ)て
分別するを以て貴(たっと)しとす 去(され)は一度決心(けつちやく)の後再び未練
を残す事あれば往々(とかく)禍害(わざはひ)を引出す事あり
備中国浅口郡玉島村の田嶋政太郎は年五十
に及て妻を失ひしかば 年未だ廿二三なる安
を迎へて後添となしたるに やすは政太郎が
年寄なるを面白からず思ふものから 家内
に口説絶(たえ)やらねば 政太郎思ひ切て離縁し
けるが 後に至り老母(はゝ)や我子(こども)の手一つに養育(やしなひ)
兼る後悔し やすが家に赴(おもむき)て再縁の
儀を説(とく)たれど けんもほろゝの返答なれば
無念の事に思ひつゝ何時か恨を晴さん
と待(まつ)とは知らず 彼(かの)やすは隣家へ往(ゆき)て かへ
り道まち設(まうけ)たる政太郎 安を害して立
退しが 程なく捕縛されしとそ

 

 

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