彦山権現誓助剣 第一 第二

 

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イ14-00002-677

 


第一
留?楚を夷 子胥が尸に撻しも 讐を報し烈孝に 美を?
たる女王国真柴大樹の 代を御する 覇者の民とぞ煌々
たれ 此は矢正半(なかつかた)大明四百余州を奪略る手初 三韓八道を
攻べしとて 古昔神功皇宮の遐く祥き跡を追 勝利の祈かけ
まくも住吉四社に奉幣有ば 宜祢が鼓や神楽歌 乙女が袖に
すゞしむる神慮も さぞとしられける 幾世経ぬらん松原の宮の方より


3
のつしのし 歩み着かざる上下も折目高成国侍 浜辺より来る一群も同し家中とお
ほしきが 夫と見るより松が根にかいつくほふて控ゆれば コレハ/\春風氏辻新右衛門門脇儀平
三輩連にて御参詣候な 誠に当社は和歌の神海路安全の守護に限らず 我
荒魂は王師を守らんとの 託宣まさに弓矢のしゆご神歩みをはこぶ心底が直ぐに
武げいの励みといふ物 イヤハヤ殊勝に存ずる かくいふ京極内匠 音成公に召され新参な
がら五百石 各々方の師はんたるも他家に勝れし微塵流 武術に秀でし徳也と 上見ぬ
鷲の高慢自慢 供に身を吹く春風藤蔵 イヤモ先生の詞は実に金有り 夫に引かへ
一味斎 元が秀らぬ八重垣流 年は老たりおしへ方の其ぶぜいさ 剰へ此頃は薬湯とやら何と

やらで豊前へ立こへ 本国にも居ぬとの噂 近々異国へ軍の御供励みに励むを加ふるけいこ ふら付ては
いられぬ折からこちから隙やつて 先生の弟子に成たも 殿の武用を大事とするから マナント忠臣で
こさらふがの 成程此新右衛門も其元にすゝめられ 先生へ弟子入してからめつきりとけいこが上り 我
ながら厭れています とふからお弟子に成ていたりや 一味斎をも今頃は弟子に残していませふ物
此上なからいくえにもイヤ此儀平めも先生様のおせわに寄り からへ参らば遖な手柄が残して見
たふこさる イヤモ成共/\ 今日本若手の強者加藤が家来に木村又蔵 福嶋に桂市兵衛
并に万国右衛門等 何程力じまんでも剣術未熟(あおく)手がらは得せまい 内匠がおしゆる術を以て
異国の敵に当るならば はんくはいてうひが向ふ共又諸葛孔明が固むる陣でも破るは長者の枝より


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安しそこがゆ所謂微塵流 ナ励まつしやれ/\と ゆうひに見する鼻高々 こへ?(いそか)しくはせくる巫
たゝ今中国殿御れん中 海辺眺望迚此所をお通りなさる商人は荷を片よせ 往来は下に居
ませいといふもいきせきかけ通る ハレ面倒なみだいの御通駕 あふもむつかし堺へはつし 伝はなけ
れど神社仏閣一見して立かへらん 逗留中は屋敷 帰宅後ゆるりと御意を得ん さらは/\と
引わかれ北と南へ歩み行 程なく先駆の歩(かち)侍 しと/\二行に並松原 徒者の胴勢美を
つくし 只絵のことく三つ星に 一品の字を金紋の 乗物木陰に立けれは 後乗の武士衣川弥
三郎 美男の聞へ高股立 緑栄へよき松かけに 床几直せは兼てより 恋する中も吉岡かむ
すめおきくか?(せん)とり/\゛ 御座をもふけて待かゝれは 戸を開かせて真弓の方 嬋絹としてうつ高

き御目に汐路を眺め給ひ 住吉のきしの向ひの淡路島 哀とたにつゞけたる嶋山はあれ
じやのふ 御代治りて太平の 空に狼煙の雲もなく地に矢叫びの音をなみ 磯にむれてふ
海士の子が何かき事の有てやは 忘れがい取るしほらしと なゝめならざる御きけんに 衣川もきしにつゝ
立 ノウ嬪衆あれ見給へ あの高根こそ武庫のみね 馬手は丹波弓手は摩耶 敏
馬芦屋の灘つゞき 名所古跡は多けれど わきて名高き鵯ごへ 源氏平家の軍した
所はあれと指ざせば 嬪共が延上り どれ/\どこが一の谷 敦盛様を討留た古戦場がと眺
ても 目路の遠さにそことしも訳が知れぬとなまめかし 波間にふつと目の付くおきく 申/\み
だい様御らふじませ 堺の沖のかたよりもこなたへさしてこぎ寄船 造りと云帆のかけ様 かはつたふね


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じやござりませぬか 実にも夫よと真弓の方 供に怪しむ弥三郎も 瞬き千里波濤を凌ぐ
異国の大船足早み 程なく磯に寄る折から 祝部山上倫太夫白馬を引かせ出来たり 今日殿下
久吉公 当社明神へ御寄附の此馬頻りに嘶て止時なし ふしんの余り小制(つくり)の神輿(しんよ)を
鞍の上に御し 鎮め祭れど弥増しに嘶く駒の吉凶知れず 御れん中の御目通り憚り有所
なれど異国退治の大統戒(とうしう)音成公の御代参と候へば此よし申上ん為 則馬も引かせたりと謹
で訴ふれば 主従共に顔見合せ供に 呆るゝ神慮のふしぎ イヤ其駒の嘶く吉凶 判だんなさん
と舩中にこへ高く いつぱちやるめら路楽の響き 一釼腰に霜を佩(おぶ)玉音清く邊りを払ひ
歩み出たる異国の姿 我は三韓とくねぎの城主 車騎将軍木曽官伝へ聞く日本

神国として神は飛礼の祭りを受けず 近頃久吉といふ英雄世に出 天が下を治むといへ共 礼楽政刑神明
の心に叶はず いかれる神のいとくにうたれ扨こそ此馬嘶き止まずと 忌憚らずのべたるはもつての外に聞へたり
真弓の方打笑(えみ)給ひ そも保元の乱より五百余年の此年月 大方ならぬ四海の騒ぎきり
鎮めたる真柴家の 武威をさみするそもじの詞 自らは呑込ぬと 胸の一物見すかす利発 弥三郎
つゝと出 ハア聞へた彼の晩唐の白楽天日本の智恵を封らんと渡つて来たる人真似して 久吉公の軍だて
軍慮の底を探りに来たよな 真柴の神兵程なく押寄せ 手並汝が国で見せん 早本国に立ちかへり
首に名残をおしんで置 ハゝゝ小がしこくも申したり日本はわづか小国の小嶋に蔓る真柴が智恵立て
唐高らいを攻んとは蚯蚓が天上望む不覚 及ばぬ事と嘲笑へば 弥三郎ぐつとせき上 ヤア毛唐人


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のくせとして腕なしの口がしこく 上をさみする慮外の一言 其腮切て切さげんと 柄に手をかけつめ寄るは 御台
御こへかけ給ひ ヤレ待て弥三郎 土地の広さをくらべては 四百余州と六十余州 対やうせざる小国 なれど日本
は神の開きし御国 神力加はる軍配には 唐天竺に蝦夷知らぬ 蠻戎が加勢なす迚も 叶はぬ事/\ 神の
おうごの真柴勢 勝か勝ぬか目の前に勝負をこゝに試みん コレ此馬の右左付たる双の染手綱西は
異国 東は日本天照す 太神も女体なれば真弓が代り 嬪おきく手綱を取て引程ならば 神慮
に任す即座占 引き勝つ方ぞ勝ち軍 サア引給へ木曾官 いそふれおきくとかく方の さしづは直ぐに軍配
智略 のつ引ならぬ木曽官ふせう/\゛に立寄ば おもはゆながら主命にぜひなくきくが取る手綱
後ろに控へる弥三郎 コレ/\おきく大事の場所 必まけてもらふまい 負けな/\もほれている 男のかけごへ千人力 其外

家中の面々がこなたに力めば磯には下官 互に肱を張かけし 唐と日本の勝負附けかつても見たき
こゝちせり サア 女 唐人様引かしやんせ サア/\/\と木曽官 手綱を腕に身を入て 引けどいつかなうごかぬは
ふしぎと五体の力を入れ 引どしやくれど四足を堅め 地にはへ抜しごとく也 おきくは呼出し ホゝゝ豚や羊の肉
食(じき)に けがれた腕で神の馬 引きかたふとは成ぬ事 馬は斯こそ引ものよと しつかと取し轡づら引ば 正直(すなを)
に引れ寄波ののつゞみの神かぐら こゝにひゞきてとふとみの武威を 守りの神徳奇瑞 空恐しくたふと 
けれ したり/\と付き/\゛か とよみを作る勝鬨に 木曾官顔色せき立 ヤアどこへ神徳 女のよれる髪
筋に大象もつながるためし よし/\夫レも無益(むやく)の争ひ イデ異国の幻術奇特 目に物見せんと手
を拱(こまね)き 口に唱ふる秘密の呪文しるしは目前白波の漲る海上三反斗 潮(うしほ)干潟と土砂巻上


7(裏側)


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平地とこそは成にけり 下官共こへ揃へ サア/\ならば是して見よ いんちんでいかうばとれい/\ 唐が勝じゃと打ち
笑ふ 真弓の方ちつ共動ぜず 南無や住吉大明神 汐満干(みちひる)の力を加へ日本の鋭気をそへ給へと 一心こら
す再拝祈念 空には夫レと白鷺の梢をはなれ羽だきし海に向つて飛と見へしが 替りし水尾(みを)は忽に元の
深海(ふかみ)とかへる波 音どふ/\と漲れり ハツと思はず木曾官 恐れおのゝ頭を下げ 斯有んとは知つれ共 術を頼み
に慮外の段々 怖ろしく 御赦免有て此以来 永く長門の臣下とならば 轍の魚の勺水に命を延る
身の大けい 偏にれん中の御執成し 宜しく頼み奉るとほつきと折しがまんの矢先 おく方御きげんうるはしく
さんげに億劫のつみの亡ぶ 今より異国の邪術を止め 神国ふしぎの威になひかば いかでかいなみ給ふべき
けふの様子を我夫へ申上るも帰国の上 重ねてあはんから国人さらばと直ぐに引く弓の 真弓の方は神垣に賽(かへりもふし)の

供揃へ 神馬は跡に山上が手綱 取々木曽官 馬鳴(ばめい)も儕(おの)が 来たる神の微と白波や 磯打つ音も 豊
                      にて戸ざゝぬ御代の つきしなき

 第弐 
豊前の国彦山と申は 其ふもと豊後筑前の三国に跨り 九州無双の高山て 峯に上古の神 
在(まし)まし 筑紫彦山権現と山をは御名に呼ぶ子鳥 立木も古(ふり)て?(山に召)嶢(せうぎやう)たる 十の谷五十の窟第
一窟を御本社と仰ぎ尊む神徳の霊験四方にいちじるき さまにつげたや此の枯柴と やせてこが
るゝ思ひのかつ/\を 諷つれたる柴かりが こへせいしなき山戻り 鳥居の前に息杖立て ナント皆はどふ思やる 此様に
汗水たらし年が年中山働き 身を砕いてももふからぬ此末はどふ成ぞい イヤそふあんじた物じやない 今の殿下
久吉様は 元が奴の二合半 夫かあの様に立身して 六十余州を取れたりや 誰(たが)出世しよまい共云れぬぞや


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ヲゝ夫々待てばかんろの日の本は取たれど又三かんを攻取てゝ 能有る者は大名からほしがるげな 物を云ぬ者といふか 大
飯くふとが尋て来た鑓つかすまい物でもない 夫に付て思ひ出した こちの村の六介 兵法が能げな
の 其上に力が強い 柴といやこちが五六荷(か)を一荷に把ね長浜迄日に五六度 其くせ形りに似ぬかう/\
者方々から抱えふと云はしやつても 母親のそばはなれるがいやしやてゝ行ぬとは きつらそさうの 此様な働
せふより百貫ましの侍せうばい おいらなら行ふにな ヤたんと休んだサアいのと 打連坂を下り行 古木回
岩雲に聳へ 羊の腸(わた)の坂道も平地と歩む六介が 柴荷をおろす鳥居前 木のはつまん
でからてうづ 宮居はるかに礼拝し 岩頭にこしうちかけ トレ一ふくいたさふと 火打かち/\吸かける たばこのけふ
?(り?)風にきへ空に 知られぬ鳥一羽 はたりと落る膝の前 怪しと見れは諸翼(はね)を矢にぬはれたる山鳩也

ハアしたり 狩夫(ますらを)のねらいそれ つばさ斗をとぢけるよな 六助が目にかゝりしは運命来たつきざる此鳥
放してやらんと矢を抜けば さも嬉しげに羽叩きし雲井はるかに飛去たり ハア悦んで飛は/\ ヤ我等は宿に
かへらふと 荷をかたげんとする折から 半弓携へ岨(そは)影より 二人の武士がうつ/\眼六助を見て互に目く
ばせ 中に取込めヤイ下郎め うぬじやな/\ 殿のお鷹の餌に射た小鳥 何で矢を抜きはなして
やつた 返答有ばぬかそふと きつぱ廻せば手を摺りもみ どなた様か存ぜねど 御狩の鳥と存じたら
モ何しにヶ様なぶ調法 只猟人の射そんじと何心なく右の仕合せ 下主の智恵は跡でのお侘び
真平御免下されと 侘ぶるよはみに猶付け込 ヤアならぬ/\ 殿の御用をかゝした儕 館へ引立て糾明する
と 左右一度に引立る 二人が手先をしつかと留 イヤモいく度ビもお侘言 御了簡下されよと 放す手よりも


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引はづみ 儕が力で尻餅つきせきに赤面鍔打たゝき ヤイ/\諸侍を投たぞよ ヲゝ手向いをひろいだ
な 下主に似合ぬ生兵法 ぶち放さんと抜き打の 刃先をひらりと又腕首 取れて骨も砕くる斗り
アイタ/\/\うぬこりやとふしおる 何ん共致さぬお侘言 聞き分けもなく刃物ざんまい あなたにおけがゝなふても
私が身に凶事有ては 宿に居ます独りの母 路頭に忽ち飢渇の難 跡の嘆きを推察下され 只いく
えにも御かんにんと云つゝぐつと人握り 手先しびれて取落す 白刃と五体山路に どつさり二人が打かへされ ほう
だから 放生会だと思ひ助けてくれる 以来我々投た抔(など)とさた残さば 赦さぬ程に覚へておろ サア榎並一
学殿 先ず早川兎毛殿 お互に御くらうと 負けて遉侍の 行儀くづさぬ両人は 弓矢拾ふて立かへる

六介は跡打眺め 扨も/\こまつた衆達 ガアノ無得心なもなくば 人の国をうはい取合戦もしられまい 此身に
けがもつゝがなふ いぬるも彦山権現の 神の力と伏拝み 母者人か嘸待兼 トリヤかへらふと着物の塵打は
らふ後ろの方 ヤレしばらくとこへかけて 威有て猛き武士一人傍近くいぎを正し某は当国の隷臣 名はとゞ
ろき伝五右衛門 イヤ/\くるしうない お手上げられよ六介殿 武術力量備へ九州無双の誉れ高く 主人立
花修理太夫召抱へんと頻りのこんもう去によつて先刻毛谷村に立こへ 貴殿の宿所に至りし所此山中にと
承り 参りかゝつて今の様子 恐れ入たる貴殿のふるまい 誠や千鈞の弩(いしゆみ)は鼷鼠の為に其機を放たす
相人ならざる相人にかまはず 詞を卑下して無事を計る心の度量(たくり)遖/\ 今より我に伴つて主人が館へ御
入来下され 弓矢を補佐し給らは大悦ならんと大身は 大身たけに身をふ?ぬ 胸の器量ぞおく床し 六介


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は気のどく顔 是は又きついおなふりなされ様 独りの母さへ養い兼漸に柴の荷いうり 未熟なも
御目留り 面目次第ござりませぬ 中々一つも我家方のお役に立べき者ならず 此義はたつて御用
捨と 媚諂はぬ魂を見込程猶かうはしく イヤ/\徳を包むは賢者のならひ 御尤とは存すれ共 夜光の玉は下和が
極め 貴殿の才器は見抜た某 殊更近々異国攻め軍用士卒に事かゝねと 只乏しきは軍師の器量
拙者が詞承引有 何卒御入来下さらは虎に翼をそへたる幸 いか成異国の大軍も破るにかたき事有まし
御用迄とせき立てば 六助はむつと顔 アゝ置かしやませいの あたしつこい 何は扨置き其合戦がマア不得心手一
合でも主取すりや叶はぬ場所の命がけ 死では親を嘆かすふかう 禄も知行も国郡も親に見かへる宝は
ござらぬ 奉公する気は露なしと けんもほろゝに取合ず ヲゝすりや何と申てもや ハテぜひもなし 其孝心を

以て君に忠義をなしむならば王蠋季札が節烈にもおさ/\おとらぬ国の宝 あたら文武の弓取を招き 
得ざるも主人がふうん ガしいていはんも孝心を妨ぐる無遠慮 もしも老母百年の 寿命を持(たもち)身をおは
られても有ならば 其時他家の君にまみへず 必ずとも拙者にたより主人がもとへ御入来下され 轟きがけふの
貴殿へ頼み 無下にし給ふ事かなれと 云捨手束(たつか)弓取の心は諸葛孔明を草盧に訪(とい)し言徳におとら
ぬ才智大国の幅を見せたる家老職 山下をさして歩み行 跡打詠め横手を打 テモよき侍も有物かな
と感じ入り 日の照かへす森のかげより 六助/\と呼こへに 邊り見廻し フウおれを呼は何所からと見やる茅原かき
分けて誰と白髪の翁の姿 頭にえぼし身に白張杖にすがつて顕はれ出 さもやごとなき御こへにて いかに六
助 万石の禄を辞して一人の母を養ふ 孝心と云 じひ正直を元とする神の冥感あさ


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からず 我は高良の神の使い 此一巻は汝が好(すけ)る剣術奥義を記せし秘巻 只今授け与ふる間家に
かへつてひらき見よ 四海を撫づる釼の威徳 皆其中に有べしと差出し給へば押いたゞき 悦ぶ隙に神がくれ
翁は見へず成給ふ 六介感涙肝にしみ チエゝ有がたし/\ 日頃望みし此一巻神より授け給はるとは 忝しと押いたゞ
き心も空に飛ぶ鳥と供に我家にはせかへる 跡へ以前の二人の侍先生は何所(いづく)におはす 先生/\と呼こへに
かしこの方より件の翁 歩み出たる目前に 両手をつかへ謹んで 御存念首尾能達し 才力奇絶の六介
印可を伝授相済んで恐悦しごくといふこへ押へシイ 音高し人や聞く 望足(たん)ぬる此上は急いて国にかへらん
とえぼしかなぐり身にまとふ 白衣(びやくえ)を脱げば神人と 見へしは一味斎 杖つく音も谺して 今一こへの郭公(ほとゝぎす)待たね
                    どくれし 山路を本国さして かへりける