仮想空間

趣味の変体仮名

夕霧阿波鳴門 中之巻

 

読んだ本 https://archive.waseda.jp/archive/index.html

     浄瑠璃本データベース イ14-00002-816

 

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  中之巻

春や延宝六年と明わたる世もむかしの京 難波の

けさはめづらしき妻子引ぐし旧冬(きうたう)より 上本町の道場の

玄関がまへかりざしき お国の御用あら玉のこゝにとしとる

まめ男 阿波の国平岡左近と宿札も門のかざりに時

めきて武家はきら有春なれや 表の物見に女中のこえ

/\゛申おく様 めづらしい大坂の正月を はじめて見物致し

お国へ帰つてよいはなし 是もおかげと悦ぶにぞ ヲゝそち達が

 

云通 主のおかげは忝い 御用について左近殿我々つれて

わづか逗留の旅やどへけさから礼者のたへぬこと皆殿様の

御威光 左近殿は源之介つれて 天満とやらの神明様へえ方

参 おやの子とてしほらしい六つや七つで馬にのる 追付左近

殿の名代御奉公つとめるを 見るで有ふと御祝の所へ 旦那の

お帰りさき供はしる黒羽織 ずつ/\素鑓くりげの馬 のつ

しのしめにあさ上下親につゞいて源之介 あけて七つの

ちゝのまふまんぢうなりの中ぞりも めもとかしこきうない松

 

 

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千世をいばゆる土佐駒に 手綱かいくりしやん/\/\ くつわの音は

はりゝん/\ りんとすはりしはかまごし物見の前を乗廻せば

是々源之介もどりやつたかめでたい/\ さぞ馬上がさむ

からふおとなしいでかしやつたと まねかれて源之介申かゝ様

え方参に天満へよつて 是かふてきましたと 土人形の天神

手綱に持そへ 私が是もつているのを道とをりが見付て

とつ様を見しつているやら 親は太夫かひ子は天神かふと云て

笑ひました おれにも大きな太夫かふて下されと あどなき詞

 

にこし本共きのどくがり 是しい/\とめますれば源之介 ヤイ

だちん馬の様にしい/\とはぶ調法な 侍の乗馬は是此様に

はい/\ はい/\/\と親の心もしらあはかませ 門内へ乗入しふ

りいたいけにおとなしゝ 今の詞にこし本衆口をとぢておく様の

きげんをうかゞふ体なれば 是々源の咄を聞たか 道通りが左近殿

太夫かひと云たげな 此前大坂おやしき役の時 新町がよひ

に夕霧と云太夫になじみをかけ 源之介をまふけたは定てみな

も聞つらん 人の見しるもことはり大名高家も母かたのぎんみは

 

 

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なし 大じないとは云ながら あの子が心は此雪をうみの母と思ふて

いる 必々夕霧が子と云噂きんぜいぞや 其夕霧をも請出し

あの子が乳にをくはづ 傍輩なみにあしらやと仰もはて

ぬにこし本中口々に アゝおく様のあんまりけつかう過ました

我みがなんぼさたをいたさず共 あのけいせいんのばしやれ者そ

れをいはずにいませふか お袋ぶつてはな高ふお家をありたい

まゝにして かゝ様をふみつけるは今のこと/\ まだそれ斗か下地が

にやこい旦那様 小じたゝるふしかけたらほつかりとくひついて

 

田もやらふあぜもやらふで おく様はうつそりはな明てしまはん

しよ 小むやこしいあたぶのわるい こりや御無用に遊ばせとたき

つけらるゝ女心 アゝいへばそふじやおれはいかいあほうじや いのり

ものけたい恋のかたぎもつていてあてがふは ぬす人にくらの番磁

石に針 皆に気を付られてはやもや/\とはらが立 後にく

やみの出るはぢやう請出すことをとめにやらふ 皆でかいたよふいふて

くれた 扨は弥やめになされますか はてやめにせいでなんとせふ アゝ

気がさつはりと成ました おりん殿よいきみか わしやつかへがおり

 

 

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ました おしゆん殿はなんと こちやかねひろふたより嬉しいと 身に

徳もなきほうかいりんき是ぞ女のならひなる あれ北から千文

字の道具 お蔵やしきの小栗軍兵衛様年頭のお礼 御一門

の中でもあたなはかたいそりや/\と 物見のすだれおろす間に

はや玄関に物舞うどれい小栗郡兵衛御慶申す 旦那幸

宿に有いざお通りと云ければ 軍兵衛玄関に立て是家来

共 御用について左近殿と申合すること有 しばらく隙が入べき

ぞ やしきへ帰つて八つ時分あいひにこい ない 其中少はやくこいない

 

ゆだんするなと入ければ わかとう始ざうり取はさみ箱皆々

宿所へ帰りしが 道具持の槌右衛門 ひとり残つてだい所のぞ

き 誰ぞ頼みませふ めしたきの竹よび出して下されと いふ所へ馬取

之角介にがいかほして ヤ槌右衛門わりや見ごと武家に奉公

するかやい 此角介がわづかな切米の内五百五十と云ぜねをとり

かへた 冬とし一言のことはりもせず 今も先身にあひたいといふべい

所 竹をよびだしくれとはのぶとい者だ ぜねのすむ迄是を取と

鑓の柄にすがり付 まて角介鑓持が鑓をとられては 槌右衛門

 

 

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が首がない 五百や六百でうる首じやないならぬ ヤア取て見

せふとせいあふ最中 竹はしり出エオウ角介殿道理じや 銭

は竹がすますかんにんして下され エゝ情なのしやうわる男めや

せけんを見てはぢをしりやお小人町の久六は こなたよりわかい

人八けん屋のかめとたつた一年念頃して 小銭ためてやど持て

冬としも靏が橋のおばゝへ 大きな鏡にめぐろそへてすへら

れた 藤の棚のねぢ兵衛はこなた程鑓はふらね共 おはらひの

ねり衆御妻がはり人のきに入やとはれて まじやう者といは

 

れた故片町のふりを内へよび入 師走にひろめが有たぞや

是でこそ女房のかたもいかるはいの こなたといひかはして明け

て四年 給分一文身につけず皆こなたに入あげる それに

なんじやよい年して 長屋へびくにん引入日がくれるとはまぜゝり

まだ其上にいなりあたりのうら屋小路をのぞき廻り あげく

に此頃は夜見せ狂ひも付たげな わしとても木竹しやなし

りんきもしたいはらも立 エゝにくいとは思へ共 アゝそふじやない を

なごに生れたいんぐはじや 男のさがをあらはすまいとずいぶんわしが

 

 

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身をつめ三度つける油も一度つけ せきだはくをざうりにし

ざうりはくを裸足でしまひ なべかまのみかくにもこなたの

ひげに入と思ひ よ所をのけてをく我身のことにはもとゆひ一

筋かはぬは 男を大じにかける故じやないかいの 女房にはくらうを

させえようが余つて色狂ひ 聞へぬ人じやとしめなきに うらみ

くどくぞふびんなる 是こゝの御奉公は中途に参つてなじみはなし

お国迄も御内衆が悪名たてるが悲しい 此うはばりのあはせ

をぬぐ 角介是ですまして下されと おびをとかんとする所へ

 

おこし本のえいんはしり出 是々竹 そなたの心底おく様物見よ

りお聞なされ 扨々きどくな 上々迄も女たる身の鏡とこと

なふおかんじなさるゝ おく様にも少おきのすまぬことあれ共 そな

たを手本にお心がをさまつてお嬉しさ 師匠共思御ほう

びに 此鳥目百疋下さるゝ 扨角介は慮外な よその大じのお

道具に手をかけるらうぜき千万 重て此こといひ出さば旦那様

へ仰られ うち首になさるゝとの御意じやといへば あたま角介

ふつてうづら 竹は悦びアゝみやうがもない有がたい 兎角お礼は

 

 

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よい様にといたゞき/\ 是槌右衛門殿是もつていなつしやれ 何を

見こみに此様にかはいひぞと たとへのはだか百疋を すぐに男に

鑓持に過たる 妻が「たさしさや人の情に 夕霧が 思ひ

もよらぬ此春の 子の日を根から根引の松にかゝる 藤屋の

伊左衛門我子のかほの見ま欲しくならぬはぬかごのかたはなをかくれ

て忍ぶほうかぶり 夕霧もすだれごし子を見るけふの嬉しさ

より おつとにわかるゝ物うさは上本町にぞ着にける 宿礼を

見て喜左衛門 どなたぞ女中方頼みませふ ハウどれからぞとこし

 

もと出れば 私は九軒町吉田屋喜左衛門と申者 おく様より

お頼みなされし扇屋夕霧身請のこと 随分とかけ廻り金

子は当月一はいに お渡しなさるゝ約束でえいやおふと首尾

なり 只今是へ同道 扨々節季のいそがしい中私のはたらき

春の用意正月のお客のせんさく 銭かねの請払をしつめ

ての節分 大豆で打出す鬼の首とつた様にぞ申ける 成ほど

おく様にも其お噂 扨はあれがけいせん殿かとかごをのぞいて ハウアウ

けいせんと云もの始て見たやつはり常のおなごじやと はしり

 

 

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入ておく様/\ けいせんが参りました ヤアかしましい皆物見から

聞ていた けいせい/\いふまいぞ 今よりは源之介のおちの人 侍町

人のれき/\につきあふて 心も至り目はづかしい そさうしてわらは

れな盃の用意せよと ひそめくこえに左近かつ手へ入ければ 是

なふかねて申せし夕霧のこと 吉田屋の喜左衛門が埒明つれだち

きたとのあん内 なんと子の雪が様なりんきせぬ 気の通つた女房は

ござんすまいがとわらはるれば ヲゝ御きどく/\去ながら ざしきに

かたい軍兵がいらるゝ今内へはよばれまい 表にをいても目にたつ

 

どふかこふかとしあんなかば 門前には喜左衛門アゝいかふつめたい 夕ぎ

り様は御病後早ふ内へ入まし 火に成共あてましたい 頼みませふ

/\とよばゝるこえわかたう中間ばら/\と 小栗軍兵衛迎ひ

の者と やつこのこえあげ屋のこえ やり手はなくてけいせいに鑓持

まじりやかましし やゝ日もたけて軍兵衛おいとま申と立出る

左近おやこをくつて出有代(だい)あれば軍兵衛 ヲゝ源之介殿おとなしう

ござるよ 追付殿の御用に立めされふ 随分弓馬のけいこせい

出し申そふぞ 永日(えいじつ)/\といとま「ごひして帰りけり 左近おや子玄

 

 

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関に立やすらひて見送る体 伊左衛門はるかに見て あれは我子か

むかしの伊左衛門ならば 人の子になさふか大小こそさゝせず共 あま

たの手代わかい者若旦那とかしづかせ 京大坂の町人の誰かは

おとるべき 侍とてもまけまじき母おやのかごをてゝがかき 我

子の門にはひつくばふ我親にそむきたる 其罰ひつちそ思ひ

しり くやみ涙にほうかぶりの手のごひ ひたす斗也 おくがたもはし

近く なふ/\喜左衛門か 其かご是へと他事なきふぜいそれを力に

夕霧は かごも思ひももれ出て平様お久しうござんす おく様

 

のおじひにてあのお子のおうばに つけらるゝはづながらのら

ぞんざいのわたしが身 気色もしか/\はかどらねど先わこ様を見

たさにと打守り あれ喜左衛門様扨もけたかいよいお子や

聞及びしよりおとなし様常ていの者の子が 七つや八つでかふ

有ふか 人はすぢめがはづかしさすがとゝ様のお子程有 とゝ様

のお心がさこそと推量せらるゝと 表の方へめをくばれば伊

左衛門も首のばし たましひぬけてみどり子の袖に とび入ばかり也

左近ふうふはきもつかずサア喜左衛門 先少成共金子渡そふいざ

 

 

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ざしきへ 是源之介 あの人はわがみのうばなじみをかけていとしがり 此

かゝも同前に おとなになつてもうばは見捨ぬ物じやぞや 吉田

屋こちへとにこやかに打つれ「ざしきに入にけり 夕霧あたりを

見廻しなふなつかしやさつきにから だき付たふてならなんだと すが

りついて泣ければ伊左衛門もはしり入 思はずしらずやれかはいの者

やと だき付所を源之介飛のき やいかこかきめ むさいなりで侍に

だき付慮外者めと わき指に手をかくるアゝ/\申まつひら/\御

めんなりませ 私が伜にちやうどお前程がござれ共 ちいさい時

 

から人手に渡し 見たい/\と存る折ふしお前を見付どふもこたへ

られず 心みだれて慮外の段御免遊ばし あこぎな申ごとなれど

お侍のおじひに とゝかといふて私にだき付て下されませと ひた

ひを畳にすり付て手を合せてぞ泣いたる なんのをのれをとゝ

といはふおりやとつ様にいふてこふと かけ入所を夕霧だきとめ是

申 うばかはじめての御そせう頼上ると泣ければ うばのいやる

ことならいふてやらふ とゝ様なふとだき付を ヲゝ忝いとゝじや/\と嬉

しなき 夕霧もうら山敷ついでにわたしもかゝといふて下され

 

 

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かし ヲゝいふてやらふ是はかゝ様 ヲゝわしが子じや是はとゝ様おれが子じや

ふたりが中の思ひ子のおやこふうふのより合は 又今生ではかなはぬと

ないつ笑ふつ様々にてうあい こそは道理なれ おくより左近がこ

えとして 藤屋伊左衛門 /\とよぶこえすなむ三ばうと進出れば

つゞいて左近走り出袖をひかへて 是いにしへ参会せし 阿波の大

じんと異名をよばれし平岡左近 そなたにうらみはなけれ共夕霧

にいふこと有 それにて聴聞いたされよとかはとつきのけ涙をうかめ

エゝ偽りおほき遊女のならひおどろくべきにあらね共 是ほど迄

 

よふも/\此左近をつもりしな 此子は伊左衛門が伜とは 先年しゝ

たるやり手の玉が咄にて とつくより聞付無念共口おし共心一つに

たへかねしが いや/\あらためては侍の身分立ず ことに此子も

我々ふうふを誠の父母と思ひむつましく ふびんさものます故に

えんでかなとあきらめ 二世とつれそふ妻にも深くつゝみ 夕霧

がうんだる其が実子と偽りしかば さすが女房のやさしくも

夕霧が心をあはれみ うばと名付此内へよび取しは皆此伜が

かはいさ故 それになんぞや浅ましい体にて忍び入 おやよ子よのと

 

 

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名乗あひ しらぬ子にちえ付る ヤレをさなくても此子はな 馬

に乗鑓つかせおひさき立身たのしむ身の 伜に恥をあたへん為

か左近が武士をすてん為か 色にまよひばかつくし女共が手前

もはづかし エゝうらめしやぜひもなや伜をかへすつれかへれ 町人

の子に刀脇指無用也と引よせて もぎ取所へおくがたははしり出 なふ

情なや此子がことは我とても じきの咄を聞しか共しらべてはお

侍の一分すたるとしあんして もらひ切たる此子也今返しては武士

が立ぬ 一寸もはなさぬとだき上るを引はなし 身を立名を立 一分

 

をたつるといふも子孫の為 実子も持ぬ此左近たがために

身をおしまん 一分すてるがつてんと大小もぎ取つき出す  いや/\

たとへこなたは返しても けいやくして子にしたからは此雪が返さぬ

夕霧ももどさぬと取付を引のけ すがり付を引はなしおつとを

もどく見ぐるしと おく方ひつ立玄関をはたと 戸さして入に

けり 伊左衛門も夕霧も前後にくれてとほうなく 源之介なき

出しコレとゝ様かゝ様 おりやかごかきの子ではないはいの けいせいの子

にはなりともないとゝ様の子じやはいの かゝ様の子じやはいの こゝ明て

 

 

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くれやい侍共 あけをれやいと泣さけび玄関の戸をとん/\と たゝく

楓のわくらはにこたふる者もなかりける 夕霧いkもたへ/\ながら是

源之介がてんしや 真実そなたは左近殿の子ではない 母こそは夕

霧てゝごはそれ藤屋伊左衛門 さもしい人と思やりな江戸迄も

しられて 左近殿より大身の武家におやこも有ぞいの かゝ様の御

牢人そなたもうきめ見せまじと 左近殿の子と云しが誠の親

とかり親の 心はさしもちがふかや 左近殿もそなたをよもにくふは有

まいが わか身の無念一たんのはら立に いとしいそなたを捨らるゝ あの

 

とつ様や此かゝは今のごとく人中て ふまれぬ斗にはぢをかき い

ひさげられてもそなたをだくが嬉しい あふが嬉しいにくしん分けし

本の子は かふもいとしい物かいのかゝが此気色では もふあふことはなる

まいとつ様のこと頼むぞや せめて一年しつとりとひとつねふしもし

たいぞと かきくどきしみ/\゛と信実つくすうき涙 源之介聞分け

て こなたが本のかゝ様とゝ様はこなたか けいせいでもかごかきでも

本の親がいとしいと 涙まじりの笑ひがほ血の筋見へてあはれ也

ヲゝでかいた/\侍とてもたつとかゝず 町人とていやしからずとうとい

 

 

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物は此むね一つ きづかひせまい伊左衛門が妻子 うきめはさせぬ力

おとすな/\と いへ共我も力なく只ぼうぜんと成にけり 吉田屋喜

左衛門かごかきやとひぜひなし共おせうし共 参りかゝつて我らの

めいわく 外のことならば何とぞしあんもいたずべきが 申ても霧様

は親かたがゝり ことに病中大じのお身 先つれ帰つて扇屋へ手

わたしせねばお為にもいかゞ いざめしませとかきよする 扨は二

びわかれてくるわへ帰るかや ハアウと斗にかつはとふし すでにいき

もたへんとす伊左衛門だきおこし 吉田屋は印籠の気付様/\

 

かん病しやう/\しやうね付けるが むかしよりいくたりかこふした

身のうきなんぎ はなしにもきゝつれど是ほどのつらこと

かさなればかさなるかや今あふて今わかるゝ あの子をせ

めてあひかごでいざおじやゝとだきよするを 引はなし

それは喜左までめいわく これ世にも人にもうらみなし 左

近もいはゞ尤至極 女房がなさけといひたれか親子三

人にあたするものはなけれども おやにさからひたからをつい

やし身をおごりたる其むくひ あれあの天道ににらまれて

 

 

31

いづくにて身のたつべきぞ 百里きた道は百里帰る むかし

のえようほどうきめを見ねばつみきえず 男故のくらう

とおもひ帰つてくれとなきいさめ すかしのすればよは

/\といひたいことのかず/\も せきくるなみだせきくるむ

ねいのちのうちに今一ど かほばせ見たいあひたいまつ

ごの水をあの子の手から たのむ/\と夕霧の名にたち

かはる夕がすみ見をくり 見をくるかど/\の 松に太夫

おもかげをのこして わかれ「帰りける