歌川国芳画
瀬をはやミ岩にせかるるたき川の
われてもすえに あはんとそおもふ
詞花集恋の部に入る こゝろハ瀬のはやき川の水の
岩にせゝかれて左右へわかれても 末にハまたあふ
ものなれどつらき人にわかれてハ後にあひがたき
習ひなるをわりなくても末に逢んと思うハはかなき
事ぞとうち嘆きたるハ実に意味ふかき御哥なり
瀬をはやみ 岩にせかるる滝川の
割れても末に 逢わんとぞ思う
詞花集-恋の部に入る。心は、瀬の速き川の水の岩にせせかれて左右に分かれても、末には又逢うものなれど、辛き人(薄情な人)に別れては、後に逢い難き習いなるを、わりなく(道理に合わない)ても末に逢わんと思うは儚き事ぞと、うち嘆きたるは、実に意味深き御歌なり。