仮想空間

趣味の変体仮名

国貞 まず日柄は春に似て

 

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まづひがらは春に似て
いろもかほりも太夫の
くらゐいつもゆかしき
梅の花むかしながらの
さくら花木々のこずゑの
さきみだれ雲か
霞のむらさき
ぼう/\
しどけなりふりとり
見たし

 

 

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「アノ
わたしやアもう
いつしやう女と
はだはふれまいと
おもふほどおもひ
つめてゐるから
おまへかならず
うはきらしいことをして
おくれでないよ
エヽばからしいほど
いヽねへ

 

 

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「なにくちで
ばつかり
そんなことをいつて
きけばこのごろは
結城へばつかり
入りこんで
うす/\きけば
たとうをつかふそうだ
エヽはらのたつ

「アレサそんなうたぐりぶかい
そりやアもう女のみちは
ぜひもねへが男にばかり
かぎつちやアおまへより
ほかにはいないはな

 

 

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「それはほんとうかそれでこそ
かはいヽ/\ もう/\/\/\
たまらねへ/\ なぜこんなに
いヽだらう女色は又かくべつで
男色はしまりがよくつて
ひとりでに気がいく/\
アヽそれ/\/\

「アレサおまちよ
わたしもいつしょに
やるからよ

「すてきによがりね ア がなぜ

 

 

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「男色もしつけねへ
やつはうしろからばかり
するものとこヽろえて
ゐやアがるが そういふ
やつらアけつの
わけをしらねへ
とんちきだ
ほんの こつたが
かうけつへ
いれかけると

 

 

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わかしゆの
ちんぼうを
おれがはらと
そっちの
はらとの
あいだへ
かう いれて
それ/\
かう
こしを
つかふ
たび

 

 

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はらと
はらで
こする
あん
ばいは
どうだ
/\

「あれ/\
あにき
わたしやア
もう
いきそうだよ
アレサ
ひどく/\
ていヽ/\
/\/\

 

 

 

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まず日柄は春に似て 色も香りも太夫の位
いつも床しき梅の花 昔ながらの桜花
木々の梢の咲乱れ 雲か霞の紫 ぼうぼう
しどけ成り振り鳥見たし(取り乱し)

 

女「アノ わたしゃもう一生女と肌を触れまいと
  思う程思い詰めているから お前は必ず
  浮気らしいことをしておくれでないよ
  エエ ばからしい程 いいねいいね

 

男「何 くちで(口手間)ばっかり そんな事を言って
  聞けばこの頃は結城へばっかり入り込んで
  うすうす聞けば たとう(たとう紙?)を使うそうだ
  エエ腹の立つ

 

女「アレサ そんな疑り深い 
  そりゃあもう女の道は是非もねえが 
  男にばかり限っちゃあ お前より他には無いわな

 

男「それは本当か それでこそ可愛い可愛い 
  もうもうもう 堪らねえ なぜこんなにいいだろう
  女色は格別で 男色は締りがよくって
  ひとりでに 気がいく気がいく アア それそれそれ

 

女「アレサ お待ちよ 私も一緒にやるからさ

 

男「素敵によがりねえ ア が 何故

男「男色も仕付けねえ奴は
  後ろからばかりするものと心得ていやあがるが 
  そういう奴らァけつの分けを知らねえトンチキだ
  ほんの こったが こう けつへ入れかけると
  若衆のちんぼうを俺が腹とそっちの腹との間へこう入れて
  それそれ こう腰を使う度 腹と腹で擦る塩梅はどうだどうだ

 

女「あれあれ あにき わたしゃァもういきそうだよ
  アレサ ひどく ひどくて いい いい いい いい