読んだ本 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10301710
参照した本 (コマ21)
http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/he13/he13_02378_0304/index.html
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「つゞき」此うへとても岩藤まさたらはぬことは
よいやうに「さしづしてくれう何のそもじの
御はつめいこなたのおやは金もちで
お金御用をつとめやるそのかうまんが
はなのさきへぶらついてコレ此つらに
みえるはいの其角とやらの句に
口切やなんぢをよぶは
金の事コレ金持づら
やめにしてくだされ
尾上殿お表ならば
用人かくのつぼね
やくをなご一通り
はもちろんまん一
らうぜきものがおくへ
切入うがまゝをなご
ながらもごぜんの
じゆごうちとる
きりやうが
なけりや
つとまらぬ
「テモ
まアおそ
ろしいたく
みごとじや
そもじも心がけ
がござるか
しせうは
何といひ
まするいのう
イヤモおとま
しやこゝな
ろくぬすびと
「づぎへ」
(右頁下)
「モシ
てん
ぜん殿
いつぞや
とり
おとした
みつ しよ
なんでも
尾上めが
あたらめて
けつかると
きのふも
かう/\けん
くわしかけ
ても
さて
/\
しぶ
とい
女かく
申し
此いへ
を一ト
のみ と
思ふ
お まへ や
わたし
アノ
小あま
いつぴき
又もやう
をかへて
きやつを
ぼいまくれば
のゝみやたか
さご此一家
中はおまへ
とわしが
心のまゝ
「京都
よりの
御ない故に
御かとくは花若との
事 スリヤこれまでの
心つくしもあだ事
しかしかんじんのつぎ
めのりんしをちやく
ぶくしておけば花
若のかとく
おもひもよらぬ
いづれじやまなをのへ
めをシイこえがたかい
かべにみゝいわのものいふ
よの中コリヤひすべし/\
「この上とても岩藤様、足らわぬ事は良い様に」「指図してくりょう?何のそもじの御発明、こなたの親は金持ちでお金御用を勤めやる。その高慢が鼻の先へぶらついて、これこの面に見えるわいの。其角とやらの句に、口切や 汝を呼ぶは 金の事、これ金持面やめにして下され尾上殿、お表ならば用人格の局役、女子一通りは勿論、万一狼藉者のが奥へ切り入ろうが、まま女子ながらも御前のじゆご(守護?前後?)討ち取る器量がなけりゃ勤まらぬ。そもじも心掛けがござるか、師匠は何と言います?ないのか?いやも、おとましや、ここな禄盗人
「次へ!」
(右ページ下)
「もし、天膳様、いつぞや取り落した密書、なんでも尾上めが温めてけつかる、と昨日もこうこう喧嘩仕掛けても、さてさてしぶとい女、ああ申し、この家を一飲みと思うお前や私、あの小アマ一匹、又模様を変えてきゃつをぼいまくれば、野々宮高砂この一家中はお前とわしが心のまま」
「京都よりの御ない故に御家督は花若との事、すりゃ、これまでの心尽しも仇事。しかし肝心の継ぎ目の綸旨を着服しておけば、花若の家督、思いもよらぬ。いずれ邪魔な尾上めを、」
「しい、声が高い、壁に耳、いわのもの言う世の中、こりゃ秘すべし、秘すべし。」