見立多以尽
かほが見たい
巫山(ふさん)の雨を憎む歌妓(べっぴん)は。俳優買(だうらく)の。
お座敷つゞきに。とり/\不参の
雨を妬まれ。破鏡ふたゝび待合
の。軒行燈を照さずして。髭
大尽を取逃せば。懇望(ねだり)て
置た釵(かんざし)も。落花かさねて頭(かうべ)に
のぼらず。何と正午の号砲後(どんすぎ)
に。化粧(みじまひ)だけは仕あげても。面白
からぬ口なしの。山吹色の
楮幣(さつ)の顔。見ねば心のすみかねる。
欲の世の中/\
見立多以尽
かほが見たい
巫山(ふさん)の雨を憎む歌妓(べっぴん)は。俳優買(だうらく)の。
お座敷つゞきに。とり/\不参の
雨を妬まれ。破鏡ふたゝび待合
の。軒行燈を照さずして。髭
大尽を取逃せば。懇望(ねだり)て
置た釵(かんざし)も。落花かさねて頭(かうべ)に
のぼらず。何と正午の号砲後(どんすぎ)
に。化粧(みじまひ)だけは仕あげても。面白
からぬ口なしの。山吹色の
楮幣(さつ)の顔。見ねば心のすみかねる。
欲の世の中/\