仮想空間

趣味の変体仮名

豆腐百珍余録

 

 読めない字も読み間違いも改めるのがめんどくさくてそのままに、

 とにもかくにも最後まで読みかっ飛ばしました。

 

 

読んだ本 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2536674

 


11
青豆(?)豆腐
豆腐水を去り、枝豆とよくすり
合せ、葛の粉少し入れ、紙一面に付け、
細き竹を当て、小口より巻きて、茹で
る也。何程細く切ても豆腐よく
つく也。
 但し枝豆なき時は青どり
 を用いる也。青とりは茶をすり


12
てゆで、浮かみたるをよせしぼり
用る 也此二色入さるも又よし
結豆腐は是を結也 

菖蒲豆腐
豆腐角に取り四方を焼く 焼くやう青竹の
串へ刺しつよからぬ火にて
打かへし/\焼べし 古酒
にてよく煮たる上醤油を入る也 こし
あんを掛けたる物也 こしあんは好悪により
          砂糖を入たるも有べし

読何豆腐
源氏豆腐と其まゝ煮てこし
芋を掛たる也 煮過る時は葛
薄て悪し
源氏豆腐はよく水を去り葛の
粉を衣にして油にて揚る
を云 ふじの根といへるは常
の細焼豆腐にてこし芋
を掛る也


13
秋の山
豆腐水を去りよくこし初茸松
茸舞茸しめじの類味付けにし
て豆腐に入れ箱に詰めてよく蒸し小口
より切る也
但し爰(?)葛ねり水わさび也
水わさびは小口より切て沸湯に
?て湯葉のもれさるやうにし
てよくさまし用いる也

ふの焼豆腐
豆腐水を去りよくこし饂飩
の粉少し入れ焼鍋にのべ
焼きて四方よりつゝむ也
但し中へ入へき所は時の?
しきを用いる也 これ味付け也 又葛
ねりばかりをもつつむ也
い條まき豆腐はこれに伽羅煮
ふきレンコン長打等を入れ小口より


14
まきて切るなり但し寸包小口へは葛
の粉少し入て蒸すべし

元那と田楽
豆腐よく水を去りよくこし海苔一
面に薄く付け 切て油にて揚る也
但しこの上きんせうなた油にて焼く也
又岩茸に付も同じ

柚豆腐
豆腐水を去りよくこし兼て入へき

所をつつみ丸め油にて揚げ柚釜
の蓋のことく小口を切り中をく
つろげ酒醤油を合せさし
土器に乗て焼く也
但し柚子有時はしぼり柚
を用べし なき時は陳皮を
ひたしたる醤油よし
白玉豆も右に同じ油にて
揚さる也 是は紙につつみて蒸


15
也 但しこの豆腐には焼塩少し
入れる也 尤も葛ねりを用

かまほこ豆腐
豆腐よく水を去り築芋をすり
まぜ饂飩の粉少し入かまほ
この形になし板に付て焼く也
但し芥子醤油にて焼きたるよ

はんへん豆腐はこれを焼かず
して茶碗小皿の類いに入れて

蒸す也

松風豆腐
豆腐水を去り古酒にてよくよく
煮立て色の付たる時築芋と
葛の粉を入れ松風のことく薄
くのべて焼く ?式は板に付けて焼く
芥子をふる也


16
但し砂糖焼塩加えるもよ
し 尤も油を引焼されも悪し

ふよ/\
豆腐水を去り紅花にて色を
付け長芋をすり合せ葛少し入れ
沸湯に?て後よく酒にて煮
たるうへ醤油を入れてよし

よせ豆腐 式きせい豆腐と云ふ

豆腐よく水を去り細にして
七年酒五合入れ煎り付けて後醤油
三合砂糖少し入れ亦煎り上げて
焼鍋につめて焼く也
但し焼鍋には油を引き暫く火
に掛けて豆腐を入れる也 豆腐を入れ
たる時は火を四方へ去りて火気
ばかりにて焼く也
右の酒醤油は豆腐一丁の積


17
也 豆腐二丁焼くには酒醤油倍
入れるべし 焼鍋も一丁掛け二丁
掛けとて有?也 尤も焼く時はふたを
つよくして焼くべし 切かた
は心にまかせ山川式は胡桃酢
を掛ける也 色用さるもよし

鯨豆腐
黒胡麻を細かにすり饂飩の
粉少し入れ海苔に付け豆腐水を

去り能くこし胡麻の上に高く
付け薄く小口切りにして油にて
揚げる也
但し豆腐にも葛少し入れて
よし
小しき豆腐もこれに同じ 紅
花青どりの類にて色を付
け掛けて後巾小包み蒸す也 黒
き色は昆布を用ゆべし

藪(?)豆腐


18
豆腐を中(ちゅう)さいのめに切 すい
のふにてつよくふり角とれ
て丸く成る時古酒にて暫く
煮て醤油を指し煎り付ける也
つゆけ残りたるは悪し 此上に
こし芋を衣に掛ける也

ふきよせ

豆腐の仕立右に同じ これは
海苔又青海苔の類を細末
して衣に掛けたる物也

朧月
豆腐の仕立右に同じ
但し古酒に砂糖焼き塩
少し入れ 列によく煮立てねばり出
たる時に右の豆腐を少し蒸付け
て後ふとき竹の内へよくつめ


19
沸湯に暫く入置て取り出し
小口より切る也 竹の筒は皮を去り
薄くすべし
いそ豆腐は前の青海苔
付けたる豆腐を名のごとくにし
て小口より切る也

吉野豆腐
豆腐を巾につつみよくしぼり
て後古酒にて暫く煎り付け醤

油を入て煎上げる 米を煎
たるかことく成るをよしとす
但し露気引き兼なるに
幾度も巾につつみしぼり
てよし
?段豆腐も各に同じ是は
つゆ気有時に取出し箱
によくつめて露をとり盛り出
す時に切てよし形は有分から
はしにかと(角?)さるを
よしとす


20
べいかう豆腐
是はかんてんを酒醤油にて
煮出しよくこして後砂糖少
し入れさめさる内に豆腐を入れ
置くべし豆腐の切りかたは時の
面白きを守とすべし
但し青みには貝割草又は
ぎん草の二葉を用る程工夫有べし

薄凍
是はかんてんに焼塩を入れ
とくと煮て後よくこし花形
に豆腐を切て入れる也尤もかんてん
には白砂糖少し加てよし
但しこの豆腐は塩湯にて暫く
煮て後又古酒を少し入れて煮
たるよし


21
かんせき豆腐
豆腐をそのまま塩湯にて
よく煮て後心にまかせ手にて
くだき紅花にて色をつけ
七年酒にてよくよく煮たる
上椎茸を煮出したる醤油
にて再び煮付ける也

但し露気有るは悪し青海
苔せん木茸又こせうの粉等
をかけるなり
氷豆腐も各に同じ塩湯
ばかりにて半時間ばかり煮る也これっを
さしみに用いんには色をまじ
へたるもよし尤もゆで上げて後
水へ入れる也

松かわ豆腐
木茸せん式は胡桃等時の


22
豆に随い豆腐にまぜ大小は
心にまかせ紙に包み油にて揚げ
小口切也
但し豆腐に入べき所何も
味付也 別に松皮豆腐と云ふ
は豆腐水を去りよくこし葛少し
入れ薄く板に付けて裏表よく
よく焼きて四五分四方に切りて用い
る也 又四方焼八はい豆腐の
仕立ても右に同じ

みぞれ豆腐
豆腐水を去りよくこし芥子
をすり入れて丸め葛を衣に掛け
て油にて揚げる也

かるめ豆腐
豆腐水を去り角に切りよく油
にて揚げて後上皮を去り古酒に


23
にて煮たる上醤油を入れる也
但し葛ねりにすべきは豆腐
に醤油過ぎたるは悪し葛は水
わさびにてねりたるよし此外(このほか)
切豆切くるみこし芋こし栗
など掛ける也 茶巾豆腐は此
むき取りたる皮に粉椎茸共
外味付にして包み袋のごとく
してかんぴょうにて結ぶ也尤も常の
豆腐にてもよし 金糸と言う
はこれをせんに打ちたる也

山吹豆腐
豆腐をよく細かにして後紅花
蒸し出したつ湯へ焼塩
を入れ酒少し加えこれにてよくよく
ゆで巾に包み水気を去り定
家豆腐を酒煮にして醤油
にてけげんし煮立たる上右の


24
山吹を掛ける也
但し山吹豆腐は露気をよく
去るべし 定家豆腐は豆腐
を長くとり角を切り四方を焼
て小口切りにする也 又平家豆
腐と言うは仕立て右に同じく是は
油にて揚げ小口切りにする也 豆腐
飯も仕立山吹豆腐に同じ 但し
飯の時は豆腐に酒を入れず塩ばかり
にえゆでる也 飯の出来上りたる
時まぜる也 五豆腐に紅国を用

す白きもよし又蓮の花に
この豆腐をつつみ匂のうつる迄蒸し
て用いる すべて飯は何によらず水
かげんの時茶碗に一杯酒を入れ
て甚だよし

羽二重豆腐
是は常の色紙豆腐也 その豆腐
を入れ置きたる器をふた共に打ち返し
置くは水とれてきめ甚だよし


25
つみ入豆腐
これは豆腐をよくこし葛の粉
少し入れ板に付けて包丁にてす
くい分からゆでてよし

小倉豆腐
豆腐の仕立て右に同じ 中には
砂糖煮の小豆焼塩少し入れ

紙につつみ丸くして蒸す也 葛を
ねりて包むもよし葛にかけん有也

粽豆腐
これはつと豆腐の小さき物 少し
前後を細くまきてゆでる也

春日野
これは細焼豆腐也 焼く時に焼き塩


26
に砂糖少し入れ山椒の粉も
少し加え豆腐に付けて焼きて後
枝豆をよくすり煮立たる醤油
にてのべ 葛ねりのごとく掛ける也

すだれ豆腐
豆腐をそのまま酒にて煮たる
上焼き塩にて味付細かにすり青平

昆布へ幾重も付け少し重き
物を置きて蒸し小口より切る也
但し青平こんぶを重ねるとき
葛の粉少しぬりてよし青
平昆布は酒醤油にて煮て後
よく洗て用ゆべし 常のすだ
れ豆腐は細き竹のすだれ
にはさみてゆでる也 うづまき
も右に同じ これは昆布の小口
よりまきて蒸すなり 又かまぼこ
豆腐の中へ昆布二重三重に


27
折て九年甫を入れ小口より切るも
よし

竹輪豆腐
これは豆腐をすり細き竹に白
紙にてつつみ塩湯にて煮る也

茶碗むし
芥子をよくすりて後豆腐に入れ
同じくすり煎酒に醤油をか

げんしたる露にてのべ茶碗へ
盛たる所の上に掛けて蒸す也
但し玉子仕立てには紅花を以て
豆腐に色を付ける也 茶碗へ入べ
き所々は尤も味付たるへし
又豆腐に築(?)芋を少しすり入
らるもよし

豆腐すし
豆腐水を去り薄く切りて塩湯に椎


28
茸を入れ酒少し加え一時余り煮
立て豆腐かたく成なる時取り出し
よくよく露をとり白胡麻をよく
すり酒醤油に入れ卯の花をよく
こし煎り上げて後右の豆腐を積み
暫く重き物を置くべし
但し卯の花の中へ切くるみも入れ
てよし 又飯に積るには豆腐に醤

油を入れ塩を少し引へし飯には
酢を入れてよし 又里芋長芋
の類を味付にして卯の花切
すしにしたるもよし

薄葛
豆腐水を去りよくこし焼塩
にて味付け砂糖少し入れ薄く/\と
ゆばに付けてほいろに掛ける也
但しゆばはひろゆば也 ゆはにも
酒醤油かげんしとる露を草


29
せんにて打べし豆腐少し皮とり
たる時少し重き物を乗て置く
べし 又芥子をすり醤油に
合豆腐をのべたる時はゆばはその
まま用いるべし 尤もほいろに入れさる前
心にまかせ形をなすべし煎餅の
ごとく成るをよしとす

海苔かるめ
豆腐の仕立て右に同じ
但し豆腐を海苔に付けたる上にて
煎餅の大きさにとりほいろに掛ける也

豆腐少し皮とりたる時小口より
まきて紙につつみて火取也又芥子
をぬりてまきたるもよし 別に
海苔かるめと言う有り これは豆腐に
築芋くわい長芋の肉をすりまぜ
焼塩少し入れて味付け常の海苔
すしのごとく小口より巻て板に
のせつよからぬ火にて焼き小口切り也

ゆば巻豆腐
これはひろゆばに醤油を打ち海苔を


30
よく細にふ?て一面に付け豆腐水
を去りすりて海苔の上に重ね付けて
小口より強く巻きて蒸す也
但し葛ねりの時は豆腐味付けに
及ばず

八重ひとへ
豆腐を角にとり四方より焼き古
酒にてよくよく煮て後醤油少し入れ

昆布を煮出したる湯をさし
豆腐色よく付く迄煮立て葛ねりを
掛けたる上を又白葛ねりにて包む也
但し葛ねりはかたくねりたるよし
白葛ねりは砂糖少し入れやわらかにねり
板の上一面に流し水上に乗せ置くべ
し これをよき程に角にとり右の豆
腐を包む也 又つつみ朧というは前の
露豆腐を大きくしたる物にて
紅花にて色を付ける也煮立ても前に


31
々 此時の白葛ねりは焼塩砂
糖少し入れてよし 又薄花と
いうは常の花形色紙豆腐を砂糖
少しふりて塩焼きにしたる上べに
にて薄くいろを付ける也 この時の白葛
ねりは醤油少しばかり入れてよし 四方
よりつつむ事前に同じ すべて
この類の豆腐は盛り出す迄にさむる
故に葛にてつつみたる時又紙に包み
蒸して置くべし 又薄みとりと
云ふは右の葛ねりに青海苔を細末
してねり入れたる物也

庵きぬた
仕立藪豆腐に同じこれはすり
芋を衣にして油にて揚げる也
又松露を煎りつけて豆腐をすり
衣にして油にて揚げたる有りこれは豆
腐に葛の粉少し入れてよし 又油にて
揚げずして蒸して後でんがく又はこ
せう(胡椒?)醤油にて焼きたるもよし

半丁豆腐


32
是は今出川豆腐の仕立にして
せうが(生姜)味噌に砂糖を加え掛ける也
但し胡麻豆腐にもすべし胡麻は
皮を去りよくすり豆腐にまぜて蒸す也

思案豆腐
豆腐水を去り細にして葛少し
饂飩の粉を入れくるみ塩煮し
てよくすり豆腐に入れ巻ゆばの大きさに

にして能く蒸して小口より切りて
でんがくにする也
但し饂飩の粉多いは悪し
又くらげ巻というはこの豆腐を?
くらげに付けて小口より巻て蒸す也
又相良和布に付けて巻たるも
同じ これは油にて揚げたるもよし

柚?豆腐
豆腐水を去りよくこし芥子胡麻


33
の類を細末して入れ酒醤油にて
かたくのべ煎り白胡麻式は松茸
のせん等を入れ柚子の実を去り豆
腐を詰め暫く蒸して小口より切る也
但し豆腐の中へ入れるべき所々は
時の?しきを用いもっと味付け也 又柚
味噌のごとく仕立小口切にせさる
も有り

はづれ葛

仕立前の藪豆腐に同じ
これは栗の粉を衣に掛ける也
国川豆腐 ?葛 卯の花豆腐
利久豆腐 うづみ豆腐 洗
豆腐 蕎麦切豆腐 つと豆腐
土器焼 南禅寺 色紙切
紙?豆腐 茶せん豆腐 糸


34
豆腐 箙田等 小判とうふ
治?豆腐 八はい 鮎焼豆腐
庵豆腐

卅類の外に亦さま
/\名付たる有と難
多く世にふる物かく
?をつく??くも

 

 

 追記:江戸時代の豆腐の単価は50文で現代の貨幣価値に換算すると825円になるそうです。但し豆腐は今の4倍の大きさだったらしい。でかー。今売っている大きさで1丁210円程度と考えればそんなに高くはないかな。 http://entermeus.com/97013/