仮想空間

趣味の変体仮名

卅三間堂棟由来 三段切

 

読んだ本 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/856408

 

1

三拾三間堂棟由来
平太郎住家段
豊竹君太夫

 

 

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2
  卅三間堂棟由来 三段切
夢や結ぶらん 妻は あたりを
立退て 奥を覗いつ立戻り
かづ/\傍へ立寄てゆり
起せ共 夫は寝付の高鼾

 

 

 

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3
風が持くる斧の音 伐木
とう/\てう/\と 気を伐(きる)音
やこたへけん お柳は身内
の苦しみを じつとこらへて立
寄れど 得も岩代の結び松

我は柳の緑子が 顔を詠め
つとつ置つ 漸に気を鎮め
ヲゝ夫れよ 互に顔を見て居ては
身の上語るも面はゆし 寝
入給ふを幸に今 自が云

 

 

 

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4
残す 必ず夢と思さずと
白地(あからさま)に聞てたべ ノウわれ
こそ誠は柳の精 雨露(うろ)の
恵に生い育ちかやうに夫婦と
成る事も一方ならぬ因縁ぞや

先の生(しやう)にて誓ひたる 契りを
結ばん其為に 仮に女の姿
と変じ 柳が本(もと)に待受けて
夫婦と成しも五歳(いつとせ)の 春
や昔の春の頃 季仲(すへなか)が

 

 

 

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5
鷹狩に 鷹の足緒のかゝ
りし時 数多の武士にきり
崩され 既に枯なん此柳
其時お前が一矢の手柄 鷹
を助けて葉柳の枝に障りも

アレ/\/\ 又もや爰に散りくる葉は
我を迎ひに来たるかと 思へば
やる方詮方も 泣々見やる
足元へ散くる柳の葉隠れや
乱るゝ心押鎮め 其ときの

 

 

 

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6
情の恩送る月日も重なり
て柳の花のコレ此緑丸最早
今年で五歳(とせ)の春秋(はるあき)の
重なれば乳がなくと育つべし
成人の後々は父の弓矢を

請伝へ 潔い名を上てたも ヤ ヤ
母は今を限りにて 元の柳
に帰るぞや 必草木(そうもく)成仏と
回向を頼む夫よ子よ 離
れがたなや悲しやと いふ声


7
さへも忍び泣 立て見居
て見声上てわつと斗に
泣叫ぶ 音に目覚す平
太郎 扨は夢共現共 聞しは
誠で有けるか 何迚つれなく

やるべきぞと 抱き留れは一間
より 老母も供に転び出
様子は聞たコレお柳 嫁ん女
なふと呼ぶ声も 散くる柳の
葉隠れに形は消て失せにけり


8
そこよ爰よと母と子が
尋ぬる音に緑丸 かゝ様どこへ
行かしやつた かゝ様いのふ /\
かゝ様と父が後にかけ廻り
尋迷ふ稚子を 見るにたへ

兼爺(てゝ)親も 緑が母やい 嫁ん
女のふ かゝ様と声をはかり
に三人が 尋廻れば遉にも
引るゝ心 執着の 又も姿を
顕はす有様 ヤアかゝ様かと欠(かけ)


9
寄る稚子 夫も涙の声を上
非情の草木と云ながら 情
有ればこそ是迄に 睦まじくも
馴れなじみ 一人の若を設けし
身が 何迚ふり捨て帰りしぞ

せめては母を見おくる迄
供に介抱してくれよと
託ち嘆けば 漸に しほるゝ顔
と振上て 伝へ聞く 安倍の
童子が母上も 丁ど我身


10
と同じ事 一人の子を残し置
信太の古栖に帰りしとや
夫レは野干の年ふる身 我
は元より草木の 帰る古栖の
柳は今 切崩されて枯れ柳

帰るといふは消ゆる身に 何
迚形を残すべき 哀と思し
給はれよ 白河の法皇の御
悩み頻り迚 都の使ひ来りつゝ 我
身を切捨て申なり 最はや


11
朽木も時を得て 一宇
棟(むなぎ)と成る事も 一つは妙へ成る法
の縁 仏果に連れし縁あれば
情の恩を報ぜん為一つの
筐参らすると 平太郎が

手に渡し 夫レこそは白河の
法皇の前生(ぜんしやう)の御頭(みぐし)なり
夫レを手柄に御身の上 再
び出世をなし給へ 必々緑が
事 お頼み 申参らする エゝ


12
離れがたなや可愛やな
アレ/\/\風の音に連 柳の糸を
切払ふ 斧鉞(まさかり)がてう/\/\
谺は爰に 玉きはる 時こそ
来たれいざさらば /\/\の声

の下 姿は見へず成にけり
わつと斗に三人が 闇より
闇に迷ひつゝ 互に手に
手を取かはし前後不覚に
嘆きしが 涙ながらに平太郎


13
我子を膝に抱き上 ノウ母
人 我よりは此若が愛着に
引かされて 嘸や名残の惜
からん 譬へ姿は見へずとも
柳は妻がなき俤今一度

此緑に見せもし我も見も
したし 蔵人とやらんにも
対面せん 母人には此髑
髏 仏間へ直し下さるべし
某は今直に躮を連て


14
柳の元へ ヲゝ夫々 一時も早ふ
孫を連れてハゝア然らば直ぐ様サア
緑よこい と我子の手を引き
二足三足 深山隠れの山
寺に 入相告げるかねの音

かぞへながらもそろ/\と
探る足元見付る母 コレ平
太郎 そなたは何とぞ仕
やつたか コレばゝ様 とゝ様は目
が見へぬはいのふ ヤア/\そりやマア


15
いつから ハイ さればでござり
ます 一月余りふと鳥目が
おこりましたが 女房にも
云ふくめ 是迄はお隠し
申たエゝ聞へぬ平太郎 そふ

いふ事ならとくよりわしにも
アゝコレ何にもお構ひなさるゝな
したがお前にも此坊(ぼん)めも
マ今夜から嘸便りが ヲイノ折
も折とそなたのがん病


16
猶更わしも力がない アゝアレ/\
モアノ雪の降る事いはいの マア/\火を
燈しませふと行燈(あんどう)に
手早く燈し提灯をうつし
持たる緑丸 蓑よ笠よと

打着て そんならちよつと
参つてさんじましよ ヲゝ
怪家せぬ様に ソレ緑りよ
手を引よ あい/\/\ あいろ
は見へぬ鳥目の父 杖は


17
我子を力草 柳が本へと
たどり行 母は仏間の看
経(きん)に鉦も幽に六字詰 風
も身にしむ黄昏すぎ
心の鬼の和田四郎 昼の

衒の兼てより 夜は山賊(やまだち)の
大胆不敵 何でもほり出し
しこためんと 大だら差足
窺ひ足 ぎし付く畳の物
音に 誰じや/\ イヤ大事無い


18
盗人じや ヤアと恟りしなが
らも イヤモウ折角這入らしや
ても 見込のない此内 了
簡して逝で下され イヤコリヤ
婆 おれじや ハテ昼来た者

じやが 見知ぬか ムン昼来
たと云やるからは ヲゝ畑主と
云たはアリヤ皆嘘じや山家
のとろくには似合ぬ黄金
十枚はハゝよい仕物 まだ臍


19
くりが有ろありだけそ
こへさらへ出せ コリヤ 命は助け
てやるはいやい と鯉口ならし
威しける エゝ口惜い夫レと知
たら其時に やみ/\とはやる

まい物 エゝ平太郎は戻らぬ
かいの エゝやかましいはやい コリヤモウ
どふですなをでは出しをる
まい 捜してくれんとかけ
行を そふはさせぬと取


20
付くを 蹴飛し/\のつかのか
納戸を引出す古葛籠
あたふた明けて手に当る
親子が着がへに包んだ大小
鮫は鼠がまだ外に 御明かし

上げた釣りかまへ 備へし髑髏を見
て恟り どこやらぞゝかみ立
退きしが 打點(うなづ)いてコリヤ婆よ
葛籠に刀が有からは浪人
に極つた が又 あの髑髏(しやれかうべ)は


21
何の為じや サア夫ぬかせ ヲゝあ
れはの 息子が出世する大
事の物じや むムゝ何じや 出世
する ガ其出世が耳寄じや
コリヤ コリヤ何者の髑髏じや

サアぬかせ ぬかさぬかやい ぬ
かさにや斯じやと引ぬく
段びら 目の先へ差付くれば
アゝいや/\/\ 譬へずだ/\に切
れても 云ぬ/\ エゝどしぶ


22
とい老ぼれめ 骨をひしいで
云じゃすると 命もあら縄見
付出しがんぢがらみにくる
/\巻 見上る燈籠の釣
縄ほどき 結び付けたるさる

しばり サア/\むかせ/\ といふて
は引ぱる釣縄に次第にし
まる縛り縄 血筋赤らむ
蔦栬 命の蔓ぞ危いふけれ
ハゝゝゝもがくは/\ 情のこはい


23
根性から 痛いめを見そ
るはい コリヤ下は滑らの溜り池
氷の地獄じや サアぬかせ /\
と責ぜつてう 老母は苦
しき声も出すふりくる

雪に争ふ白髪 はぐきに
したふ血の涙 見やる向ふ
に提燈の 光に恟りなむ
三と 縄を放せば真っ逆様
水の溜りへおちこちの


24
むざん成ける次第也 遉
の四郎も狼狽(うろたへ)眼 表へ逃
んも一筋道 やり過して行かん
ずと 庵の庭に身を忍ぶ
斯くとは知らぬ平太郎 案内

はいつも我門に 常燈明
の光りさへ 提灯の火に
緑丸 コレとゝ様 仏(のゝ)様へとぼし
た行燈が落て有る ヤア
どれ/\ ホンニこりや落て有


25
ふしぎ /\と門の口 母者人
申 漸只今帰りました 母
者人/\ コレ/\緑よ 母人は
見へぬか アレ/\とゝ様 婆様が
池へはめて有るはいの ヤアと

驚き走り寄り 探り尋ぬる
手先へさはる 縄を力に親
と子が 漸にかづき上 コレ/\
申母者人 何者が此様
に ばゝ様イのふ /\ といへど


26
こたへもあら悲しや 體は
氷と冷え切たり こりや何
とせふどふせうと 立たり
居たり気は半乱 エゝ/\目が
明きたい 開きたいな 鳥目は

いか成因果ぞと 母に取
付き身をもだへ声をはかりに
嘆きしが ハゝアそふじや 水に
溺れし體には 藁を焼て
温むれば 再び息を返す


27
と聞く ヲゝ夫レよ /\と爺(てゝ)親が
差図に蓑を搔き集め 蠟
燭の火を差寄せて 心を焦
す煙さへ 親子が心通じ
けん うごめく體に猶も口

寄せ コレお心慥に 母人様/\
と声を限りに呼び生ける 漸に
目を開き 糸より細き声を
上 ヲゝ太郎 孫もそこにか
ハイ/\緑も爰におりまする


28
お心が付きましたか モ何奴が
此所為(しわざ) ヲゝ何者とは昼来
たやつが ムゝ扨は衒(かたり)で有ったる
よな シテ/\どつちへうせました
アゝコレ/\平太郎 母が横死は定

まる業随分身をば大切
に 曽根の苗氏を起こしなば
是に上こそ悦びはない 随
分親子長生して 末の栄へ
を見せてたも 夫レが冥途


29
の土産ぞや 取分け不便は
孫翠 今一度顔をと引寄せて
声を限りのくどき言 可愛
や親には思はぬ別れ 弁へも
なき子心にも嘸や便(びん)なふ

思ふで有ろ 可愛の者やいぢ
らしや 又一つには嫁お柳
可愛ひ夫(つま)子をふり捨てて
帰る柳は切崩され 魂宙
宇をうろ/\と 紲(きづな)に引れ


30
迷ふで有 コレ/\/\/\/\魂家の棟
放れすば今一度姿を見せ
てたもと くどき嘆は平太
郎 けふはいか成悪日ぞ
妻には別れ其上に天に

も地にもかけがへなき たつた
一人の母人が非業の別れ
は何事ぞと 悔みのなみだ
はら/\/\ かゝる憂目を三(み)
熊野の那智のお山の


31
瀧津瀬も一度に 落くる
如くなり 老母は今はの声
の下 ノウ平太郎 緑が事を
頼むぞやと いふが親子が
一世の別れはかなく息は

絶にけり 重なる思ひに親と
子が前後不覚に嘆きける
様子をとつくと和田四郎
うしろに立てせゝら笑ひ
ハゝゝゝばゝめはくだばる とゝめは


32
眼が潰れたな ムゝそふ云は
昼うせた衒よな 目前
母の仇敵 覚悟ひろげと
云はせも立ず コリヤヤイ 眼も見へ
ぬざまを仕て じたばた

ひろげば命がないぞよ コリヤ
アノ髑髏は出世の種とぬか
すから 何者の髑髏じや
有様よぬかせ ぬかさにや
うぬも小躮も 今目前に


33
芋ざしじや ヤぬかしたり う
ぬらが手に合フ某ならず
コリヤ/\緑よ 刀を奥で取てくる
此手をちやつと引てくれ
ヤイ/\其大小は引ッさらへ 爰に
おれが持て居る 是がほし
くば サアむかせ むかさゞこれ
じやとひらめく刃先 目先
は見へぬ真の闇 こはい/\
と緑丸 逃げ行く首筋引掴み


34
サア小びつちよからさいなも
か 但しはぬかすか サア/\/\/\何とゝ
人質取たる手詰と手詰
エゝ/\ 此目が明てほしいなあ
南無権現様/\ お柳やい

ヤアやかましいかい いつその
事に此小躮芋差しにして
くれんと 段平逆手に取
直せば アレエ/\と泣く声に 今は
絶へ兼手を合せ アゝコレ申ます


35
/\ 何を隠さふアノ髑髏は
白河の法皇の と半分聞い
て ムゝゝよし/\ つい一言で済む
事を ソリヤがきめをこますと
投やれば 親子が嬉しさ縋り

寄 溜息ほつとつぐ空に
鴉の羽音二声三声雲
間を さして飛で行 其隙
に和田四郎 髑髏を小脇
にかい込で 白状ひろい


36
だ褒美 是をくらへと切
付くる かい沈んで利き腕しつかり
コリヤどふじや イヤうぬは眼(まなこ)が見
へるかよ ヲゝ アレ/\ 蟻の這ふ迄見
へるはふしぎ ヤア/\/\ そんなら生け

ては置かれぬと 切込む刀引た
くり 池の深みへ頭転だう
尻引からげつつ立たり ヤア
とゝ様強ふ成たの ヲゝぼんよ
とゝはもふ目が見へるぞよ


37
嬉しいか/\ 何より大事は
此御頭(みぐし)と しつかとわたす
後ろの方 這い上つたる和田
四郎 腕をかためて切込むを
心得鍬にてしつかと請留め

斯く目が明けば百人力 盗人
風情の儕等に刀を当てるは
刃の穢れ うぬに似合た
鍬の刃先 老母が敵観
念せいと 討てかゝるをはつ


38
しと請 ヤア盗人とは案外
なり 季仲が謀反に組し
軍用金を集めん為山賊(やまだち)
夜盗は仮の渡世 鹿島三
郎義連(よしつら)なり こけ猿めら

が命の宿がへ 一々そつ首
並べんと 広言たら/\゛付け入る
早足(さそく) こなたも弓矢は手
練の若者 請つ流しつ
いどみける 平太郎は多


39
年の誠神や力を添へぬ
らん 切伏せ/\乗りかゝり 老
母の敵嬉しやと 親子は体
踏付け/\嬉しさ限りなかり
ける 折からさつと冷風の

身にしみ/\としみ渡り
親子は顔をふり上れば 影
か有らぬか緑が母 ノウ平太郎
殿 御身多年の孝行と
信心の功徳に月日の


40
両眼明らかに忽ち敵を討
たるも 大権現の神勅なり
肌の守りを見給へと いふ
声斗聞こゆるにぞ 始めて
はつと心付 誠にふしぎは

此両眼がんぜん敵を討
たるも 偏に神の加護成る
かと 懐中の守りより牛王(ごおう)
取出しよく見れば 数多の
鴉の影もなく 扨こそ大


41
霊権現の ふしぎを見せし
め給ふかや ハア/\/\ 有難し/\と
肝に銘ずる折こそ有 又
も羽音は悦び鴉 飛びつれ
/\まのあたり 開きし紙は

忽ちに元の牛王と成にける
かゝる奇瑞を三熊野の
牛王の威徳末の世に 門
戸に押て盗人をふせぐ
守りぞ有がたき 早東雲  ←


42
の街道筋 木やり囃子で
地車の 轟く音ぞいさま
しや 和歌の浦には名所が
ござる 一に権現二に玉津
嶋 三に下がり待つ 四に塩釜

よ ヨイ/\ヨイトナ 俄に車地にすは
り えいや声して人歩(にんぷ)共
おせ共引共一寸も 先へ行か
ぬぞふしぎなる 警固の
武士進蔵人(しんくらんど)騒ぐな


43
者共 思ひ当ることこそ
あれ せくな/\と制する
所へ 身ごしらへして平太郎
緑を連て出向ひ 扨こそ
此木の動かぬは目前親

子恩愛の別れをおしむ
と覚へたり 妻が霊をも
いさめる為 何卒綱を
此躮に 引かさせて給はらば
有難からんと 願ふにぞ


44
ホゝさこそ/\ 某もさは
存ずる所 左様成らば此柳
新宮の濱先迄 跡は海
手を流さんと 錦の袋を
手に渡し 御頭を是に包

まれて跡より登り給へかし
我は先立法皇へ 此趣きを
奏問せば 曽根の家を
引起こし父の敵時澄(ときずみ)折
を以て某が宜しう手引き

 

 

 

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45
仕らん イザ用意とすゝ
むれば ハゝア忝しと一礼のべ
緑諸共立かゝり 木やり
音頭は父が役 かざす
扇もしほれ声 むざん

なるかな稚き者は 母の
柳を 都へ送る 元は熊野
の柳の露に そだて上
たる其緑子が ヨイ/\ヨイトナ
ヤアこりやおれがかゝ様かと

 

 

 

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46
綱引捨ててわつと泣く縋り
嘆けば爺(てゝ)親は 涙に声
も枯れ柳 引ば引かるゝ恩
愛の孫よ /\と夕部迄
いとしかつたる老母さへ

道のちまたに葬らんと
かき抱きたる孝の道
忠義に厚き蔵人がいさ
めて帰る都の土産(つど) 梛と
柳と契りたる連理返り

 

 

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47
や楊枝村 女夫坂とて
云伝ふ 棟(むなぎ)の由来の因
縁を語り 伝へて
      いちじるき