https://ja.wikipedia.org/wiki/一谷嫩軍記 より
熊谷次郎直実
中村歌右衛門
其の日軍あらましあつもり
きやふのうちたてまつりし
しさいこのところにてひと
たうり物語らん さんぬる
六日の夜はやしのゝめと
明るころ一二をあらそう
ぬけかけに平やま熊谷
うちとれと切て出たる
平家のぐんせい中に
一きはすくれしひおとし
さしもひらやまあしらい
かね浜辺をさしてにけ
いたすハテけなけなる若
むしやにくるてきにめなかけそ
熊谷これにひかへたりかへせ
もとせヲゝイ／＼とおふきをもつて
をしまねけは
その日の戦あらまし敦盛
卿の打ち奉りし
子細この所にて一
通り物語らん 然んぬる
六日の夜 早や東雲と
明くる頃 一二を争う
抜け駆けに 平山 熊谷
討取れと 切って出でたる
平家の軍勢 中に
一際優れし緋威
さしも平山あしらい
かね 浜辺を指して逃げ
出だす はて健気なる若
武者に 来る敵に目な掛けぞ
熊谷これに控えたり 返せ
戻せ おおい／＼と扇を持って
押し招けば
