仮想空間

趣味の変体仮名

火水風災雑輯(一)41コマ

 

読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2592140?tocOpened=1

 

 

41

「新改勢後町宝年代記(しんかいせいごてうほうねんだいき)」

 

曲尺

「改正」よくする木 屋部将ぐん 南海道に 出陣して 十組を亡し

問屋の蔵人 嵩めつぼうス 小売判官たん生

「ニ」同木 買の高時を 吟味して 位を下る 諸国へ直下の 札を出す

「三」山の土 屋部将ぐん 卒す 所々にて うはさある

「札喰(さつくい)」かわる土 成田ふどう 深川にて かいてう 鳥の毛かんざい はやる

「ニ」もゆる火 ニ丁町芝居 山の宿に引る りん町の人々 御めんねがひ出る

 

「三」天上の火 上の大仏 えんじやう ねづみ山 かんおうじ 引はらひ

「四」はまの水 遠集ルの しろねづみ せかいを うき廻す

「互」すえを水 越ぜんの玉より けんやくと云 やくを諸国にあてる

「六」大地の土 新土手床(とこ)らせ とりのけ 所々にてなげく

「明和火」 かわる土 諸方の女郎や よしはらへ引 跡は新よし はらとなる

 

「ニ」ながれの水 岡ばしよの 唐人は ありんす国へ うつる 値段高値となる

「三」すしいの水 すしの高盛は 六位に定る 奢(おごり)判官を いましめる

「四」高利の金 もう人を じゆず つなぎにして 遠渡え 日なしうりは きゝん

「五」つきる金 堂前より 頭二つ ある人を いけとる 諸国のごろ付を いけどる

「六」もうける木 砂村のうりなすびを きんず百姓 きゝん 六つのはき物 三分一両一分 高値をきんず

 

「七」かせ木 女じやうるり 女房ト化ル ぢごくにて 女のつみを たゞず

「八」同木 あたまでくふ 女の手に ふういん付 ていしゆ きかん

「九」下を水 上るの網は 今魚となる 小田原より なきまいづる

「十」日なた水 せんうは六位に 下りひざ切丸 にてかまもと 三成古木たゝいて 木を亡す

「非道」かせ木 諸商人 正札となる 聞人元値のせんさく

 

「ニ」むら木 七りか濱 もとのごとく上ル 置ぬし尊者 ぼつす

「三」かわる金 金ぎんしんちう あかゞねがへ べつかうは ぞうげしかの つのと化ル

「四」つゝかへの金 金かんばん ぬりかへ ぬりやかべ はじめ 左官太夫 集りかいぢん

「五」あんどうの火 席ていめつぼう 残る十六間 かけに入 夜々辻/\て ぐん義始る

「六」かまの火 そばの くはんじや 盛よし かんふう二七三五となる 勘定上人 めんどうを渡す

 

加 

「七」世間を水 諸々の紙は 下りなくして 高間がはらに とゞまる

「八」諸人泪の水 ひごうの国 ひま本ゟ 化物いづる 諸人ひまだ/\と なくことおびたゝし

「九」かわる土 山ぶし法印は 水のうつはに したがふ 之さんかく所 どつこに せう/\゛の初り

「十」掘割土 いんば沼を 五頭(いつかしら)にて どろ ぶつけと たゝかふ

「十一」休金 きんぎん ぐきかへやむ 出かた きゝん

 

「十二」つまる金 商家ひま成 なみた川にて 水ものめず 大かんはつ

「十三」嵩をする木 江戸中に見せ ひらき多し 時ならずして うちはをちらす

「十四」たんとうる木 呉ふく見せは ふ時の 高根に つみ積り 三日のへいもん

「強盗」取(とる)木 近江の地所は あげ水にて 吹出し 諸家方大評定有 水は引元の如し

「ニ」かまの金 ゆしま太郎 芳長四郎 芝のかげ政の うらもんをせむる かまのかんじや うち死

 

「三」天のやり木 申の方へ夜五時 白キ気出る 天ひんぼうのごとし 又かまのかはり そめい菊はやる

「日光」ひやうし木 日光御社参 つじ うら/\ にて くつは虫なくこと おびたゝし

「ニ」てうちんの火 町々にばん小屋 たて諸人 ちかやをまもる しより のごとし

「三」そゝうの火 四月十七日夕時ゟ 両ごくにて りうせい 天にとび江戸中 万どうの如し

「四」つまる金 ひま成公 なんぎ山 こん久じ 御こんりう 開山ちくてん上人

 

「五」こはがる木 国芳丸 頼光(らいくはう)四天王 くはいだんにて ほまれをあらはす こはい/\あぶない事

「諍動」みかねる金 紀伊の国より 世直し 大明神 出げん有て 諸人のなんぎを すくふ

「ニ」下を水 遠集の白鼠 落し穴へ おちる 諸人ほつと いきをつく

「三」向水 四ツ谷にて生馬の目を取 冬がれに 辻ばん こわき 大さはぎ

「四」やねの土 門内へ 所々ゟ 砂石を ふらすこと 雨のごとし

 

世(せい)

「五」取絵の木 社の末社は 芝のもちを ぢきろうに入て けんずる

「六」世を開木 渡辺の 綱も切て 三田所で へいもん

「太平」大海水 小川より 太神宮 御出げんあり 定て世直し/\

「ニ」月水 戸田の川上ゟ 熊まきを 出して 諸々の気を うかめる

「三」川水 舟持せんどう 小舟のり うち死 所々かう水

 

「四」世なおる木 ありんす国より 春秋にも見 初る市中 せきてい多くして 口談咄しか豊年

「五」えんせうの火 所々のてつほう ありんす国へ 渡し所々 辻気味気を顕し 助さんをうつめる

「六」山の神の木 東都の内義は びんぼう車の うなりをはつし 山うばと成 時ならずして はたおり虫なくこと 山中のごとし

「七」よろぐの土 あみ笠内ゟ 名なしのにがを 市中に落 はびこり我 上ることあたはず 又樽代節句せん はじまる

「八」ふきかへの金 五つ頭の 金龍を たいじして 残る蔵穴に ふういんつく

 

「九」どろの水 江戸中芸色 けだ者遠国へ はびこる 諸国の持(銭の図) 江戸見物は このしみなし

「十」智恵なしの木 諸人の心少人じゆ の人の如し 商売はおう むの如し人の まねをして ほろぶる者多し

「借永(かえい)」いづ川の水 米下直にても酒の 値段高位に 登り呑の くはんじや 白馬にてたゝかふ 所々に三郎亭 はひこる

「ニ」つまる金 諸々の銭みせ めつぽうゆへ 江戸中銭 遠国へ走り行 諸人ぜにがない/\と なくことおびたゝし

「三」いけどる木

 

(下段)

「此書は外ゝの年代記に書付たるちんせつを十年のひとむかし

を五十年のじゆめうに書のばし千変万化の品々をあらはし

見る人うたゝねのゆめのむかしと目をさまし給へとしか云

 嘉永ニ年玉に酉のとし 南芳住法州梯の種述(「南」と「述」以外は不確かです)

 

 海なき国の歌

うむなれは深川本所根津谷中

 三田に赤坂切見世もなし

 

女人国 アリンス国トモ云

長キきせるにて 

たばこをすふ 

日本人此所え

かよへばうちやう天え ちかし

 

此国三ヶの庄アリ 

中村市村河原崎 

常にあみがさにて 

あるく也中にも

芝翫鳥(しくはんてう)といふ鳥斗り 

諸々のやぐらにて 

恋(?)たがる也

(上)

「損難国」

 

嵐山 此国の人 坊主多し

 

根岸 (北) 谷中 根づ

ウハガイケ しのばず池 湯しま 三田 (西)

上野大仏(床みせ) 堂前 天門原 

二丁町 よし丁 木挽丁

新石ば 新地 

 

 

サルワカジマ 

此シマヨリ 

マタ子コト云ケダモノ 

イヅル

 

(東)

(床みせ)御蔵前

櫓下 裾 仲町

古石場 

 

(吉田しま)

夜のたかにて

はな

なし

鳥ト 也

此しま

又ひら ける

 

松井丁

弁天

おたび

 

(南)あひる

(此国の人 山伏多し 広尾の原)

 

 

十二運のくりやう

長(ちやう)永きむかしを引出す

臨(りん)土地をはなれてくるしむ

衰(すい)すいびのはし

胎(たい)諸人たいにきまりなし

養(やう)身をやしなひかねる

絶(ぜつ)米はやすくてもぜつしよく

病(びやふ)諸にん気をもむ

墓(ほ)くれにはどうする

死(し)しぬるくるしみ

躰   なまきのいかだ

帝(てい)みかどのしたにて

官(くはん)かんべんあつて早く世直し/\

 

 

  諸品直段数(しよしなねだんすう)

一わんぱく天王(てんはう)手遊(てあそび)百八文

一親サン孝行大師 ほうび 銀三枚

一ぜいたくわん和尚 かれう 五貫文

一奉公天王給金 金弐両

一出床のゆうてん上人 十六文

一家守(やもり)そんじや 樽代無銭

一小判忠信 六〆五百文

一弐朱上人 八百十二文

一酒のかんじや呑(のみ)よし 一合 廿四文

一しるこしら玉御膳 一ぜん 十五文

右の外しな/\正札にて引下げ

申候所又々引上るもあり

 

  玉しいの歌

引(ひく)からに日にちの山に見世びらき

 元手かねとぞ五米(ごまい)りやうあれ

 

  ぢしんの歌

苦は病(やまい)後日(ごにち)はあきれいつうれる

 まつやつならばかねぞへるなり

 

  守尊損(まもりそんぞん)の歌

直(ね)はせんじ芳町(よしてう)こそは虚空損(こくうぞん)

 上しは万事で辰巳ふびんよ

武はせいし人地さるこそ第一よ

 恋(?)は非道に髪ゆひ橋ばん