仮想空間

趣味の変体仮名

火水風災雑輯(一)75~77コマ

 

読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2592140?tocOpened=1

 

 

75

夫天地不時之変動は

引用混して雷雨と

なる地にいれは地震

なすアゝ神仏の

応護も

是を納むる

事かたし

頃は嘉永

六丑年二月

二日昼四つ時

より夜九時

まて大地震

相州小田原

大久保加賀守様御

領分御城下万町

本町坂ばしりう

しまち通り

青物町すわを

町寺町

御城角やぐら

町家とも大い

損す近村近郷

(下段)

酒匂川筋飯すみ

十文字十日市場

子安大山へん

堂龍権現山道

東海道筋小田

原つゞきはだ

山中大久保長門

御領分村々多く

損ず箱根湯本

七ヶ所二子山辺同所

権現様御山内尤

御社は御さわりなし

同所湖水あふれ

出さいの河原辺大に

損す夫ゟ豆州海辺

山々真鶴網代伊東

西はしゆせん寺三嶋

此外所々大損する

といへどもあらましを

記し高覧その儀 のみ

 

 

76

甲州身延山地震

頃は嘉永六丑年二月二日

朝五つ時より暁七つ時迄

大地しんにてすでに山も

崩れんと人々大いに

おどろきふしまろび

にげさるものおゝし

町家はたをれ蔵のそんじ

かず多くづしぎや尊(たつとく)も

御山は御どふをはじめ

おくのいん迄何事なく人々

夜あけにいたりあり

がたやとあんどの思ひ

をせしぬ

▲こゝに下野宇都宮駅

同こくげん地しんの

次第廿八丁の御城下

家くずれ石づくり

のくらあまた

そんい人々

ぶなんなる とかや

これによつて

諸国の人に

しらしめんが

ために一紙

につゝり

備ふるのみ

(下)

「鹿島大神宮御歌

 ゆるぐともよもや

 ぬけじの要石

 かしまの神のあらんかぎりは」

相州 はこねやま小田原 御城下 大地震 之図

 

 

77

天保改勢 珍説増補 鯰年代雑記」

「増長」高ぶる 火 中山の 妙法 御代に うつれて 流ふす

(二)きに入 木 向しまに せきを ちくしやる 諸人 願をかける

(三)知行の 土 えん卅 日の 光りに 万石のほふ たく

(四)すたる 金 てら坊或土地 主(住?)居ヲ 水の ためになかす

(五)むかふ水 鳥いなしの 野狐 町人ヲ なやます

(六)一つ家の火 うばがいけヲ つぶ して うぶ木ヲ 植る

(七)ながれの水 岡(鬼?)坊所の 弁てん よし原にて 開帳

(八)身替りの金 はつ物ヲ きn して 金魚ヲ 奉る

(九)物にする 木 いんば 沼へ 諸大名 大金ヲ うづむ

(十)御ねんの火 屋部の 大臣 さん? よ(と?)つて 替舟迄配流

(十一)ごまの火 悪水の 勢ひ やく神ヲ おし流ス

(十二)地わりの土 地まちの 注?(下?)エオ ねつみ山へ うつす

(十三)国替する木 皮かむり 出羽の 国及ヲ うらむ

(十四)雁金 六文 銭 通用 はしまる

「時勢」富の金 おはなしヲ 禁ジて 心学ヲ 行ふ

(二)なみだの水 ひごの せゟ 林の木 十ぼん上ル

(三)同水 大和に 堀ヲ ほりて 一万石つふれ

(四)辻ばんの火 石のあめ ふりて 濱のまつ 折る

(五)益もな木 くすり湯に 男女の 入込ヲ さんス

(六)逆まく水 かれかけし 濱まつ ふたゝび 色ヲます

(七)かへの土 町中 白かべと なり 家持公 大つゝう

(八)つるの金 竹本義太夫 の娘ヲ いけとる

(九)ね耳の水 大しほ日に 大坂迄 わき出る? 大?の如し

(十)花びの火 四月十七日に 川開ヲ して 江戸中ヲ?ス

「仁政」正シ木 ま(?)つしま明神 あら われ 悪魔ヲ追ふ

(ニ)とふ山の土 九字の文 楽ひ 町中ニ かゞやく

(三)替る土 ふ忠しん蔵 濱松 にて 開じやう

(四)うらみの火 屋部大臣 配所 にて ふん死ス

(五)かゞやく火 備後と びつ ゆと 表替あり

(六)?々金 五ツ願ある 金龍 誅せらる

(七)にがりの水 鳥いつぶし て 見れは 一ツ穴の 狐と成

(八)外ヲ水 先年中 小いし 川ニ 閉門がし たつ

(九)有がた木 きの玉 大明神 萬民ヲ すくふ

「珍事」名(?)高木 しま屋の はんとう うし門ヲ攻ル

(ニ)土俵ノ土 四十八組の 火けし 水けし となる

(三)往来の土 引はりト云 ??? ハリ 所々へ出る

(四)にわう土 しなのにて ほとけ たのんで 地ごくへ落ル

(五)かゞりの火 うら賀沖ニ チゝハゝノ 舟見ゆる

(六)硝焔火 相州浦ニて 火薬ヲ もつて 新舟ヲやく

「太平」陣がねの金 房さふの ゆり ぼふヲ ?全一追込

(ニ)浪せんの金 天の岩戸 両ごく にて かいちやう

(三)奢りの木 ニこくニて ビロウド の花ヲ咲

(四)つかひよ木 いひつなり の銭 世の中ヲ 廻る

(五)水どうの水 反古はりの 獅子 勇シヲあら わす

(六)はなハ水 けいこ所 より 大花見 さいこう也(?)

(七)通用金 将ぎの金 ぎんヲ 金じて つかふ

「台謾」高利ノ金 もう人国ゟ 官金ト いふ金を出

(ニ)負ヌ木 かみ結床の のれん せうじ 手を尽ス

(三)とる木 大屋私に たる代 すて(?)格を なス

(四)かふ木 やくしや あみ笠 さ敷 手ぬくひト成(の儀)

(五)吉田の土 辻君所々ニ せん せいヲなす

(六)穴の水 水茶やに むかしの ごとく しんをお?

(七)同水 一疋の猫ヲ 百疋に する事ヲ はじむ

(八)カセ木 あたまで めしヲ くふ女 大行(?)ニ あらわる

「大着」きかぬ木 八丁堀ニて 狐の かたきヲ打

(ニ)跡ヲ水 長崎の通人 囲ヲ 破りて とふく 走る

(三)貢の金 天王まつりニ 立/\の 金かくし 出る

(四)引込金 けいこ所にて 男女の 入込ヲはじむ

(五)あんどうの火 麦助 化して あまざけト なる

(六)京の水 ゆふべ も?ふタ 花よめ きたる

(七)大さ?木 日れん木 開悟 大ばたヲ あぐる

(八)薬礼の金 りうきう 人 日本へ 風の神ヲ 渡ス

(九)唐の土 金こう堂人 海外 新活ヲ出ス

(十)山しの金 大江山より 熊のごとき 童子出ル

「高名」かけ川の水 鳥羽の橋(?)寿 正じんの 七者ト成

(ニ)ヲシ木 高らいの 錦枡 ?? 汲?

(三)恵みの水 市川の えび 江戸川へ 下ル

(四)焚立る火 川むらより 温せん わき出る

(五)江戸の水 角木かう桜竹? 位ヲ給ふ

(六)御しう木 ト村市村 より 寿の 踊りヲはじむ

(七)石川の水 中むらにて 日中ニ つゞら 中を飛

(八)ヒイ木 三枡上人 冥土より 帰り来る

(九)はやる木 大山学者 かんさしニ 蚕ヲ造ル

(十)ものず木 木魚こう 寒声ヲ はしむ

(十一)せん香の火 おく山へ 大鯨 のぼる

「評判」いそがし木 アリンス国 すり 値下り の札ヲ出す

(ニ)手ぜうの金 地ごくより 美人 生捕 また地ごく 落す

(三)天上の火 先年 太鼓持の ころ付 所々にて おつこち

(四)柳の水 大屋の父子 ?猫(明神?)ノ ためニ 汲露

(五)自由ノ金 女いしや なん病 りやうじ 妙術ヲおよわす

(六)手向の水 市むら 何紅 なごりヲ 出して 冥土を下る

(七)かい切の金 当?(善?)大明神 中村にて 開帳 さんけい大入の よ(?)し

  海なき国のうた

銭なきは苦ろふをするかみの おとりかへさせさでは かす人もなし

大水や火事やきゝんは しのけとも世のつまるには たれも銭なし

 ちしんのうた

苦??ひ後日をあてにしち

日なしむりやりくりに

かせきこそする

 玉しいのうた

としよりと父子程は??よ

男?しやうと 五水りやうあん

(下段)

此一覧記追/\?御もしたる年代記蘇の外に

もれたる珎説抔を書加をく暦其の一むかしを

一紙に編りて戴(?)ひのたねに備るのみ

 嘉永四年亥仲秋 思案庵述

◯先妾日 ねひす事は取入てよし 末はわるしとしるへし

◯友引日 えんにつれて友多し 愛のみ取事あやし

◯前後日 あとのがん先にたつ事あり ひかへめにしてよし

◯悪滅日 ??日なれどこゝろたゞしさ 人にはさはりなし

◯大安日 物事あらたまりて あんしんする大吉日なり

◯借口日 何となく世の中つまりて 下々口せつ事あり

「八勝人善悪之事」

大ざいみつの方 此さた及て?よし ?名かくらをふらす

大しやうくん上の方 此かたに願ふて ?年も

大おんうけの片 むくひて国勢よし

さいけうひつしの方 此さたにおよんて きんさあらたまる

たいはい屋の方 町/\ふしんをす 根つきもはしめす

たいせつにしい方 このかたより よめもらす

わうばんしとの方 大し野向て 馬はしめよし

ほうびうけの方  向ひてせん??ろんぎす 身命おします

「歴中段」

立 高利の金健丈両手以て 願ひ出??よし

除 ふじ同舩は?達なしに ひかへめにす?せし

満 芸人は残らず江戸迄 下りてよし

平 銭なき事と貴賤の へたてなし

定 諸禄とりきめに よし

取 たる代五せつく 物あつめによし

破 長崎の大通望事? 其外はわるし

危 下/\の者考事に ?てわるし

成 雷所/\え出?行に よし

納 着類個友七ツ組のくら 入によし

開 寺坊の出家女??有に よし

閉 うり居かし居の 札はりによし

「十考」

きのへル よふな世の中なり しをはまの松かれて

きのどか ことおもふ者はたゞの ひとりもあらはす

ひのへ /\につもりきし 人の思ひに今はさて

ひごと に其身にむくひき てなくもなかれす

つぢばん もみじんによつてらち こわし石かわらふる

つちのと てふ?事の身をも んてあんじる内に

かさい 早く引はらわれて おためこかして引出た

かぶと もたちもとり上られ 今さら取付所もなく

みつのべ に居る心は??切には 命はおしくおのれと ?むる

みづのと たゞのめ/\と生て 居て何をたのみに 京ヲまつ?ら

「十二子」

珎らしい 子つぎヲする 芝居  

しま?とは 丑ろの通り 名となり

ちごくは 寅れても みえず 

残金に 卯らみの かす/\

亀が 辰よふに なれど

まだたつ 巳のさしは きかず

とかくに 午らぬは 御くら米

今のぶんでは 未ゆうの 出来あき

師はんは 申わか かん三郎

ニ丁目は 酉かさねた 病人

大おふ物は 戌のめい わく

一さ(き)わぎかみ 亥と?の 大切たん

「金銀精」

金きん星のやりくりよふは

七ツ?は八ヶ月め

日なしは六十日め

店ちんは三十日め

???