仮想空間

趣味の変体仮名

源氏雲浮世絵合 帚木

 

読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1309989?tocOpened=1

 

源氏雲浮世合(げんじくもうきよえあはせ)

 

帚木

数ならぬ

ふせやにおふる

なのうさに

あるにも

あらてきゆる

はゝきゝ

 

千本の忠信は男狐(をぎつね)を

よく遣ひ。信田杜(しのだのもり)の葛の葉は

女狐を主(しゅ)とせしなり。女男(めを)の

狐。めさきは少しかはれども。一人

二役とて。其仕組は一(ひとつ)なり。子別(こわかれ)に

うらみ葛の葉の一首かゝせんと。

所謂(いわゆる)狐がつかまへ物にて。

鳥居の数多くくゞりし作者の

働き。後世其足元へも寄(より)がたし。

今又吾輩趣向に狐をつかはんと

ならば。其罪方(まさ)にのがるべからず

 花笠翁賛