仮想空間

趣味の変体仮名

古今名婦伝 掃溜於松

 

 

「古今名婦伝」  

 掃溜於松(はきためおまつ)
芝三田の局見世(つぼねみせ)なり その
身 賤しき身ながら 心清く
この女の異名を 掃溜(はきだめ)
お松といふにぞ 或時
塵塚(ちりづか)の歌は詠(よみ)たり
是よりして 其名一時に
高く 実(げ)に珍しき 女なり

  塵塚のちりに
   交はる松虫も
 こえは涼しき
  物と知らずや
    柳亭梅彦記     「豊国画」