仮想空間

趣味の変体仮名

薩摩歌

置土産今織上布 上の巻

『置土産今織上布』は「薩摩歌」の系譜に属しつつ意外なことに『心中天網島』と混合しており、更に曽根崎新地に於ける「五人斬」事件を取り入れておりますので、読んでいて度々既視感を覚え面白かったです。『心中天網島』は享保五年(1720)、『置土産今織…

薩摩歌妓鑑 第十一

読んだ本 https://www.waseda.jp/enpaku/db/ ニ10-02059 78(右頁5行目) 第十一 新廓の段虎猫また猫灰猫三毛 おだれの上にさかるも有 下には犬めがきつと見付 にらんでも上と下猫は命ひろた 犬骨折 うたふぞめきも姿繕ふ鏡山弐部太夫の領分迚 大学が屋敷に…

薩摩歌妓鑑 第十

読んだ本 https://www.waseda.jp/enpaku/db/ ニ10-02059 73(右頁4行目) 第十 掟の段 むざんやな五々作は 身の罪科に我が名も 姿も埋む畑中 しかも頻りに雨の夜や 責め苦を受くる水責も 天の咎と観念し 娘につるゝ縁の蔓 西瓜畑の西向は自然とかゝるはた物…

薩摩歌妓鑑 第九

読んだ本 https://www.waseda.jp/enpaku/db/ ニ10-02059 63(右頁5行目) 第九 松が端(はな)の段難波の 芦は濱荻と草の名さへも 其昔 室の里にて芸子と呼れ 晒の里でお内儀様 此頃爰に松が端親の 内では娘のおまん 暑気(あつけ)の悩みの物思ひかてゝくは…

薩摩歌妓鑑 第八 

読んだ本 https://www.waseda.jp/enpaku/db/ ニ10-02059 52(右頁四行目) 第八 男揃への段 はやめて物申 頼ませう /\と切声で 奴が持ちし臺の物 どれいと出る小嬪 拙者は風間要人(かなめ)よりのお使でごはります 旦那申上ますは 伴之進様には近々吾妻へ…

薩摩歌妓鑑 第七

読んだ本 https://www.waseda.jp/enpaku/db/ ニ10-02059 38(右頁三行目) 第七 早打の段 さして 急ぎ行川立は川と譬し 言の葉や 流れの果を 粋(すい)と呼ぶ 人の口のは何の語様々に投やりて 浮世はてんほの川柳水にもまるゝ晒の里おまんさゝのが初世帯 け…

薩摩歌妓鑑 第五・第六

読んだ本 https://www.waseda.jp/enpaku/db/ ニ10-02059 33(左頁) 第五 道行恋の伊達紋えいさつさ /\ まだげじやがてんじやえいさつさ /\ 高いはがてんじやえいさつさ ヲゝうつとし ヲツトまつかせ すだれあげさせ おまんさゝのも爰までは 気もはりま…

薩摩歌妓鑑 第四

読んだ本 https://www.waseda.jp/enpaku/db/ ニ10-02059 29(左頁3行目) 第四 松原の段 顔も裳(もすそ)も紅裏(もみうら)に露を 縫ふてぞ夜嵐に 星吹ちらす蛍火や提燈希にしん/\と 虫のむつ言かまびすく 昼さへくらき 松原の廿日余りの宵闇に 思ひの闇…

薩摩歌妓鑑  第三

読んだ本 https://www.waseda.jp/enpaku/db/ ニ10-02059 19(三行目) 第三 屋敷の段 干よりひらりと 飛だるヤア推参者 関口内記 薩摩源二左衛門がかう打合した刀 女原に教へられ 血の色も見ず納めふか 馬鹿尽すなすつこんで居よ 但むね打がくひたいかと 互…

薩摩歌妓鑑 第二

読んだ本 https://www.waseda.jp/enpaku/db/ ニ10-02059 14(3行目) 第弐 橋の段 さして「立帰る弓は袋に治りて鳥驚かぬ三日月や 濱御殿の鎮守稲荷明神 例年の祭とて屋敷の四方は提燈に 邊もかゝやく御召の御座 御供の舟の数々も 御舟入にやりつゞけから紅…

薩摩歌妓鑑 第一

読んだ本 https://www.waseda.jp/enpaku/db/ ニ10-02059 2 おまん源五兵衛 さゝの三五兵衛 薩摩歌妓鑑 第壱芍薬の段難波津に咲や此花冬籠り 今を春べと芍薬の盛を見する植木屋の 花壇の花も動きなき 御代を祝する印かや 播磨の国の一城主尾上式部太夫 其身は…

薩摩歌 下之巻

読んだ本 https://www.waseda.jp/enpaku/db/ イ14-00002-345 45(左頁) 源五兵衛おまん夢分舟 下之巻源五べどこへいきやる さつまの山へ 跡はおまんが涙のうみよ ふねもをされず ろかいもたゝず よるべたづねてうか/\ うか/\こがるゝ 源五べこがるゝた…

薩摩歌 中之巻

読んだ本 https://www.waseda.jp/enpaku/db/ イ14-00002-345 23 中之巻川下に布つくあしたきて見れば かんずるよはの霜と見るもの/\つばき/\谷川のつばき あみ笠なりにひらいたらよかろなをよかろさつささつまの ばせを布 さらすもをるも かみがたで ま…

薩摩歌 上之巻

読んだ本 https://www.waseda.jp/enpaku/db/ イ14-00002-345 2 源五兵衛 おまん 薩摩歌 近松門左衛門 (上之巻)桜咲やよひはかりの出かはりに しんざのつばめ置つけてあとをにござぬ水のおも はひ出の蛙二合半くびにかけたか時鳥 木々のこずえもしげ蔵とた…

好色五人女 五巻 恋の山源五兵衛物語

今夏大阪で上演の文楽「国言詢音頭」の床本はネット上に見付けられませんでしたが、捜索ついでに同系列の「薩摩歌もの・五人切もの」を追ってみました。実際に起きた事件と、事件から派生した主な作品を時系列順に並べてみます。 寛文三年(1663)頃、薩摩に…

恋合端唄尽 小万・三五兵衛

恋合端唄尽小万三五兵衛 「本てうしはうた」はぎ ききやうなかに玉づさしのばせて月に野末のつゆ君をまつむし夜舟にすだく ふけゆく鐘に鴈の声 恋はこふしたものかいな 「本てうしはうた」神かけて ちぎる二人が恋中を 端でじやまして水さして 月にむらくも …

恋合端唄尽 小万・源五兵衛

恋合端唄尽小万源五兵衛 「本てうしはうた(本調子端唄)」うそとまことの二瀬川 だまされぬ気てだまされて すへは野となれ山となれわしが思は君ゆへ三ツ又川の舩のうち心のうちをおんさつし 「本てうしはうた」だまされしむろの桜や うきよはうそかまことこ…