仮想空間

趣味の変体仮名

艶姿女舞衣 酒屋の段

 

読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/856530/1/2

 

1

艶姿女舞衣

三勝 半七 酒屋の段

竹本大隅太夫

 

2

こそは入相の 鐘に散り行く

花よりも あたら盛りを独り

寝の お園を連れて爺(てゝ)親が

世間構はぬ十徳に丸い

天窓(あたま)の光りさへ子故に

 

 

3

くらむ黄昏時 主の妻は

灯をともし表をしめに

いそ/\と 出合頭(かしら)に ヲゝ是は

/\宗岸(そうがん)様 そちらに居

やるはお園じやないか アイ

 

母様 おかはりもござりませ

ぬかと 云挨拶もごこやらに

疵持つ足の踏途(ふみと)さへ 低き

敷居も越へかぬる 宗岸は

遠慮なく 半兵へ殿お宿に

 

 

4

かと 娘を連れて打ち通れば

妻は門の戸引立てて サア/\

先お上りなされませと 奥

底もなく詞の中(うち) それと聞

より半兵衛が 一間を出る

 

しぶ/\顔 娘を連れて逝なれ

たからは こちの内に用は

ない筈 何の為にござつた

事と 針持つ詞に妻は気の

毒 コレイノウ コレ親父殿 ヲホゝゝゝゝイヤもふ

 

 

5

人様に追従云う偏屈な

こちの人 必ずお気になへられ

て下さりますなへ 此間は

嫁女の帰つて居られまして

いかいお世話でござりませふ

 

ナンノ/\ 半兵衛殿の立腹は

皆尤 三勝とやらに心奪はれ

夜泊り日泊りして 女房を

嫌ふ半七 アゝ所詮末(すへ)の詰ら

ぬ事と 無理に引立逝だ

 

 

6

のは 娘にひけを取すまい為

サおれが気迷ひ それから

思案するに付 唐(から)も倭(やまと)も

一旦嫁にやつた娘 嫌はれふが

どふせふが 男の方から追い出

 

す迄 取戻すといふ理屈は

ない筈 アゝコリヤ宗岸が一生の

仕損なひ とサ悔んでも跡の

祭り 園めも昼夜泣き悲しみ

朝夕(てうせき)も勧まねば 若しや病が

 

 

7

起こらふかと 見て居る親の

心は闇 おれも天満に年

古(ふる)ふ住で居れば 人に理屈

もいふ者なれど サア誤りは

詫びねばならぬと 年寄りの

 

つら押し拭ふて来ました コレ

何角の事は了簡して

今迄の通り 嫁じやと

思ふて下され ヤコレ頼みます

/\御夫婦と 誤り入たる

 

 

8

挨拶に お園もうぢ/\

手をつかへ とゝ様の逸轍で

無理に連れられ帰りしが

一旦殿御と極つた半七様

嫌はれるは皆私が不調法

 

どんに生まれた此身の科

今から随分 お気に入る様に

致しませふ程に やつぱり

元の嫁娘と おつしやつて

下さりませお二人様と跡は

 

 

9

詞も 涙なり ヲゝ何のまあ

そつちさへ其心なら こつ

ちはかはらぬ嫁姑 ノウ親父殿

そふじやないか イヤそふじや

ない 昔唐にも例がある

 

太公望とたらいふ人の妻

夫に隙(ひま)取月日を経て

詫び云(ごと)に来たりし時 鉢の水を

大地に明けさせ 其水を鉢へ

入れよ 元のごとくふう婦に

 

 

10

ならんと 太公望が云れたと

ア日外(いつぞや)講釈で聞て来た

ソゝそれとてうど同じ事 こな

たの方から無理隙取って

今更嫁と思へとは いつ迄

 

いふても返らぬ事 口詞

叩かずと サゝサゝゝ早ふ連れて逝なっ

しやれ エゝ逝しやれとにべも

しや/\りも納戸口 顔

を背けて居たりける サゝゝ

 

 

11

其腹立ちは尤/\ ガ重々

不調法はコゝ 此天窓(あたま)に免じ

了簡して どふぞ嫁に いや

でござる 躮めは勘当し

たれば 嫁といふべき者も

 

ない筈 サア夫(それ)もこらしめの為

当座の勘当 イヤ当座で

ないてや 七生迄の勘当

じや ムゝ其又七生まで勘

当した半七が替はり こな

 

 

12

たは何んで縄をかゝつた サア

イヤサア半七とは親でも子で

もないこなたが けふ代官

所で何の為に縛られて

戻らしやつたと 思ひも

 

寄らぬ宗岸が 詞に恟り驚く

女房 嫁も供々立寄て

肌押しぬがせば半兵衛が

小手をゆるめし羽がいしめ

ノウ情なや何故と 嫁はうろ

 

 

13

/\女房も 取り付き歎けば

宗岸が イヤまだ/\驚く

事が有てや 聟の半七は

人殺し イヤサお尋ね者に成るは

わいのと 聞くゟ二人は又恟り

 

それは何故どふした訳 様子

を聞かしてコレ/\半兵衛殿と

とへ共さらに返答は 差し?(うつむい)

て詞なし 宗岸涙の目を

しばたゝき 一昨日の晩合邦が

 

 

14

辻で 善右衛門を殺したは

茜やの半七と噂を聞いた

其時は マ驚くないか恟りせ

まいか 膝も腰も抜け果てしが

アゝ思へば/\不孝者 よい時

 

に勘当さしやつて 親に

難儀のかゝらぬは まだ此上

の仕合はせと思ふたはこりや

他人の了簡 違ふたこな

たの縛り縄 科極まつた

 

 

15

半七が命 一日成と延ばしたいと

人殺しの科を身に引き受け

縄かゝつたこなたの心は 真

実心に心に子を思ふ親

の誠と 知ればしる程アゝコリヤ

 

宗岸が仕損なひじやわい

半七の身の難儀 こなた

も勘当仕てしまい おれも

娘を取戻したら 親にかゝる

首綱もなく よい事したと

 

 

16

世間から誉る人も有ふが

親と成舅と成るがマ マゝゝゝ大

てい 深い縁もいのふ モかう

いふ時宜に成た時は 誉めら

れるゟ笑はれるのが親の

 

慈悲 片時(へんし)も早ふと連れて

来た心はの 一旦嫁におこし

たれば半七がいやがるなら

ハテ尼にしてなと此うちで

御ふう婦の亡き跡の 香華

 

 

17

なり共とらして下され コレ

手を合して頼みます 詫

言が叶はねば 引放され

たとつき詰て 短慮な

心も出しおろかと 案じ過ごし

 

て夜の目も合ず アゝ母親は

なしたつた一人 あいつを思ふ

おれが因果 こなたの縄

目も半七が 科人に成たら

猶可愛かろ 譬へ又勘当が

 

 

18

定(じやう)でも 久離(きうり)切たが誠でも

真実親子の肉縁は 切に

切られぬ血筋の親 おれも

こなた程はなけれ共娘は

可愛ひ まして勘当はせぬ娘

 

愚痴なと人が笑はふが

おりや可愛 不便(ふびん)にござる

/\わいのふ コレ/\聞き入れてたべ

半兵衛殿と 是迄泣かぬ

宗岸が 答へにこたへし

 

 

19

ため/\を たくしかけたる

叫び泣き 我強(がづよ)ふ生れし

半兵衛も 舅の心根

思ひやり ヲゝ道理じや/\/\

宗岸殿と 跡は詞もない

 

じやくり 妻もおそのも

一時に 四人がなみだ高水に

樋の口 あけしごとくなり

半兵衛e涙の内よりも

持病の癪にせき入って イヤコレ

 

 

20

お園 何から何迄気を付けて

孝行にしてたもる こんな

嫁が尋ねた迚 最(も)一人と

有る物じやない 世間の人の

嫁鑑 半七が事は思はぬが

 

そなたに別るゝ半兵衛は

モよく/\の不仕合せ アいな

せとむない かへしともないとは

思へ共 こつちに置けば此儘

若後家 おりやそれが可

 

 

21

愛ひ いとしうおじやる/\

わいのふ それで詫び言聞き入れぬ

了簡して呼戻さぬ コレ嫁

女 必ずむごいと恨んでばし

たもんなや アゝ一人の躮はお

 

尋ね者 あすより誰を力に

せうぞ 孝行にしてたもつ

たが今では結句嬉しいと

せき上 せき入舅のせな

さするお園も正体なく

 

 

22

伏ししづむこそ道理なり

半兵衛漸(やう/\)顔を上げ 云は

ねばならぬ事もあれど

孝行な嫁女の手前 胸に

つまつて云にくい ナニ宗岸

 

殿 奥の間で云明かさん

コレお園 そなたをさら/\嫌ふ

じやない 気にかけてたもる

なや 舅殿へ咄す中 暫く

爰にと三人はしほ/\

 

 

23

奥へ泣きに行く 心の内ぞ

哀れなり 跡には そのが憂き

思ひ かゝれとてしも烏羽(うば)

玉(たま)の 世のあぢきなき身

一つに結ぼれ解けぬ片糸の

 

くりかへしたる独り言 今頃は

半七様 どこにどふしてござ

らふぞ 今更返らぬ事な

がら わしといふ者ないならば

舅御様もお通にめんじ

 

 

24

子迄なしたる三勝殿を

とくにも呼び入れさしやんしたら

半七様の身持ちも直り 御

勘当も有まいに 思へば/\

此園が 去年の秋の煩いに

 

いつそ死んで仕まふたら 斯(かう)

した難儀は出来まい物

お気に入らぬとしりながら

未練なわたしが輪廻ゆへ

添い臥しはかなはず共 お傍に

 

 

25

居たいと辛抱して 是迄

居たのがお身の仇 今の

思ひにくらぶれば 一年前

に此園が 死ぬる心がエゝ付

なんだ こらへてたべ半七様

 

わしや此様に思ふて居る

と恨みつらみは 露程も 夫を

思ふ真実心猶いや増さる

憂き思ひ あすはとふから

爺(とゝ)様に 又連れられて天満へ

 

 

26

逝(いに) 半七様のひよつとした

はかない便りを聞くならば

思ひ死にに死んで有ろ 迚も

浮世は立たぬかくご 嫌はれて

も夫の内 此イエで死ねば

 

後の世の 若しや契りのつな

にもと 最期を急ぐ心根は

余所の見る目もいぢらしし

かゝる哀も知らぬ子の 泣く声

に目やさましけん 一間を

 

 

27

出て乳(ちゝ)飲(もゝ)ふ 乳がのみたい

おば/\/\と お園が膝に

より添ふ子の顔見て恟り

抱(いだ)き寄せ ヤアそなたは美濃屋

のお通(つう)じやないか マア爰へは

 

マどふしておじやつたと ふしぎ

ながらも抱き上げれば 半兵衛

宗岸母親も 一間の内を

転(まろ)び出 コレ/\嫁女 忝い其心

障子の内で聞く度に 拝んで

 

 

28

斗(ばっかり)居たはいの 礼いふ事も

たんと有れど 心のせくは此

子の事 美濃やのお通と

云はしやつたは 半七と三勝の

アイ お二人の中に出来た

 

お通と云は此子じやはいな

ヤア/\親父殿聞しやつたか

ヲゝ聞て居る/\ ガ其また

お通をナゝゝ 何で捨て子にして

こちへおこしたぞ コリヤ何ぞ

 

 

29

訳が有ふ 嚊(かゝ) 懐か何所ぞに

書いた物でもないか サ サゝゝ早ふ

尋ねて見やと 云内に わく

せき明る守り袋 内より

ぱらりと落ちたる一通 取る間

 

遅しと封押切り ヨゝ何じや

書置と書いて有る ヤア/\/\コレ/\嫁女

/\ ソレそなたのよい目でちや

つと読んでたも /\いのふ アイ/\

エ ナニ/\ 十(と)度契りて親子となる

 

 

30

父の御恩は山より高きとの

世のおしへ 我身にも弁へおり

候へ共 其御恩も得送らず

儘ならぬ義理にからまれて

心にもあらぬ不孝の罪 御

 

赦し下され度(たく)候 エわけて

母様の御養育 アゝ申々 お前

様の事が書いてござります

よふお聞きなされませえ ヲゝ

よふ聞て居ますはいの/\

 

 

31

聞ているさの 障子ゟ もれ

出る月はVさゆれど胸の闇

アゝコレ/\嫁女/\ エトツトモ時もときと

隣の稽古 そして其跡は何と

書いて有る エ何と書いて有るぞ アイ/\

 

母様の御養育 海より深き

御恵み 親父様の御機嫌あし

い時には 陰に成り日なたに成り

幾千万のお心づかひも 泡と

消え行く我身の難儀 人を殺

 

 

32

せし身と成候へば 思ひ設けぬ

御別れ エゝそんならやつぱり

半七様は ヲイノウ嫁女 善右衛門を

殺しましたはいのふ ハア エゝアノ又

善右衛門と云やつが モ大体(てい)や

 

大かたの悪い奴じやないはいの

アゝあんな悪者でも喧嘩

両成敗我子の命を解死(げし)

人(にん)に取らるゝと 思へば/\宗岸

殿 おりや口惜しいはいの/\/\

 

 

33

エゝ口惜いわいの 鴛鴦の

かた羽(は)のとぼ/\と 子に迷

ひ行くさよ千鳥 むざんやな

半七は 今宵限りの命ぞと

三勝伴ひしほ/\と 心に

 

かゝる我子の顔 名残に

せめて今一目と 供に戸口に

夜の靏 内には夫(それ)と白髪

の母 心ならねど書置を 又

取上て読む文章 エ人を殺し

 

 

34

一日も生きながらへる所存はなく

候へ共 お通と申娘一人ござ

候て 殊にかよはき生れ質(つき)

不便さあまる親心 それに

心が引かされて けふ迄ながらへ

 

候へ共 所詮助からぬ身に候へば

思し召も顧みず お通を遣わし

候儘 私のちいさく成りしと

思し召し ドレ/\ばゝ見しやいの

/\ エゝトツトモぐづ/\と埒の明かぬ

 

 

35

エゝナニ私のちいさく成りしと思し

召れ 御養育の御世話の

程 くれ/\゛頼み上候 子を

持って親の御恩をしると

お通が不便さいぢらしさに

 

お二人様の御恩の程 猶更

此身にしみこたげ有がたく

存じ奉り候 又々心がゝりは

親父様の御勘当 相果て候

跡にても 御赦し下され候様

 

 

36

母様宜しう御執成し 是のみ

黄泉(よみじ)の障りにござ候/\

ヲゝ道理じや/\/\/\可愛やと

泣く声もるゝ表には半七が

身にこたげ かゝる歎きも

 

我故と思へば今さら 空

醜(おそろ)しく身を悔んだる男泣き

袖や袂をかみしめ/\泣く

音(ね)とゞむる憂き思ひ こなた

はお其が猶涙 泣く/\取上げ

 

 

37

書き置きを よむもはかなき

世の中の 女(よみ)は其家に有っ

て定まる夫一人を頼みに

思ふ物に候所 其頼みに

思ふ我が身が身持 いつしか

 

愛疎(あいそ)らしい詞もかけず

ついに一度の添い臥しもなく

候へ共 其色目も致さずし

て 夫大事親達大事と

辛抱に辛抱なされ候段

 

 

38

山々嬉しく存じまいらせそうろう 今迄

すげなふ致せし事も 更々

嫌ふではなく候へ共三勝とは

そもじの見へのさきからの

馴染にて 子迄設けし中に

 

候へば 互ひに退離別(のきぎり)も成

がたく 夫故疎遠に打過ぎ

まいらせそうろう/\ しかし 夫婦は二世と

申す事も候へば 未来は必ず

ふう婦にて/\候 ヲゝこりや

 

 

39

まあ誠かいな半七様/\

ほんまの事でござんす

かいな コリヤヤイ娘 未来で夫婦

と書いて有るかい あい/\なァ

ヲゝそりやマアよい事が書いて

 

有なア エゝ未来は未来じやが

せめて一日成と此世で女夫

にしてやりたいわい 何としてマア

此半七は 善右衛門を殺し

ましたぞ アゝドレ娘最(も)ちつとじや

 

 

40

おれが読みませふか イエ/\私が

読みますわいなァ ハテおれが

替つて読でやろと云に イエ/\

どふぞ私に読まして下さん

せいな 是は又片意地な チト

 

おれにも読ましてくれと云に

イエ/\私が読ますはいな コリヤヤイ

こりや 其様に引っ張るとトツトモ

やぶれるがな エゝナニとかく不孝の

我抔(われら)に候へば 死後には嘸や

 

 

41

お二人や 宗岸様の御歎き

随分/\力を付け 此身に

かはつて御孝行になされ

給はるべく候 申遺したき事

共は数々に候へ共 涙に字

 

生も見へがたく あら/\おしき

筆とめ申候 アゝ只々お通が

事のみ頼み上げ候 此上はなから

ぬ跡のお念仏 南無阿弥

陀仏/\/\と読むもおはらず

 

 

42

宗岸親子 又臥ししづめば

半兵衛夫婦 お通を中に

抱き上げ 初孫の顔が見たいと

心に思へど世間の義理で

是迄逢ひも見もせなんだ

 

斯いふ事と知ったらば 顔見

ぬ内がましで有た ノウばゝ

ヲゝあいらし盛りの此お通

半七と一所にくらすなら

よい楽しみで有ふ物 コレばゝ

 

 

43

見やいの/\ 何にもしらず

坊主めは 手打やあばゝ/\

ばつかりしておるわい ヲイノ

こりや孫よ モウとゝもかゝも

ない程に 今夜から此ばゝと

 

一所に寝いよ とはいふ物の

乳もなく 今から先の寝起き

にも 嘸や歎かん親/\が

知らずに居るのかどふよく者

むごい心 いぢらしやと云声

 

 

44

もるゝ三勝が 思はず乳房

を握りしめ 乳は爰に有

物を 飲ましてやりたい/\顔

見たいコレ 乳が張るはいなふと

身をふるはせかけ入んにも

 

関の戸に 空音もならず

羽抜け鳥 親は 外もに血の

涙子は安かたの安からぬ

悲しさせまる内と外一度

にわつと湧き出る涙浪花(なには)

 

 

45

江いづみ川にきんを汲み出

す如くなり 半七は歯を

くひしめがばかり深き

御情是非もなや勿体

なや 不孝を赦させたまは

 

れかし ヲゝいつまで泣いても

返らぬくりごと 親父様の

御縄目 はよふほどくは

此身の最期 イザ/\急がん

サアおじやと 立ち上がりしが今

 

 

46

生の別れにせめて御顔

をと 差しのぞけば三勝も

お通を一目とのびあがり

見れ共親子隔ての関 何

と千万無量のおもひ

 

両手を合せ伏し拝みおさらば

/\と云声も歎きにうづむ

我家の内見返り/\死に

に行く 大和五条の茜染

今色上げし艷姿(はですがた)其三勝が

 

 

47

ことの葉を 爰に写して

       〽とゞめけれ