仮想空間

趣味の変体仮名

錦絵

辰姫(清原深養父) 小倉擬百人一首

清原深養父(きよはらのふかやぶ) 夏の夜は まだ 宵ながら あけぬるを 空のいづこに 月やどるらむ 佐殿(すけどの)伊豆に遠流(さすらひ)の頃 伊東 女(むすめ)と深く契る 頼朝は平家 聞(きこ)えを憚り 辰姫は父祐親(すけちか)に 知れん事を恐る 実…

美盾十二史 卯 足柄山の姥

https://dl.ndl.go.jp/pid/1301737 卯 足柄山の姥(あしがらやまのやまうば)春は青柳の糸繰(くり)ため 秋は月下に機織(はたおり)ぞなく 我(わが)子を育(そだつ)る百折千魔(ひゃくせつせんま) 赤き心は梢の紅葉(もみち)か みさほ(操)正しき雪…

古今名婦伝 遊女地獄

「古今名婦伝」 柳亭梅彦記 「豊国画」 遊女地獄泉州(せんしう)堺(さかい)高須の遊君(ゆうくん)なり 容顔(ようがん)並びなく全盛にして 気象高く 自ら地獄と呼(よび)て 衣類皆地獄変相(いるいみなぢごくへんさう)の図を画(えがゝ)しめたり 暇…

古今名婦伝 静御前

「古今名婦伝」 静御前花洛(みやこ)の白拍子なり 義経(ぎけい)殿に深く想はれけるが判官殿 鎌倉の討手(うつて)厳しく 落(おち)玉ふ時吉野にて名残を惜(をし)み 皇都(みやこ)に止(とゞ)まり其後 鎌倉へ召下され右幕下(うばくか)殿の御前(み…

古今名婦伝 栢原の捨女

「古今名婦伝」 栢原(かいばら)の捨女(すてぢよ)丹後国氷上郡(ひがみごほり)田氏(たうぢ)の女(むすめ)なり 弱年(おさなき)より和歌俳諧を好み 秀吟(しうぎん)多し 初雪や二字(にのじ) ふみ出す下駄の跡(あと) これ幼き時に よみしとぞ同宗…

古今名婦伝 掃溜於松

「古今名婦伝」 掃溜於松(はきためおまつ)芝三田の局見世(つぼねみせ)なり その身 賤しき身ながら 心清くこの女の異名を 掃溜(はきだめ)お松といふにぞ 或時塵塚(ちりづか)の歌は詠(よみ)たり是よりして 其名一時に高く 実(げ)に珍しき 女なり …

古今名婦伝 巴御前

「古今名婦伝」 応需 梅素亭記 巴御前 巴は木曽義仲の妻にして粟津の戦(たゝかひ)破れて石田為久がために義中をうたれ 我はまた和田義盛に生捕(いけどら)るゝに 義盛巴が力量を感じて右幕(うばく)下(か)に許(ゆるし)を乞て妻となして一子をまうく …

松平の禅尼(武者かゞみ 一名人相合 南伝二)

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1312418 松平の禅尼(まつだいらのぜんに)禅尼(ぜんに)は秋田城之助景盛(じやうのすけかげもり)の娘にて時氏(ときうぢ)の室(しつ) 時頼(ときより)の母堂なり さすが時めく天下の執権の親人(おやびと)とし…

白拍子妓王(武者かゞみ 一名人相合 南伝二)

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1312414 白拍子妓王(しらびょうし ぎわう)妓王は江州益須郡(やすごふり)中比(なかひ)の里の産れなり 妹を妓女(ぎぢよ)といふて 同胞(はらから)共に舞の上(じやう)手(づ)なれば 清盛これを妾(せう)とな…

北條時頼(武者かゞみ 一名人相合 南伝二)

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1312418 北條時頼(ほうでうときより)時頼は時政(ときまさ)の五代の孫にして 北条九代の内 泰時(やすとき)時頼を名将と称せり 就中(なかんづく)時頼は智略あり威量(いりゃう)あり 殊に仏道に帰依厚く中にも禅…

常盤御前(武者かゞみ 一名人相合 南伝二)

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1312414 常盤御前(ときはごぜん)常磐は義朝(よしとも)の妻にして 尾州熱田(あつた)の大宮司末憲(すえのり)の妹なり近衛院の御時 容顔美麗の女を召(めさ)れんとて五百人の内より只一人撰出(えらみいだ)され…

左馬頭義朝(武者かゞみ 一名人相合 南伝二)

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1312414 左馬頭義朝(さまのかみよしとも)義朝は六條判官為義(ためよし)の嫡男なり 其相(そう)勇然たれど眉薄く 毛(け)上へ生(は)へ 所々(ところ/\゛)抜(ぬけ)たるやうにて 小眼(せうがん)にして耳とが…

平相国清盛(武者かゞみ 一名人相合 南伝二)

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1312414 平相国清盛(へいさうこくきよもり)清盛は忠盛の一子なり 実は白河帝の御落(ごらく)胤(いん)にして 母は祇園の女御(によぎよ)なり 保元(ほうげん)平治(へいぢ)の擾乱(じやうらん)を平(たいら)げ…

若狭局(武者かゞみ 一名人相合 南伝二)

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1312418 若狭局(わかさのつぼね)局は比企(ひき)判官義員(よしかず)の娘にて 頼家に愛せられ一幡(いちはた)君を産めりしが 父義員 若君の為に叛(む)逆(ほん)を発(おこ)しけるに 早くも露顕して若君を始め…

羽林頼家(武者かゞみ 一名人相合 南伝二)

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1312418 羽林頼家(うりんよりいへ)頼家は鎌倉二代の将軍にて 頼朝の惣領なりけるが 病によつて舎弟(おとうと)千幡君(せんはたぎみ)へ西三十八ヶ国を譲り 御子(こ)一幡(いちはた)君へ東二十八ヶ国を譲らんと規…

松殿松姫(武者かゞ美 一名人相合 南伝二)

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1312411 松殿松姫姫は関白基通(もとみち)の女(むすめ)なり 容顔艶麗なることたとふるにものなし 義仲此縡(こと)を聞(きゝ)て押(おし)て聟となり姫と配偶せんといふ 姫は義仲を鬼神(おにかみ)の如く思ひ 怕…

木曽左馬頭義仲(武者かゞ美 一名人相合 南伝二)

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1312411 木曽左馬頭義仲(きそさまのかみよしなか)義仲は帯刀(たてわき)先生義賢(せんせうよしかた)の子なり 高倉の宮の令旨(れいし)を受て 城(じやう)の資永(すけなが)を討て平家十万騎を倶利伽羅谷へ追落…

平政子 (武者かゞ美 一名人相合 南伝二)

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1312411 平政子(たいらのまさこ)政子は北條時政の女(むすめ)にして頼朝の御台所なり実朝将軍幼年の内は廉を垂て政事を聞(きく)故に世に尼将軍と言(いふ) 都(すべ)て行状漢の高祖の后妃呂后(りよごう)にるい…

右大将頼朝 (武者かゞ美 一名人相合 南伝二)

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1312411 右大将頼朝頼朝は義朝(よしとも)の三男なり 伊豆の配所より発(おこ)ッて石橋山に義兵を挙てより後 義仲ヲ粟津(あはづ)に討て平家を西海に亡し 多年の蟄懐(ちつくわい)を開いて日本総追補使(にっぽんそ…

古今名婦伝 常盤御前

古今名婦伝 楳(梅)素亭 玄魚記 常盤御前(ときはごぜん)常磐は夫(つま)義朝(よしとも)野間の内海(うづみ)に亡びて後三人(みたり)の子を供なひて街(ちまた)に漂ふ平宗清(たいらのむねきよ)は清盛の命(おほせ)をうけてこれを捕(とらへ)福原…

古今名婦伝 下女お初

古今名婦伝 楳(梅)素亭 玄魚記 下女お初初女は 本名さつ 何某侯(なにがしとの)の奥中老尾上が婢(みづしめ)なり節婦のきこえ高し女主(あるじ)尾上は傍輩なる局岩藤に耻(はづ)かしめうけて自殺すさつは密(ひそか)にこれを窺がひて主の仇をうつ直(…

古今名婦伝 万治高尾

古今名婦伝 楳(梅)素亭 玄魚記 万治高尾元吉原なる三浦四郎左衛門が家の名妓二代の高雄は下野国下塩原郷塩釜村の産(さん)にて父を長助といふ高尾万治三年庚子十二月廿五日江戸にて没す彼古郷にあまたの紀年(かたみ)を送(おく)しといへども皆失ひて今…

古今名婦伝 中万字の玉菊

古今名婦伝 楳()素亭 玄魚記 中万字の玉菊亨保の頃新吉原中万字屋(なかまんじや)の遊女玉菊はさはかりの美女にもあらねど其素性(さが)よきうまれにして諸人に愛せらるゝ事廓中に比ぶものなし其頃拳相撲(けんすまう)といふこともつぱら流行せしが玉菊…

古今名婦伝 加賀の千代

古今名婦伝 楳()素亭 玄魚記 加賀の千代千代は加賀国松任(まっとう)なる福増屋(ふくますや)六兵衛といへる旅店(はたごや)の女なりいとけなき時より風雅の志ふかく行脚の俳人を家に止宿させて俳諧をたしむ廿三才の時京にのぼり勢州にいたり麦林舎乙由…

古今名婦伝 新町の夕霧

「古今名婦伝」 新町の夕霧浪花新町扇屋の遊女なり心優しく書に妙を得たり惜哉早世す今も寺町浄国寺に此妓の墓あり花岳芳春(くわがくほうしゆん)信女といふこの妓の着たる褂(うちかけ)今猶存せり夕霧が冬九軒吉田屋にあり且板行して好事家の玩となれりか…

明治二十歳八月十九日日食九分九厘餘

午後二時三十六分右ので(出)より観はじめ 三時四十八分上の右に甚し 四時五十三分上と左の間にをはる(終わる)但し白河より佐渡に至る線路は皆既たるべし 此度の日食は誠に珎らしき現象にて 今を去る事百一年前天明六年正月元日以来曾(かつ)てなきよし …

忠臣蔵八景 打ち出しの夕照

打出しの夕照仇敵うち出す木戸の口紅粉に夕日まばゆき女中見物 (うちだしのせきしょう あだがたき うちだす きどのくちべにに・・・)

忠臣蔵八景 十段目の帰帆

十だん目の帰帆縁の綱きる去状の追風にしりにほかけてかへる親舟

忠臣蔵八景 九段目の暮雪

九段目の暮雪祝言をしからはさせてくれの雪にとけて顔までいろ直し する

忠臣蔵八景 七段目の秋の月

七だんめの秋の月秋の夜も九つはしこ中ぞらをあを向て見る洞底の月