源氏物語
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567591 1 藤のうら葉 2 御いそぎのほどにも宰相の中将は。ながめがち にてほれ/\しき心ちするを。かつはあやしく わが心ながらしうね(執念)きぞかし。あながちにかう 思ことならば。せきもりのうちもねぬべきけし き…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567590 1 梅ヶ枝 2 御裳ぎのことおぼしいそぐ御心ををきて世のつねな らず。東宮もおなじ二月に御かうふりの事あるべ ければ。やがて御まいりもうちつゞくべきにや。正月(ムツキ)のつ ごもりなれば。おほやけわたくし…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567589 1 真木柱 2 うちにきこしめさん事もかしこし。しばし人に あまねくもらさじといさめ聞え給へど。さしもえ つゝみあへ給はず。ほどふれどいさゝかうちとけたる 御けしきもなく。おもはずにうきすくせなりけり と思…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567588/1/1 1 蘭 2 内侍のかみの御宮づかへの事をたれも/\そゝの がし給もいかならん。おやと思ひ聞ゆる人の御心 だにうちとくまじき世なりければ。ましてさ やうのまじらひにつけて。心よりほかにびんな き事もあらば…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567587 1 行幸 2 かくおぼしいたらぬことなく。いかでよからんことは とおぼしあつかひ給へど。このをとなしの瀧 こそうたていとおしく。南のうへの御をしはあkり ごとにかなひて。かる/\しかるべき御名なれ。かの お…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567586 1 野分 2 中宮のおまへに秋の花をうへさせ給へる事 つねのとしよりもみどころおほくいろくさ をつくしてよしあるくろきあかきのませ をゆひまぜつゝおなじき花の枝ざしす がたあきゆふ露のひかりもよのつねならず…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567585 1 かゝり火 2 このごろ世の人のこと草に内のおほい藤の いま姫君とことにふれつゝいひちらすを源 氏のおとゞきこしめしてともあれかくもあ れ人みるまじくてこもりいたらん女ごを。な をさりのかごとにてもさばか…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567584 1 とこ夏 2 いとあつき日ひんがしのつりとのにいで給ふてすゞ み給ふ。中将の君もさふらひ給ふ。したしき 殿上人あまたさふらひてにし川よりたてまつ れる。あゆ。ちかき川のいしぶしやうの物。おまへに ててうし…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567583 1 ほたる 2 いまはかくおも/\しきほどに。よろづのどやかにお ぼししづめたる御ありさまなれば。たのみきこえ させ給へる人々さま/\゛につけて皆思ふさま にさだめり。たゞよはしからであらまほしくて すごし給…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567582/1/1 1 胡蝶 2 やよひ廿日あまりのころほひ春の御前の ありさまつねよりことにつくして匂ふ花 のいろ鳥のこえほかの里にはまだふりぬにや とめづらしう見え聞ゆ山の木だち中じまの わたり色まさるこけのけしきなど…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567581 1初音 2 年たちかへるあしたの空のけしき。なごり なく。くもらぬうらゝかげさには。かずならぬか きねのうちだに雪まの草わかやかに色づき はじめ。いつしかとけしきたつかすみに。この めもうちけふりをのづか…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567580 1 玉かつら 2 とし月へだゝりぬれどあかざりし夕がほを露 わすれ給はず。心/\なる人のありさまどもを見 給ひかさぬるにつけても。あらましかばと哀にくち おしくのみおぼしいづ。右近はなにの人数なら ねどなを…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567579 1 乙女(この帖からボギャブラリー豊かになった気がする) 2 年かはりて宮の御はてもすきぬれば世の中 色あらたまりて。衣がへの程などもいまめかしき を。ましてまつりのころはおほかたの空のけし き心ちよげな…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567578 1 朝顔 2 斎院は御ぶくにておりい給にきぞかし。おとゞ れいのおぼしそめつる事たらぬ御くせにて 御とふらひなどいとしげう聞え給ふ。宮 わづらはしかりし事をおぼせば御返りもうち とけて聞え給はず。いとくちお…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567577 1 薄雲 2 冬になりゆくまゝに川つらのすまいいとゝ 心ぼそさまさりて。うはの空なる心ちのみ しつゝあかしくらすを。君もなをかくてはえ すぐさし。かのちかき所に思ひたちねとすゝめ 給へど。つらき所おほく心み…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567576 1 松風 2 ひんがしの院つくりたてゝ花ちるさとゝ聞えし うつろはし給。西のたいわたどのなどかけて。まど ころげいしなど有べきさまにしをかせ給ふ。京の たいはあかしの御かたとおぼしをきてたり。北の たいはこ…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567575 1 絵安は勢 2 前斎宮の御まいりのこと中宮の御心にいれ てもよほし聞え給ふ。こまかなる御とふらひ までとりたてたるおほんうしろみもなしと おぼしやれど。大殿は院にわたし奉らんことをも 此たびはおぼしとまり…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567574 1 関屋 2 伊よのすけといひしは。古院かくれさせ給て 又の年ひたちになりてくたりしかば。かの はゝき木もいさなはれにけり。すまの御旅 いもはるかにきゝて人しれず。思ひやりき こえぬにしもあらざりしかど。つ…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567573 1 蓬生 2 もしほたれつゝわび給しころほひ。都にもさま/\゛ おぼしなげく人おほかりしを。さてもわが御みのよ り所あるはひとかたの思ひこそくるしげなりしが。二 条のうへなどものどやかにてたびの御すみかをも…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567572/1/1 1 水衝石 2 さやかにみえ給し夢の後は。院のみかどの御 ことを心にかけ聞え給て。いかでかのしづみ給ふ らんつみすくひ奉ることをせんとおぼしな げきけるを。かくかへり給てはその御いそぎし 給。神無月に御…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567571 1 赤石 2 なを雨風やまず神なりしづまらで日頃にな りぬ。いとものわびしき事かずしらず。きしかた ゆくさきかなしき御ありさまに心づようしも えおぼしなさず。いかにせまし。かゝりとて都にかへ らん事もまだ世…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567570 1 すま(須末) 2 世中いとわづらはしくはしたなきことのみま されば。せめてしらずかほにありてもこれより まさることもやとおぼしなりぬ。かのすまはむかし こそ人のすみかなどもありけれ。いまはいと さとはな…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567569/1/1 1 花散里 2 人しれぬ御心づからのものおもはしさは。いつとな きことなめれど。かく大かたの世につけてさへわづ らはしうおぼしみだるゝ事のみまされば。物心 ぼそく世中なべていとはしうおぼしならるゝに。 …
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567568/1/1 1 龍神木 2 斎宮の御くだりちかうなり行まゝに宮すところ ものこゝろぼそくおもほす。やんごとなくわづらはし きものにおぼえ給へりし大殿の君もうせ給て 後。さりともと世人も聞えあつかひ。宮のうちにも 心…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567567 1 あふひ 2 世中かはりて後。よろづ物うくおほされ御身の やんごとなさもそふにや。かる/\゛しき御忍びあ りきもつゝましうてこゝもかしこもおぼつかな さのなげきをかさね給ふ。むくひにやわれにつれ なき人の…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567566 1 はなのえん 2 きさらきの廿日あまり南殿のさくらの宴せ させ給ふ。后春宮の御つほね左右にしてまう のぼり給。弘徽殿の女御は中宮のかくておはす るをおりふしごとにやすからずおぼせど物見 にはえすぐし給はて…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567565 1 紅葉賀 2(左頁) 朱雀院の行幸は神無月の十日あまりなり。 よのつねならずおもしろかるべきたびの事 なりければ。御かた/\物見給はぬ事をくちおし がり給ふ。うへも藤つぼのみ給はざらんをあかずおぼ さるれ…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567564 1 末摘花 2 思へどもなをあかざりし夕がほの梅雨にをくれし ほどの心ちを年月ふれどおぼしわすれず。こゝ もかしこもうちとけぬかぎりのけしきばみ 心ふかきかたの御いとましさにけぢかくなつ かしかりし哀ににる…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567563 1 若紫 2 わらはやみにわづらひ給てよろづにまじなひかぢ などまいらせ給へどしるしなくて。あまたたびお こり給ふければ。ある人北山になんなにがしぎと いふところにかしこきおこなひ人はべる。こぞのなつ も世…
読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/2567562 1 夕かほ 2 六条わたりの御忍びありきの頃。うちよりまかで給ふ なかやどりに。大貳のめのといたくわつらひて尼に 成にける。とふらはんとて五条なる家たづねておはし たり。御車いるべき門はさしたりければ。人…