仮想空間

趣味の変体仮名

大都会不尽(おほつえふし)

 

安政地震

大都会不尽(おほつえふし)
二上り〽大なまづゆゥら/\世間は
大そう火事をけし御すくひは
おたきだしにけ出す
おやこは無事のさた
大どうのつゝはり丸太
あんまころんで
仰てんし
わらじの値を
上ケて御ふれに
番太もぞつとして
かべふるひじやうだん所で
ござりませんやつとの
おもひでつぶれて
弁当家根(やね)のうへ

なき上戸 えんまの子
はらたち 上戸 ちしん の子
わらひ上戸 地蔵の子

 

大都会不尽(大津絵節と読ませている)
二上り〽大鯰ゆゥらゆうら、世間は大層火事を消し、お救いはお炊き出し、逃げ出す親子は無事の沙汰、大道の突っ張り丸太、按摩転んで仰天し、草鞋の値を上げて、御触れに番太もぞっとして、壁震い冗談所でござりません、やっとの思いで潰れて弁当屋根の上

泣き上戸 閻魔の子
腹立ち上戸 地震の子
笑い上戸 地蔵の子