仮想空間

趣味の変体仮名

新吉原細見序 明治元(1868)

 

読んだ本 https://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/wo06/wo06_03223/index.html

 

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年々細見花相(あひ)似たれど。細見年々娼妓(ひと)おなじからず。

物変り押移る。星の位の全盛も。月の桂の眉毛をはらひて。

北里より西郷(にし)へ入山形(いりやまがた)。積る年季も暁の。夢をさめたる花衣(はなころも)。

うつらふ色の様々に。浮川竹(うきかはたけ)の流行疾(はや)れ。森羅萬象(しんらまんぞう)番頭(ばんとう)

新造(しんざう)。いつか引込(ひッこみ)突出(つきだ)しも。山の神さん九十九髪(つくもがみ)。百家巧商(ひやくかこうしやう)

諸芸人。江湖(せかい)に有(あり)とあらゆるものを。一廓(いつくわく)紙中(しちう)に書(かき)収めし

戯墨(けぼく)は年々歳盛記(さいせいき)。豊葦原(とよあしはら)のゆたけき御代(みよ)を。新吉原の

体載(てぶり)にうつす。禿(かぶろ)の筆の蚯蚓(みゝず)がき。假名釘流(かなくきりう)の文(ふみ)の章(あや)。

大門口(おほもんぐち)の序詞(はしがき)に。此(この)巻紙を費(つひや)すものは。金竜山(きんりうさん)下(か)の

稲妻組(いなづまぐみ)。いろは長家(ながや)の地廻(ぢまは)りなる 「昭和九年 九月十七日 購求」

 明治戊辰仲冬  風雷山人戯誌