仮想空間

趣味の変体仮名

咄の絵有多 「序」

 

読んだ本 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1242667/14?viewMode=

 読めない字がたくさ~ん。ヒド~イ。テキトー

 

 

古今青楼 咄の絵有多 通油松村  

 

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2

庭の焚火のしろ/\とあけぼのしらす
鶏あれば。月の出しほの虫の音あり。
さねみぬ花の並木あれば。たんぼの
不二の初雪あり。井出の蛙は河岸
から聞へ。むかしの人呼時鳥に。廓(かくせ)すがゝ
きの夕づくひ。たまこの四か角は喜の字に
あり。女郎の誠は意気地にあり
是をまことなきといふ人は其いにしえ

 

 

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3
をしらざるよりと去通人の咄にしたい。
素顔素あしははつ春の。あらたまり
行ものごしを。柳町の夕陽と。新
よし原のたそかれを。あらましこゝに
うつして。古今吉原咄の絵有多と
題するのみ


安永九年
子のはつ春
南咤加紫蘭記ス


右古今青楼事訳難筭尚画上粗而委吉原大全其他青
樓書數巻讓而是畧
咄画有云。吉原大全の。烏有と巨来の序も。出来たりんだが
何ンとマア。女郎買の一となりも。大体あのくらいなりも。それから込み入て
見れば。愛想のつきる事ばかり。たのみのあるも青うち。通になつて
は糸瓜の根何か無上に。こうでもない。あゝでもないと。さみしちらすといつでも
香の物で茶漬より外はなし。初心はかけらなくもふらなくのも。わからずに遊ぶ
ゆへ。菜さへ有ばいつでも飯を甘く喰ふ。こゝらはやぼの一徳。いでや此世の多き
中いに。やぼならぬもなく粋ならぬもなく。其中にも己惚にて。通人と
見せんと。何かに付て朝夕のこゝろ遣い。やつぱりこれがやぼの

 

 

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4
上まへ。粋の目より不通うと笑る人は。どふした形が持るもしら
ずくん内嶋も。せんじの羽織も。祖父のさした朱鞘の脇指も
不格好ともおりはねは。是又心のつうなるべし。名高き遊里に
たたされ給ふ。通達のくわんねんの念にもあらされば。大門をくゞること
ならば。たゞ何事も利口だてをふりすてゝ。いつそ愚痴に。だまさ
れて。かけられて。女郎に逢ふこそ。買といふ字の深意なら
ん。これより?をさがしなば。道の横たをしなるへしかの。
ちよ/\ら伝を見れば金銀を遣わずして。女郎を自由に
するを。色男といふと書り。これらははら類か下さまのことの
?にして。あんするにたらず。やり手の高笑ひではなけれど。作者の

心が見たい。今はむかし。新かづさやのこまぎぬと。大かづさやあげ巻が。
子供狂言へ遣す。幕の出入にて。張合ふたを。ある人中なをりさせし
其仕様のよさ。肴売が花をくれる。物もらいに金をやるなど。
是たは皆。たてひきの通うよりおこる。行過たるをおつに。足らざるを
おきなつて。せつなきをすくふ。此むれの通達かぞへがたし。又くる
わかも。下を廻るものに名を得しは。近頃。松屋のおまつ。かなやのおつま。
中あふみやの平三などは。何もの御そんじ。又穴さがしへんちこ論などに。
傾城は。中々風上にもきらふ物のやふにあれど。少し心得違ひならんか。
大門より内を。極楽といふはつまらずと。云しもつまらず。人々女郎を
買って。もてたといへど。つとめと云字に気がつかぬかとの。理くつもすめぬ

 

 

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5
勤めといふ字に気がつけば。誰か楼中へあゆみ?はこばんや。この里へ
入ほどならば。面白く遊びて。友達へ咄すにも。ふられたといふより。もてた
といふが聞へもよし。いかほど馴た客なればとて。初会から実(まこと)もあかされ
まじ。先ず。かけてくるめて置いて。其上来る時は。うそから誠も出るあお
かし。男にほれたのか。金の道とられたのか。いづれにもかけらるゝのは
客の手から也。此かみわけなく。めつたにかろい/\といふ物しり達は。へんくつの
ひつくり返しにて。屈へんとや申さんか。恋せずは。人は心の。なからまじ。
物の情けも。くれよりぞしる。此うまみは有かたからずや。聖経
賢伝をせんじえあいても。板を擔(にな)ふて片々ばかり見ての
筆勢ならん。警情(けいせい)の身の上とても。金をた?ものは其意に叶す。

向ふの人や堀のむすこに吸取らるゝをそしつても。是もかづ三十
余の女郎なれば。いくらも有そふな事。殊更客と色とのへだてあれ
ば。ほれた客より。なま惚な色の方かおも代くたのしみなるべし。
き?うと笑いなんしても。よふありんすと云のは。傾城の情なるまじ。
さりながら何やの何がしといふおいらんなどが。露光命とほりしは。あまり
あさはかなしかた。すべて歌舞伎の類などゝ狂ふは。さりとは此里の
女郎に似合ず。おか売女かおぐり子めなていやし。心倦(あく)までお?かに
ひがみつら/\。無筆無げいにして。みさほといふはつゆほともなく。
ちよ/\らを常とし。恥をしらず。賢愚貴賤をわきまへず。と云
人もあれど。そふ云ふのが弁へのなきなり。爰に来ては。高下へたてず

 

 

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6
鳧(けり)をもよふす里ならずや。常の礼儀がまじ里。見さかいあらば
さつぱりはじまらず。とけ(?)が太々を打やうに。たいそうに取あつかは
れるで持た世界。あまたの中にはみさほも実(まこと)も有る事ぞ
かし。すべてみさほがあつてつまる物か。三百六十日つとめの
身。色男は茶づけ食(めし)。恥をおかつて一日も女郎の奉公は
ならず。一頭朱唇万客嘗(ばんかくなむ)。または誰かはけふの夫(つま)ならんと
?(かたつ)てあれば。うき川升(?)のふし/\ほどつらき事はあるまじ。無筆
無けいと笑ふとも。唐机にて文を書もあり。牡丹を一輪生ける?らいは
すいぶん知っている事也。に(?)はかのあたいを費やして。はした女郎
狂いのやからは。おしなべて文盲のやうに覚ゆるもさぞあらんかし。

吉原の外にいていやしく?せし女など。奴と成って爰へ入し少しは。ひがみの
つよきもあらんか。あろかといふは里の習い。中頃巴屋のかほる。金魚を持て遊び
にこね廻し。ちつとは休ませんと盆へならべしも。遊女の心には叶ひしか。彼のぬとなりて
入込みし売女と。此里育ちの引込禿と同じやうに思ふは誤り。箕輪の庵にて。
源氏いせ物語やからの草紙をもよませ。委く述ぶるにいとまあらす。遊女と成りては。
裂肉?身の謀にて。人をたぶらかしおかしくないにも笑ひかなしくないに
も涙そゝくは。?大切世渡りに精を出すのなり。傾城を古狸女狐と
おもふは。さりとはけものお?かなる事。其心からは女郎に化さるゝも尤なすも。ぬしが
しくじりなんしこらかくまつて置いしやうとは。伏義神農以来の

 

 

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せりふ付。其客がのめつて死ふともかまはぬといふもふづまり。是を構つて
手出ししよふなら。どんな時行(はやり)ぬ女郎でも。苦界十年の間なでば。二十人は
省るべし。殊更扇婦ほとにも時行ならは。いくら?ふもかぎりしられす。客に
実なけれは女郎に実なし。客に実あれは女郎に実あり。さりながら女郎買の
巧者斗りはさのみ高名にもならず益なし。傾城に実を入る程我家業に
実を入て勤めたらは。親父の渋ひ貌もあま干しにならふといへど。こいらもやつはり
久しいもの。そふいふかたぎ(?)ばかりあつてみな。さつはりわからぬの?りさ。お先まつ
くらに泣くのもあれは。通うに買うのもわかり。そふ行きたがる人が有るから。しつとして?る
のもわかる。迚も女郎を買うならは。とのといわれて遊ふしよさ。といふて八を九に
置いて通ふがほんのわからぬの。とゞまる所をしつてとゞ。まれるを

つうやみとも粋とも通りものともいふべし。今つうといふは
なまはんじゆくをいふ。まづやほのしうち品よく。すいのしかた是
に對に。当世の通。中にたとへ。其風もつぱらいきをこのむ。小そで
二つ紋。色黒といにして。帯は菊寿。せみの羽ぞうり。きせる
しんしやうよりは銀目おく。古渡さかさの大多葉粉入。鼻帋(かみ)袋
の金物ふちかしらのごとし。通なる物なきかともとむれば此品を
出す。道具なければいきをつくす事あたはず。又言葉道。キマリ。ズチ
コロシタ。ウツ。ク。カク。テン。スジ。カブワタと一つとして風雅?しきは
なし。本だあたまのぎん出しは。正徳寺の西日からゆき。傘(からかさ)の
蛇の目は。すしやのかんばんかと見まがい名をんをなをす事

 

 

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茶をひく女郎にひとし。もてたといへば新造にかぎり。
すきんせんをば大尽と心得。けいせいの身のうへをくるしめて
遊ぶを。みつかる大通ときわめ。無口者。内気者のたぐひを。不通
と名付て。足下に見くだせども。やぼふつうといはるゝ人は目出たく。
すいにはなりにくし。今時の大通は。あんずるより成がやすし。まつ
すぐな花の中の町を。人にとく事やすくおのれ行いに事かたし。
此道に師なく。非をうつものなし。人を笑って。われを笑はるゝを
しらず。どふ理屈を云ふて見ても。ハテそれ/\に一つづゝ能き所があれば
こそ。色里のにきやか。所詮数十年たつても。此論は。わかるまい。
何事も紙ずふえ。お茶でもあかれと爾(しか)云ふ