仮想空間

趣味の変体仮名

生玉心中 中之巻

 

読んだ本 https://archive.waseda.jp/archive/index.html
     ニ10-00182


33(左頁)
  中之巻
こゝろ/\の あきなひも 皆世渡りの大和橋 下行水の淡(あは)
よりも色にぞかねは消やすく 際(きは)は素焼の明(あき)徳利けふの
あやめの節句にも 見世指し身皿とやかくと 人も火入や灰吹きも
くだけて物や思ふらん 繁昌の地の紋日さへふけてさびしき
五月闇 かごの者共灯燈さげ 嘉平次が見世わるゝ斗にたゝけ共
たそととがむる人けもなくしきりにたゝけば家主紺屋のわかい者


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共大欠(あくび)して出合 誰じや やかましい 一年に一度の五月のせつく
我人皆やすんでいる 嘉平次殿は晦日(つごもり)まへから爰にはいられぬ 二日
の晩方ちよつと戻つてそれから影も見せられぬ かけこひしゆ
ならゆふべこふたがよいわいの 節句しも何事ぞ 惣じてそこは出見
世で火を炊く事も御法度 をもやは松屋町九之助橋の角 一つ屋の
五兵衛殿かくれはない いやかけこひではござらぬ 伏見坂町柏屋のさが
と申が 是も二日の夜から見へませぬ けふで四日さま/\にしても

しれませず こんな所によもやとは存ながら嘉平次様とはふかい中
念の為でござるといふ所へ利発くさいしらがまいり 嘉平次どのは
まだでござるか 帰られたらいふて下され 西国橋いんてん屋長作から
参つた 手形の銀子不埒について 明後日お願申まると アゝ聞
に及ぬ 爰は出見世の棚かし 何事も存ぜぬ本宅へ/\と 取合ねば
せん方なく皆東へと走ける 紺屋の者共あきれはてなんと清介
此さがおといふかた 見やつたか ムゝそなたは終に見ぬか さい/\爰へ泊り


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に来たそれは/\よい女房 いかにも/\嵯峨の釈迦 びしゃかつま
の御作といふてもだんないと いへばひとりがうなづいて それで聞えた
嘉平次の 借銭だんと打笑ひ しむる門口しん/\と音更けて静か也
世の中に 秋はてよとてつきし名か 今は身にさへ秋のさが 平とふたり
が二日の夜 身のうきまゝにふつと出て どこをとぼ/\行先のあて
もないかごかりの世に しなねばならぬ信濃つむぎの糸より
も 心がほそく気もよはく広ひ国をも我と我 心でせばく

住なせし日本橋にぞ着きにける なふ平様 どれ顔見せさんせ いと
しや漸々(ぜん/\)に気がくらふならんす どう思ふてぞいの此様にたか/\と
唐高麗をあるいた迚壱貫目とのぼつた銀 ふりわかふ筈も
なし 其中人に見付られ見ぐるしひめにあふ時 難波(なには)焼の嘉平次が
しんでものけず 茶屋の銀負ふてあのざま見よといはれた時
此頃天満で姉ごさんのおしやんす通 御一門迄つらよごしとても
いきぬかくごのうへ はやうしなふじや有まいか アゝ思へば姉ごさん こな


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さんを大せつにいとしそうなお詞 さがといふ名は聞て成大事の
弟をせんどのやつが 殺しおつたかうらめしいとにくみをうけうがかなし
いと 手に取付て泣ければ ヲゝ今宵はのばさぬがてんなれど
先そつと出見世へいて さすがでも用意しわはやどゝなづけた
出見世の門口 夫婦手を取さいごの門出する心 嬉しや通りの人
にもあはなんだ サアはいりやと戸を押てなみ三宝 つい引枢(くるゝ)さい
て出たれは 親仁からか家主からか門に錠をおろしたこりやかう

有筈とあたりを尋くり石ひろひ 力にまかせしやん/\/\ しやん
/\/\と打ひゞきあたりはしん/\遠音(とをね)のこたま 紺屋に聞付
すは盗人よより棒よ 灯燈とわかい者共かけ出る音 さがを後ろに
羽織の下 裾をかつぎのあまならて人の見るめもおぼつかな ヤア嘉平次殿
此中はどうじや 際の日に商人(あきんど)の見世を捨ててどこへぬつくりはいつ
てぞ かき出しやら掛乞やら今宵迄も尋て来る 返答にもこ
まつた エゝわけのわるひお人じやなふ 尤々 京の清水焼にずんとやすい


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仕廻(しまひ)物が有と聞 人にせんをこされまいと俄にのぼつて漸今朝
くだつた 日頃やだの有此嘉平次 さぞ逃たはしつたと評判でござらふ
親仁も商ひにせい出すとていつにない機嫌で 今夜は出見世に
とまれといはるゝ どこもしゆびに成ました 家主殿の錠そうな
サア鑰(かぎ)が有なら明て下されとてもの事に火も貰はふ 行燈にともし
て下され 何かと皆の御くろう 其代りに今度の清水焼には利がある
わつさりとふるまをとさがをかこふて身をそむけ 此期に成ても

口ちこう後を見せぬは兵(つはもの)なり 其間に錠明て是火もともし
付ました 茶でも所望にござらぬかと表へ出れば嘉平次は あと
しやうりして入かはり もうやすんで下され明日おめにかゝらふ いかふねむたい
ねますると はたとさして内よりかけがねしやんとしむれば さがは
ためいき身をふるはし はやうしんでのけたいとさゝやくも只涙なり
表には猶ふしんを立こはきに打寄 今夜の帰りがてんがいかぬ いひぶん
といひのみこまぬ 清介は親御に此様子しらせておじや まつかせと


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かけ出すこちも是で二度起た ま一度おきるは定(ぢやう)の物とつぶやき
内に入にけり 嘉平次表に気を付サアmかひの門もしまつた 是迄こそ
大義なれどこに何のさはりもなし ふたりかうならべば夫婦住居(すまい)し同前也
是爰がそなたの内じやぞや エゝ口惜い世間ひろふ内へいれ 親
にもあはせ町へもひろめ そなたに世帯を打任せ商ひもしひろ
げ 嘉平次が女房は勤の者の風(ふう)はない 何程の大世帯も捌きかねま
い女房じやと いはせうと思ふたに叶はぬ事はかなはぬ物 たつたわづ

か壱貫目余りの銀の瀬戸をこしかねて浮名を取て死ぬる事
無念なはいのと歯きしみし頭もあげず泣ければ さればいのわしとても
一日成とてゝご様に御奉公 姉御様を姑御とみやづかへせう物と 明くれの
願ひ事叶はぬのみか此しだら 及ぬ願のさか罰(ばち)か 此まへ去り人に三世相
見て貰ひしに 先生(さきしやう)で仏前の 茶湯(ちやたう)の茶碗打わりし報ひ有 つゝしめ
との物語今思ひ合すれば こなさんの此商売を打やぶつて身をは
たす 茶湯の茶碗打わりし 因果がめぐり来ましたと又ふししづみ泣


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いたり かう成身の三世相ろくな事は有物か 夜半(よなか)も過たいざおじやと
既に出んとする所へ 嘉平次用が有爰明けいと門たゝく 誰じや 夜ふけて
かましい用があらばそこからいへ たわけ者 親の声をしらぬか 五兵衛じや
明い はつといふより仰顛したつた一間の濱納屋を さがゞそぶりも見
せ共なし どこにかくさん道成寺の鐘はなけれど即座のちえ窓の貫(ぬき)に
帯をさつとむすびさげ サア取ついてぶらさがれとともに手をかけつゝ井筒
いつゝにあらぬ釣瓶おろし ひかたの沼をふむ足も淵にしつむがことく也

さあらぬ顔にて只今ふせつ折から 何事の御用がなと門の戸あくれば
親五兵衛 常にすきの大脇指遠慮せずにこちおじやと 手を引
いるゝはやしなひ嫁のおきは 思ひがけなき喜平次こりや何事がおこつた
さがさぞかなしかろと挨拶も何するやら声も うはもる斗也 おきはゝ道々
泣たる顔親も涙をめに一はい ヤイうつけめ をのれ商人の又しては/\
見世を明て余所あるき 晦日(つごもり)まへ物際は 武士の軍(いくさ)の虎口(こくち)ぞい 跡の廿八日
より出見世を出 朔日は天満にてあほうをさらし 大事の五月の節季を


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捨けふ迄はどこにいた たつた今家主よりしらされし 清水焼の仕廻
物買に京へのぼつて今朝帰り 親仁も機嫌がよいとは 五日にも十日に
も親に顔をいつ見せた さがとやらが顔さへ見れば親の顔も兄弟の顔も
をのれは見たふ有まい 塩町の姉が礼に来て親子兄弟あやめの盃
する迚 けふの節句は嘉平次の顔が見へぬとうぬが事くやんで かはいや泣
て帰つた 去ながらこりや 此おきはが顔ばつかりはいやでもおふでも一期(ご)
見せねは叶はぬと いへばおきはゝわつと泣 エゝ情ない嘉平次様 いやな物私が

無理にそはづといふにこそ おまへの心が不定(ふじやう)で外を家になさるゝゆへ 親
仁様の御苦労一つ屋の家も立ませぬ 心さへすはつて家をふまへるかくごなら
おさが様を呼入てとかくお身の立様に わしや在所へ戻つて尼に成共成ま
すると道をたゞして泣ければ さがは聞より気も乱れいとしやあのお人も
心の内はねたましかろ わしがはなるゝ事もいやててゝごのも尤也 エゝしにやうが
おそかつた今塩がさいて来て 此身を取てもいけかしと 身をもだへてあ
こがるゝ嘉平次は只何事も親のじひ 御免とよりは一言も泣て うつむ


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く斗也 五兵衛大きに腹を立 何事も親のじひとは 扨は此親はじひ
をしらぬと思ふよな ヲゝじひしらぬ 慈悲しらぬ親持たがふしやう 此
おきはにも親が有 をのれと夫婦の約束で人の娘を貰ふて こつちのむ
すこががてんせぬそつちの娘をかやすと すご/\と戻して一つ屋の五兵衛が
世間へつらが出されうか 親に恥をあたへる子にじひとはどこへ エゝ浅ましい
根性 一本さすを侍一本さえば 町人と斗思ふかうつけ者 大小はこのむねに
有 武士におとらぬ五兵衛とけふ迄人に笑はれぬ 其世伜(せがれ)がどしやうぼ

ね茶屋の銀負ふて逃かくれ しんでも恥がぬけはせぬ をのれが身はすた
つても此五兵衛はたて通す 此おきはと夫婦になれ サアどうじや サアいやか
おふかの返事せい いやといふと此脇指こりや ハテびつくりすなをのれはきらぬ
人もきらぬ おきはが母は身が姉てゝは他人 おきはを孀(やまめ)にするかはり
身が腹につゝこんで 一つ屋の五兵衛が一ぶんたてゝ見せう サア返事 サアなんとゝ
ぬきかけて責つくる おきはゝは柄に取付て伯父様殺す事はない わたしが
しねは十方がすみますと すがりとゞめて泣さけぶ さがゞ悲しさ身


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にせまり しにては爰に只ひとりてゝごぜのめのまへで しんで見
せんと涙の帯たくり取付のぼらん/\と心斗に力なく 足は泥に引しま
り帯は中よりふつゝときれ 芦辺にどうと落ち水と共に涙ぞながれ
ゆく とても死身の嘉平次親の心をやすむるは やすい事/\是一生の
孝行おさめと観念し ハアゝあやまり入て御尤 わかげの至りいひかはせしを捨
がたく 今迄お心そむきしは不調法 是より魂入かへ御意をそむかず い
かにもおきはと祝言と いへ共さがは心をしらず誠と聞て恨みやせん

しにぎは迄偽る事親をだますか勿体なやと 思へばせきあげ声ども
りいひさし てこそ泣いたれ いや/\今迄いくたびかたらされた 其心
ていに極つた証拠が見たい ハテ証拠とてなんといたそうぞ ヲゝ証拠には
今宵すぐにこちへ来て 祝言の盃せい それは余りな親仁様 申かはした女
にもとくと合点させ 何国(どこ)もしゆびよふ埒明けたせうこ 明六日の昼迄待
て下されといへば 親も打うなづきむゝ 然らば祝言は其上 姉も呼よせ
一家あつまり盃せう 只今心の定まつたしるしの盃 一つ飲で身にさせ


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いや出見せで終に酒飲ず酒とてはござらぬ ヲゝそう有ふとおもふて
酒は身が持参したと 羽織の下より一升入のひぞうのひやうたん取出し
サア親の酌一つのめ あつといふより素焼の盃取出す いや/\ちつさいそちが
のむはしつている 鉢でも茶わんでも大きな物で一つのめ さのみかふは
たべませぬ どれか是かと茶碗尋る其音を 聞にもさがゞ袖しぼる
露の萩やきお大皿出し 慮外ながらと受けければてうど飲めと 瓢箪かたふ
けつぎかくる酒にはあらぬ糀の色 花の壱歩(ぶ)のから/\/\ さら/\/\と

七八十 皿うづ高くもりあぐる子はあきれうつかりと 親の顔のみ打まもれは
親はわつと声を上やれ 慈悲しらぬ親の酒を見よ 誠のじひの味
はひをのみてしれやと泣けれは ハアゝ有がたしと斗にて 親の膝に打もたれ
声もをしまずなげきしは性(せい)は 善成涙也 つゝむにあまる親心 不便
やかはひや此春より うろたゆる体を見て 此酒一献のませたく
幾度か思ひよつたれど いや/\気の定らぬ間はかへつて毒酒とひかへ
たり 此酒のんで方々の恥辱をすゝぎ 無明の酒の酔さませ 身共はとし


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より気じやうにて病といふ事もしらね共 五六日はをのれゆへ むねも
いたんで不食する とかく人の親には病と成も子の心 薬と成も子の心
今宵の異見を聞入て 弥心を持なをし親の薬と成てくれ 長生し
たいと思はね共 せめて卅二三迄とつくと見たて 人になしてしねは楽じや
とむせ返り 成人の子を引よせて せなかをなでゝ泣くどく親の 心ぞ
哀成 嘉平次も人々の心の中を思ひやり 一言もなくさしうつむき 落る涙は
盃の是もうへこす斗也 おきはも涙にくれながら晦日の夜からゆふべ迄

あんじて一めもをよらずお心つかれお身の毒 かへつておやすみなされませ
ヲゝ帰らふ 是嘉平次 脇指は死んだ母お身共が祝言の時 聟引出物
として舅よりもらひ 枕もとの守刀となしたるゆへ家内に何のけがもな
いぎえんのよい脇指今宵は身共がおきはが親に成かはり 聟引出
にとらすると仇とはしらぬ凡夫心 サア今宵こそはや帰りつて明日の昼迄
ゆるりとねよふ やい嘉平次埒明き次第おこしにこい 明日顔見よう さらば/\と
立出る さらばは誠のさらばにて明日見る顔はしに顔の 生き顔見るは親と子


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の是ぞ「此世の別れ成 嘉平次は親の影かくるゝ斗見おくつて 内にかけ入り
窓の下覗けばさがは消入斗 泣しみづいて音もせず是々 万事皆聞てゞあ
ろ忝いといはふか 悲しいことゝいはふか是で結句嘉平次が 親の冥加につきる
わいの いや/\そりやこなさんの不孝といふ物 今の酒とはかねそうな どこも
しゆびよふ仕廻ふておきは様と夫婦に成 親御の心を悦ばせて下さんせ わし
ひとりしぬればすみ どの道からどういふても 只こなさんがいとしいわるふきいて
くだんすなと しんじつ見へたる涙の体 アゝひとりしなせてよい物か 貰ふた壱

歩(ぶ)は百斗銀(かね)さへあれは何談合もしやすい たとへどふなれば迚そなたを捨てて おきはと
そふ気はみぢんもないなむ三帯がきれたか 表から廻つておじや かつ手しるまいつれに
いかふと表を明けて出る所に いんでんやの長作くるきやうの者つれて ヤア嘉平次 親五兵衛は
爰にじやげなあいたい/\ わけもない長作何時じやと思ふ 親仁が爰へいつわせたことが
有 用があらば明日成とあさつて成と 松屋町へいてあへかへれ/\と押出す 是何ン
とする 親仁にあふもそちが用 内々の手形の銀子不埒ゆへ 明後日お願申と断りにこし
たれば 松屋町へいけと有それゆへ自身いつたれは 親仁は是へわせたと有千も万も


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いらぬ 銀戻する戻さぬかと無体に内に入ければ 嘉平次先へかけこんて壱歩をかくさん
/\と 皿の上に中つくばい前打合せても 膝の合より顕はるゝ金は金にてぎん
ならす 嘉平次見ごとな 町人は神仏共主君共 額にいたゞく壱歩を股にはさんで
股(もゝ)がひよふ さ程沢山な壱歩を戻すまいとはそりやわやじや きれいにしやんと
渡せ/\ コリヤ長作 十六両たゞしられそれがぞもとに嘉平次が うろたへ始め命沙汰にお
よんだ お願ひ申さば申上しさいの有此壱歩 粉(こ)にはたかれてもやることならぬ ヲゝ此
長作が粉にはたかれても取てみせう しやかくさい常々の嘉平次とは違ふた 口

広ひこといふと思ふな 命を先へ出して置て取て見よ ヲゝ取てみせうと つかみ付手をむんずと
取 見世のこすみへはつたとなげつくる 起あがつて組付をまつかせとひつからへ 上に成下に
成みせのやき物皿茶碗 花入こみぢん五重の塔西行法師もいた手を負い ちやぼの鶏飛
でちりけづめにけられて長作が ころぶ所をどうと乗り 備前鉢にてあたまの鉢覚えたか
/\と打くたかれて錦手の めはなちみどろちんがいに嘉平次の生き盗人出あへ/\とよばゝつて
やみにまぎれて逃うせけり エゝ嬉しや/\一期の本望とげたぞ 親の御恩の壱歩をおのれに
のめ/\とられふかと 見れ共/\皿打明て壱歩はなし 今のどやくやに同道めがつかんで走た サア


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嘉平次死物狂ひ一寸もやらふかと もらひし脇指ぼつこんで懸(かけ)出んとする所に 紺屋の手代わかい
者どや/\と門口に 嘉平次殿あんまりな たま/\かへつて何ごとし出す とかくの評議は明日一足も
出させぬと 外より門口はつたとしめ夜明迄はり番と 棒つきならべていごかせず 訳を聞て下
されとことはつても詫ても 断りたゝねば男もたゝず 一分たゝねば壱歩もなし しね/\と来る
しに神の引手は爰ぞと窓の子を ふまへてひらりと飛所を涙の袖にひつたりと だきとめてどふぞい
の どうとはしぬるばつかり足音しやんな泣声すなと 身より余りて涙川せきもとゞめよ岩をこし
はえんまくしや神 紺屋のもがり剣の山 先には死出の大和橋ふむは三途の泥の海迷ひ こがれて