仮想空間

趣味の変体仮名

腹内養生主論 

読んだ本 https://dl.ndl.go.jp/pid/8929758/1/1

 

1

腹内養生主論(はらのうちようじょうしゅろん)

 

 

2

飲食(いんしい)は身命(しんめう)をつなぐ至宝(しいほう)にして。礼義の原(げん)

なり。予年頃。いかもの喰(ぐひ)を好みて。紅葉(もみち)牡丹はいふに

およばず。蟒(うはばみ)のかばやき。狼の泥亀(すつぽん)煮。蛇(じや)の鮓(すし)に天狗

のしぎやき。鉄砲玉の座禅豆。四文銭のはり/\

はいふも更なり。身体鉄石(てつせき)にあらざれは。遂(つい)に

脾胃(ひい)を破り。病症(やまひ)をいだく。後悔先にたゝずの

業(ごう)さらしを。此(こゝ)に模写して。養生の道をひらく

といふ。干時寛政十一未の春 十返舎誌

 

 

3

慎(つゝしんで)言語以(げんきよをもつて)養其徳(そのとくをやしなふ)節飲食以(いんしいをせつにしてもつて)

養其体(そのたいをやしなふ)といへり こゝにはせ川丁

邊んに一九といふなまけものあり 生とく

のいやしぼうにて とかくなんでも見るもの

をくいたがり はぢもぐはいぶんもかまわず

くいたいがやまひ也

このせつはあ

まりくい

すごして

ひいはそこ

なひ げん

きはお

とろへ

ものにたい

くつして くさ

うしのさくさへ

できず なんど

しゆかうをかんがへ

よふとすると つへ

ねいつてしまい にし

むらよりはたび/\の

さいそく あんじつかれて

とろ/\とまどろみし

うちに ふしぎのゆめを

見る まことにゆめは五ぞうの

 

(左頁)

わづらひといふにちがい

なし 一人のいしや 一九がま

くらもとにて われはかい原

とくしんといふもの也 その

ほうのげびぞうより

はらのうちの五ぞう

こと/\゛くわづらひと

なり われにりやうぢ

をたのみ

きたれり

これによつて

いまそのほうがくちの

うちへはいるなり こと

わりなしにとび

こまば たちまち

がり/\とかみくだ

かれんことをおそれて

ちよつとわたり

をつけて とび

こむ也といふ

うちに一九が

くちのうち

よりゆめが

むかいにいで かの

かいばらを

どう/\(同道)して

口中へとびこむぞ

ふしぎなり

 

(右頁下)

「このおとこの くい

たいやまいは いくら

いつてもきかぬから

くすりをのんだも

じきにまたくう

から このうへは はら

 

のうちへ いしやを

かゝへて おくより

ほかはしかたが

ないと いふもんだ

さて/\こまつた

 おとこだ

「これはごくろうでござり

ます これへおいでくだ

さりませ のどのあいだの

ろじが せまふござります

いぬのふんをおふみなされ

ますな このおとこのことで

ござりますから いぬのふん

 でもたべかねは いたし

   ませぬから

 

 

4

一九ゆめ心にも

ふし

ぎにおもい わが

目の玉をうしろむき

にひつくりかへして

はらのうちをのぞき

見れば 心は一身の主也と

古語にいふごとく

しんのぞうを たい

せうとして ひのぞう

はいのぞう かんのぞう

じんのぞう たいしよく

にあてられ いづれ

いろあをさめてか み

いり ばつざ(末座)へくちを

よびいだして しんの

ぞう いゝわたし

けるは ひつ

きやう(畢竟) その

ほうけび

ぞう

より

はらの

うちの

わづらひ

となる

ことわざにも やまひは

くちよりいると いへば

みなそのほうが とが也

 

(左頁)

このゝち よくつゝし

みて どくなるもの

やたらむせふに

むよう也と

いゝわたsける

この心(しん)といふは

むねのあいだに

ありて その

おくかたを

魂(こん)といふ也

されば しん

こんとつゞ

きて ふうふ也

脾の臓 腎のぞう

は 五ぞうのうちでも

よつぽど手あつく

見へけるが ちかごろ

だん/\いたみて

大きにおとろへ

ける みなくちの

しはざなり されば

脾腎の後をたの

んで いんしいを

ほしいまゞにせず とは この事也

 

(右頁左下)

「とかく

そのもとは

いちがわるいから

このゝち きつと

たしなんだが

  よふござる

 

(左頁下)

「いさい かしこまり

ましたと もちまへの

くちさきにて

いゝよふに

 あわしている

(左中)

口がいふ

「とかくわたくしは

たべませぬ

よふにいたし

まてしも

目でみたり

はなでかい

だり いた

して

 

どふもすゝ めて

なりませぬ

から めはな

へも そのだん

おゝせつけられ

 下さりませ

 

 

5

人の元気のやし

ないとする いん

しよくを

かろくして

過さゞれば

生れつい

たる元

気をやし

ない いのち

ながく てん

ねんを たもつ

なりと やう

じやうしゆ

ろんに 見へたり

元気は ひのぞう

にぞくして則

ひのぞうの

むすこなり

ひのぞう おと

ろへ げんき

もうすく

ぶら/\と

なまけ

たし

まだわかいげんきゆへ さかんなる

はづなるに いつかう よはくなり

ければ このうへ げんきがなくならぬ

やうにと あるひ てらの下部(げぶ)を

つれて ぶら/\でかけて せいきを見 そめる

 

(下)

「かはゆらしい

とのごじや

 

(左頁上)

精気(せいき)は腎のぞうのむすめ

にて これもじんのぞう おとろへ

せいぶん よはくなりけるゆへ

きばらしにとて でかけ

けるが ふつとげんきを

見そめて たがいに

おもいやいし

事なれば

そうだん

さつそく

できて

げんきも

よく也

せい

きも

つよ

く也

やまひ

は さつぱり

とわす

れて

しまつた

よるになる

 

(下右)

じんのぞうのむすめと見へて

 みづだくさんに みづ/\と している

(中)

けらい下部(げぶ

ともする

(下)

「おいらも おうば

どのゝ ちゝなり

とも ひねくり

まはして

やりてへ

もんだ

 

 

6

医書曰(いしょいわく)臍下(ほぞした)

三寸円田(えんでん)といふ

腎間(じんかん)の動(どう)

気(き)此(こゝ)に有

是(これ)十二経(けい)

の根本也

じんの

ぞうのや

かたは たんでん

といふところ也

元気はせいきと

いゝかはしてより

よな/\しのび

て たんでんの

やしきへかよい

けるに せいきも

うれしくち

ぎりけるに たび

かさなりて せいき

つかれ元気も又

よはりはてけれ共

なをもかよひける

に しんのぞうのおく

がた たましいは せいきの

 

(左頁)

おばさまなる

ゆへ わざ/\

たんでんへ

きたり

たましい

へその下

におち

つきて

せいきへ

だん/\

いけん

をくわへ

ける

 

「元気は

しのび

きたり

よふ

すを

うか

がふ

 

(右頁下)

「いやはや

むすめが

みづづかいの

あらは

には こ

まり

ます

 

このとふり

ではなんぼ じん

のぞうにほりぬき

をいたしても たまりませぬ

むせうに ふるまいみづでも

いたすと見へます

 

 

7

このふたりは

めとはなの

あいだがら

にて いたりて

こゝろやすく

ことに目と

はなは いろ/\の

ものを見たり

かいだりして

もうねん もふ

ぞうを おこす

わるものなかま也

こんど くちがかぶりの

よふふすをきゝ

つね/\゛くちから

さきへでも うま

れたよふに ひとりで

しやべりちらす

つらのにくさ

なんでもこのうへ

いじはにむせふ

に見たりかい

だりして

くはして

やらんと

そうだん

する

 

(下)

「耳目鼻口舌

といつて おなじ

六こんのなか

まなるに

へいぜい口は

わるく なん

でもかほ

ぢうに くち

があるよふ

いつはいに

しやべりやァ

がる

 

あさね

をして

めがあ

かぬと

いつて

つばきをつけたり

おいらがころんだ

ときも きたねへ

あいつがつばき

を又しても

つきやアがる

にはあや

まる

 

(左頁上)

くちはわざはひのかど舌は

わざはひのねなり へいぜい

くちがわるいゆへ 人ににくまれ

目やはなが見たりかいだりして

むしやうにすゝめるゆへ もと

よりいぢきたねへもちまへ

なれば ついくふきになりて ひい

をやぶる事も うちわすれ

やたらにとりこむおにの

女ぼうに きじんとやら女

ぼうの舌もとかくわるい

くちにそつていれば

べちやくちやと舌を

うごかし おり/\は

したを二まいつかつて

うそをつき そのくせに

人のことはしたをだして

わらひそしりける

ゆへ とかくしたなが

なおんなだと

にくまれもの也

 

「わつちもした

であぢわつて

見やせう

ちつとばかり

すわせなせへ

 

(中)

「すつぽんには

ばくろ丁の

ひややの

ことだか

そばはまた

にんぎやう丁の

みやまがいゝの

 

(下)

「いろけより

くいけだ

とかく

くはずに

いんでは この

むねが

くはぬ こゝろ

のなかにも

しばし

くふは や

たらに

すきの

もの

 

 

8

くちは いよ/\

ぼうしよく

やまずして

ひのぞう

大になやみ

やせおとろへ

ちからうせて

むしやうに もの

にはらだち

むすこのげん

きが せいき

とのいろごと

をきゝだし

て大きに

いかり

ける ひの

ぞうの

女ぼう

胃の気は

いろ/\わび

ことをして

とりなし

けれ共 せう

いんなく

ついにげんき

をかんどうして

おいだしける

これを ひのぞう

(左頁)

きよして

元気を

うしなふとは

このこと也

脾胃(ひい)は

五臓の本

にして

飲食(いんしい)を

うけて

消化し

その

精液を

臓腑へ

おくるゆへ

養生の

みちは先(まず)

ひいを

とゝのふを

もとゝす

子どもしゆ

つとめたまへ

 がてんか/\

  こんな事より

   かくことなし

 

(右頁下)

「おのれ

おれが

もふちつ

と わか

ければ

まつ二ツ

にする

やつなれ

ども 今は

おれが

ひいのよ

はくなつ

たのが

(左頁下)

うぬが

しやはせ

といふ

ものだ

 

「げんき

大よはり

にて いち

ごんも

なく

かんどう

のみとなり

いでゝゆく

げんきが

おちたとは

このこと也

 

 

9

脾胃の腑に

しよくもつ

こと/\゛くとゞ

こほりて くだら

ず あるひは

せうくはせず

して くだり

または

ひける

ければ

大腸の

十六回も

みちすじ

とゞこをり

ければ そのだん

しんのぞうへ

うつたへ わたくし

ども いいのぞう

より しよくもつ

をうけて これを

それ/\にくだす

をもつて かぎゆう

といたし候に この

ほどは いいぶくろ

にとゞこをり いつかう

(左頁)

くだり申さず

かよふに ひけつ

いたし

ては

せう

ばい

ひまに

て なんぎ

つかまつり候

そのうへ

下かたの こう

もんよりは

しりがまいり

めいわくつかま

つり候

膀胱ぼうくはう

もおなじねがい

何とぞひいを

とゝのへ

候やう

おゝせつけられ

下さるべしと

うつたへける

(下)

「ひいきよして

こんき よは

くなりし

と これも

ねがいに

いづる

 

(右頁下)

さそ/\

きの

どく

せん

ばん

 

 

10

ひのぞう

げんきを

うあしない

ければ しん

のぞうも

せいきを

たもつ

事なり

がたく

どうざい

なりと

て せい

きを

かn

どうし

ければ

げんきは

せんかた

なく

けらいの

げぶ(下部)を

ともに

つれて

うづく

とも

なく せい

きとみち

ゆき とでかけ

(左頁)

けるが ほんかい

どうは ひとめ

おほしと よこ

はらより せす

じへいで だん/\

おちゆき

けるが むね

のあたりは

ひろければ

そのところへ

おちつきて

うばがざい

しよ ちぶさの

かたへと 

こゝろざし

て たどり

ゆく

 

「なるほど

このかいどうは なんじよだ

いつそ あけてもくれても

ほねばかりだ

(下)

大よう小よう

みちの

おいわけは

まだかの

 

(右頁下)

「このさきが

ふんどしの

mすびめ

めいぶつの

そばきり

いか

でも

がり

ませ

まだこれ

から

四(し)り

ござり

ます

 

 

11

じんのぞう てうあいのむすめ

せいきをうしない 大きに

ちからをおとし

わするゝまなく

あんじくらし

やまい

なり

き水

をへらし

ければ

じんの

ぞうの

弟に

心火(しんくは)と

いふもの ひ

ごろ水と火

なれば 中あしく

よりつきも

せず いたり

けるが このせつ

じんのぞう おと

ろへたるところへ

つけこみ むせふに

火が たかぶり

わがまゝばかり

いつて じんのぞうを

いじめる

(中段)

「このはじめの

はんてうに

くちめが

大ひらのくはい

をくらつて

いやアがつたが

大かたそれで

水がへつたで

あろふ としよりの

ぶんざいで ほかに

へりよふは ねえはづだ

(下)

「あごではいを

おりているぐら

いの事さ

とてもきさ

まに たて

づく ち

からは ねへ

ごめん/\

 

(左頁上)

たましいは

めいのせいき

いえでして

ゆきがたしれ

ずときゝ

大きにかな

しみ ついに

きをとり

のぼして

こゝろみだ

れける

たましい

のきちがい

になつたを

よく人が たまし

いを見ちがへた などゝ

いふせりふは こんな

事より出たるなり

はなは折ふしこゝへ

きやわせかねて たまし

いに心をかけいたりし

ゆへ きのちがいたるを

さいわい さそひだして

わがやへつれかへる これ

よりたましいは

はなのさきにぶらついて

いるから どふでむつかしいはらの うちだ

 

「すこしみだれ

こゝろは なをありがてへ きはちがつて

も よもやほかの

ところに ちがいは

あるめへ

ヲゝ たましいは

どふり/\

おいらでさへ むせふに

はな水がこぼれる

 

「これから

はなが

ところへ

ちよいと

きなさ い

これ

かん

ばん

いつ

わり

なし だ

 

 

12

それより

元気ふうふは

やう/\と まづ

みぞおちむら

のどのかたへおちつく

こののどぶへといふ

おとこは ところの

とふりものにて

なんでもよく

のみこむおとこにて

この てやいをかく

まいおく

千金方曰胸(せんきんほうにいはく けう)

中(ちう)に気集滞(きあつまりとゞこほる)

は病の愁(うれい)を

しやうずる

もとい也 

いへり この

ところへ元

気せいきの

あつまると

いふは その

きをふざぐの

はなはだしき也

とかくむねにきを

こらさぬやふにするがよし

(中)

きづ

けへしな

さるな

こののど

ぶへが ぐつと

のみこみ/\

(下)

わたしらが

こゝろのうち

かみわけて

下さんせ

のどぶへ

さん

 

(左頁上)

はらのうち大そうだうと

なり 心のぞうも

おゝがたのたましい

をうしない うてう

てんとなりければ

れいのわkるくち

こゝへつけこみ いろ/\

あくじをすゝめる

くちが曰

「養生訓に曰

心は人の主君として

天君の云耳

目鼻口形は

五官といつて

天君のつかはしめ也

しかればはらのうち

の臓腑より われ/\

かみにたつべき事也

このゝちは ふくちう

のこらず それがし

に しはいおほせ

つけられ下さる

えしと くちに

まかしてねがい ける

 

「いかさま

その

ほう

申とふり

ひとひやうぎ

して見よふ

 

「近年

補薬(ほやく)が

はやりて

ことのほか

ざうふの

気がつよく

なり

まし た

 

 

13

とかく

ものゝ

ひやうぎ

をしりの

くゝりを

よくすると

いふこゝろにて

こうもんへ

みな/\

はらの

うち の

 

やい

あつ

まり

ひやう

する

この

とこ

ろを

けつ

だん しよともいふ

わるくちがいふとふり

いらい はらのうちの

しはいは五官のもの

まかすべしと そのひやう

ぎにみな/\けつだんしよに

あつまりけるに こゝにかんの

(左頁)

ぞうにぞくしたる

きも といふものあり

このおとこ とんだきの

ふときものにて しかも

大きなるきも也 こう

もんのくはいのよふすを

にくきくちめが

たくみたり そとに

ありてはらの

うちをしはい

せん

 

だい

いち

この

きもが

かつてん

せし それ

をまたとり

あげる しんの

ぞうの ふらちを

いましめてくれんと

こうもんのけつだん所へ

きたり しんのぞうを

とつてさしあげ くち

大きにいましめ

あやまり せう

 もんをかゝせる

 

(右頁右下)

しんの

ぞうは

かきつけ

をして

おかねへ

と とふか

かぶと

まちがい

そふ

だ から

 

(中段左)

「うなぎ

や さるの

きもと

ちがつて

いきたきもだ

きものにへたも

しりもしねへで

ふてへやからだ

(左頁中)

きもどくながら

 いち/\に

  きもざしだぞ

(左端)

ごうてき

なきもの

やろうだ

(下)

くら

まへゝ

いつて

御しゝに

おこし でも

さし

あげれば

いゝ

 

 

14

きもだまにあつて

さすがのくちも大

へこみにへこんで

しまいければ

これから まづ

はらのうち

をつくろふが

よいと まづ

大てうの

十六くはい

ひいぶくろ

から

くだり

ゆく

しよく

もつの道

すじ とかく

とゞこをらぬ

よふにと

大よう小よう

の大どいを

ふしんし

けるに これ

よりして

とゞこをり

なく りやう

べんともにつうじける

(下)

「はらのうちの血気といふは

とかくあたまにちのけおほい

てやいにて いつすんも ああとへはひかず

げんきの いゝてやいを けつき

      にさかんなといふは

         この事也

 

(左頁)

ふしんちう

ちうやばん

をつけて

血気

よく

めぐ

ける

ゆへ

いよ/\

おだ

やかに

なり ける

 

「はらの中にても

十四けい十六ふはい

などゝいふは とふり

すじにて この

めいもんなどゝ

大てう小てうの

ぐつとすへの

丁にて しりから

一ばんめのまち也

(下)

「ぼんのふ

の いぬも

もは や

ある

けば ぼう

にあ

たり て

にげ

まはる

 

 

15

ひのぞうにしよく

もつ いまだとゞこをり

あるゆへ なにとぞしばら

く ぜつしよく してはら

を ほしたくねがいける

そのとふり いゝわたされ

けれ共 とかくまだ

くちがくいたがるゆへ

こゝろがきつと

くちをいましめて

いる それゆへ ひのぞう

も だん/\

とゝのいける

はらの

うちの

大といの

ふしんもでき

ちがよくめぐりて

とゞこをらず

ひいもだん/\

とゝのいければ

しんのぞうにも水

たくさんになりけるゆへ

たかぶつて あばれ

あるきし 火をけして

しまい 又きもだまは

(左頁)

はなをひし

いで たましい

をうばいかへし

ける それより

げんきも

せいきも

もとの

ごとくに

かへり

はらの

うち

やふ/\

おさまり

やまい

さつぱり

ねきり

はきり

どこもかも

ごうてきに

たつしやと

なるこそ

めでた けれ

 

(右頁右端下)

「だん/\

ありがたふ

こさり

ます

(左端下)

「こいつも

あやまり

かへつて くち

をむすんで

   いるやつさ

 

(左頁中)

「これがほんの

としよりの

ひや水だ

 

(左端下)

まことにはなが

ひしゃげました

フニヤ/\/\

 

 

16

一九は はらのうちの

ゆめを見て ふしぎに

めがさめると

たちまち はらが

ぐはら/\となり

むねがわるくなり

むか/\として げろ

/\と こまもの

見せをだしけるに

そのうちより

けふりのごとく

なるもの たち

のおbり かいばら

とくしんあらわれ

いでゝ いふやう

そのほう これまで

いかものくいをこのみ

ちゝはゝよりゆづり

うけし はつぷ

しんたいを あやま

たんとする事

ふらちせんばん也

やまいはくちより

いるゆへ またくち

よりはきいださせ

(左頁)

し事 みな

返報のどうり

にして 善をなせば

そのみに よくむくい

あくをなせば あしく

むくふ ことわりにて

くちよりはく

と かくわざわひは

くちからおこる也

つゝしむべし

おそるべし くち

さへたしなみ

ているとき

は やまい

もいで

ず わざ

はひもおこらず

やうじやうの

みちは くち

をたしなむに

ありと おしへ

さとして

 たちさりけるぞ

  ふしぎなれ

 

(下)

「とかく

おぬしも

くちがわるいから

にくまれる そして

かならず うそ

をつくめへぞ

 

(右頁左端下)

ヤア/\

いしやさま

を はきだした

たけのこ

より やぶ

いしやは

(左頁)

どくだと

見へる

 

 

17

きん/\゛は うへをすく

はずといへ共 きん/\゛

とぼしくして うへにお

よぶもの又おほし

まことにせかいのたから

也 そのたからを また

もとめんとするには

まづ からだのもとで

を じやうぶにすべし

いちもんもなきとこ

ろより かねもふけ

するは からだのたつ

しやなるが もとで也

とかくようじやう

だい一にして わづら

わぬやふに あしこし

たつしやに かせぎさへ

すれば きん/\゛は

めのまへゝふつて

わくなり

 

うたに

「ながいきは たゞはたらくに

しくはなし ながるゝ水の

くさらぬを見よ

「うへを見ず かせぐうちでのこづちより

よろづのたから わきいづるなり    一九作

 

(中)

ありがたや/\

(右下)

「めでたい ひより だ