仮想空間

趣味の変体仮名

お栄書簡

長野県小布施にある北斎館所蔵お栄書状の内の一通です。

「しやうえんじ」なる染料の作り方を図入りで説明しています。

 

   舌代
先々御機嫌よく御目出度存まいらせそうろう 日外は
何よりの品いたゞき有かたく存候 私も何かと
いそがしく候間相手本はまつ一ヲ其(?)以上申候
外に女絵の下か絵さし上げ申候まつ/\
来月は決??へく候先今月は是にて
御かんにん可被まいらせ候

扨是よりはしやうえんじの事申上まいらせそうろう
一 先初によく/\お??御洗被成あふら気の
無き様に被成????じをゆびの先にて
よく/\もみ赤キこなをこと/\く おとし
其よりつめにて
(図)      此様に被成
         しやうえんじを(図)
         此位イなら
水をさらに(図)此程斗り少し火にて
        あたゝめ其中へ入レて
        わたの白く成ほどよく/\
        しぼり
其より余程ぬるき火にかけけるを少々
まはりか焼付かゝる所を皿をまはしなから
せんじつめ申候段々つまるにしたがつて
火を遠く被成しまいに誠に少しに成 けるを
皿のあたゝまりにてまわしなから皿へ
于付申候くれ/\も火がつよくつて きうに
被成候とくろく相成候にてお気長に御せんし被成可候
えの油壱合の中へなまりを大キサ(図)
此位イのてつぽう玉をこまかに
けづり六十日程土中へうづめ置申候
つかい様は末/\筆談にては長く斗り成にて
わかりふ申(有?)候先御たづねゆへ申上まいらせそうろう おめでたかしく
                       中嶋屋 栄