仮想空間

趣味の変体仮名

源氏雲浮世絵合 若紫

 

 若紫
手につみて
いつしかも見ん
むらさきの
ねにかよひける
野辺の若草

 

紫の朱(あけ)を
うばふと
いふ事は
訳をしら
ざるにて口(ぐち)
色香に染(そま)
る浮気して
ゆかりほどふる
杜若(かきつばた)遂さめ安き
その中に操をたてる常磐
木は思ひのたけの一ふしに千代を
こめたる契りこそ夫(それ)としらす
音色なれ篭の鳥かや恨めしと
うきをかこつは勤めのならひ末の信(まこと)が
あればこそ目黒にのこす比翼塚なれ
  賛辞  花笠外史